Broken Arrows

蓮華空

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シャノンの過去

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──んっ……あ、はあ……

 ……うんっ……。

 シャノンは何度も唇を重ねてきた。何でこんなことを俺にするんだろう?

「シャノン……待って……んっ……」

 話そうとすると即座にシャノンの唇が深く重なり、舌を絡め取られる。そうなると、もう駄目だった。下半身からくる甘い疼きに、雷亜は自然と腰を浮かせた。すると、シャノンの唇が僅かに離れ、笑みを溢すと、優しく乳首を捏ね始めた。

「あっ……」

 腰の方からジンと痺れるような快感が走り、雷亜はシャノンにしがみついた。

「シャノン、シャノン……。どうして……、どうして俺にこんなことするの?」

 シャノンの手は雷亜のベルトをゆっくり外すと、前を開いていった。
 空気に晒された雷亜のものは勢いよく宙を仰ぎ、透明な液体が腹の上に滴った。

「どうしてって、したいからに決まってるだろ?」

「だから、どうして……俺なんかと……、シャノンなら相手が沢山いるんじゃ……」

「でも、俺はお前としたい」

「だから、どうして?」

 首筋に唇を這わせていたシャノンが不意に雷亜の目の前に現れた。

「ずっとお前に憧れてたから……」

「──え?!」

 大口を開けて驚いてしまった雷亜に、シャノンは薄く微笑んだ。

「だって、格好いいじゃん。チビで控え目なのに、いざとなったら自分の命すら投げうって戦える奴って……。そんな人間、この世にどれだけいると思ってるんだ?」

「そ、それは買い被りすぎだと思う……」

「そうか?──日本でお前に出会ったとき、俺はお前に世話になりながらも、やっぱり酷くわがままで、人を信じることが出来なくて、結局、生きているのが嫌になって、道路に飛び出した事があったよな」

 そうだ。雷亜はあの時、何とかしてシャノンの笑顔を取り戻したくて必死だった。けれども、言葉も通じない、ご飯もまともに食べれない、安心して眠れる場所も提供出来ない。そんな雷亜にシャノンの笑顔を取り戻す事なんか無理だった。子供同士だから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、雷亜はシャノンを守りたくて仕方がなかった。でも、無力だった。

「そうだ。あの時はごめんね。シャノンを元気付けたかったけど、俺には結局、何も出来なくて、逆に辛い想いをさせてしまったんじゃないかと、ずっと気になっていたんだ」

「馬鹿!謝らなきゃいけないのは俺の方だ。言葉は通じなくてもお前の気持ちは充分伝わっていた。だから……本当は嬉しかった。でも、同時に不安だったんだ。俺がそれに見合うだけの人間にどうしても思えなくて……。俺が自分自身を信じられなかっただけだ。──それによって俺はいつもお前を傷付けた……本当にごめん」

 シャノンが額をくっ付けたまま、優しく頭を撫でてくれた。
 目の前の紫の瞳は暗く苦し気に揺れていた。それを見ると雷亜の胸がきゅっと苦しくなる。

「そ、そんな……。俺のことは大丈夫だよ。それより、ずっと辛かったね。自分で自分を信じられないってことは、人から愛されてもそれすら信じられないってことだよね。それってずっと、たった一人で流氷に乗って世界をさ迷ってるような感じだよね」

 シャノンのその時の気持ちは、雷亜にも痛いほどよく分かった。雷亜も同じだったからだ。

 自分は本当の意味で両親には愛されていないと、ずっと思っていた。

 ──今の自分では駄目なんだ。

 そう思う度に、駄目な自分ばかりを信じて、そうでない自分の事を考えられなくなってた。でも、今はシャノンに再会して、改めてそうでない自分を知った。

 この流れは全てシャノンと出会った時から始まった。

 シャノンを一目見た時から──、

 シャノンを救いたいと思った瞬間から──、

 自分の事は一切見えなくなった。

 ただ、目の前のシャノンが幸せであって欲しい。笑顔を見せて欲しい。その一心だけだった。駄目な自分なんてすっかり忘れ去った。その結果、信じられるものが手に入った。

 それは全てシャノンに出会えたからだ。

「シャノン、シャノン。大好きだよ。俺はシャノンに出会えて本当に良かった。誰がなんと言おうと、シャノン事を想うと、自然と俺は力が湧いてくるんだ。この力だけは何故か信じられるんだ。だから、有り難う。俺の目の前に現れてくれて、本当に有り難う」

「な……なんなんだ、その口説き文句は!頭イカれてるだろ?」

 そんなきつい文句とは裏腹に、シャノン顔は甘く蕩けていた。それが余計に雷亜の胸を高鳴らせた。

「大好きだ。大好きだよ。シャノン!!」

 そう言って雷亜はシャノンの首に巻き付き、自分からキスをした。触れた瞬間、シャノンがびくりと震えたが、直ぐ様、互いに舌を絡ませた。

 今まで以上の情欲的な触れ合いに、脳内がすっかり溶けきっていた。二人は互いの服を取り払うと、まさぐるように肌を重ねた。

「あ、あ、だめ……シャノン。そこは、まだ……ああ……」

 後孔に指を入れられ、奥の方を刺激された。シャノンの唇は雷亜の乳首に吸い付き、舌で先っちょを捏ねる。

「もう無理だ。早くお前の中に入りたい。この奥を……気が遠くなるほど突いてやって、俺のものをたっぷりとお前の中に注ぎたい」

 完全に欲情しきった声で囁かれると、雷亜の奥はきゅっと狭まり物欲しそうに腰を振った。

「あ……うん。……きて、は……あっ……俺も……早くシャノンが欲しい」

 そう言った途端に指が抜かれ、即座に硬い物が後孔に押し当てられた。

「あ……んっ……」

 雷亜は堪らず喘いだ。ゆっくりとシャノンが中に入ってくる。その圧迫感に、雷亜は身を震わせた。

 シャノンが腰を突き出し、奥まで到達すると、ジンと快感が全身に伝わってきて、雷亜はビクビクと痙攣した。

「動くぞ」

 と、言う声と同時にシャノンは腰を揺すった。

「あっ、あっ、あっ」

 シャノンの動きに合わせて声が漏れる。後孔を攻められているだけでも気持ちが良いのに、前もシャノンの手によってしごかれ、雷亜の頭は真っ白になった。

「あ、あ、ああ──!!」

 雷亜の声が荒くなると、シャノンの腰の動きも増していく。

「あ、あ、もう……だめ!シャノン!!シャノン!!」

 雷亜はイヤイヤするように首を左右に振って喘いだ。ジンジンと腹腔から広がってくる快楽にもう我慢が出来なかった。雷亜は自分の腹に精を放つと同時に何度も身を震わせた。

「気持ち──良かったか?」

 シャノンに問われると雷亜の顔は真っ赤になった。

「だって……こんなの……無理だよ……我慢出来ないよ……」

 息も絶え絶えに言うと、シャノンは満足そうに微笑んだ。

「でも、俺はまだだからもう少し付き合ってもらうぞ」

 さっきまでの激しさとは打って変わって、今度はゆっくりと突き上げながら、両方の乳首を指で優しく愛撫された。

「あ、や……。それだめ!いま……イッた……ばかりなのに……」

 激しい攻めから、今度は仄かでゆっくりとした優しい刺激に、腰の方から切なさが募る。

「ふぁ……う……ぅん……」

 雷亜は自分からシャノンを求めた。

「今度は上になってみるか?乱れたお前を見てみたい」

 耳ともでそう囁かれて、上体を起こされた。

 座位の形で一度落ち着くと互いに唇を重ねて舌を絡ませた。二人の唾液が水音となって部屋に響き渡ると、雷亜の腰は次第に深くシャノンのものを飲み込み、きつく締め上げた。

「……雷亜……それ、すごく気持ちいいよ……」

 呻くように答えるシャノンに、雷亜の身体は喜びに震えた。 

「俺の中……感じる?」

「ああ……お前の中、あったかくて、柔らかくて、最高だよ」 

 今度は雷亜がシャノンを押し倒すようにしてキスをした。

「はっ……ん……」

 互いの息が荒くなると興奮は更に高まり、シャノンが下から突き上げてくる快感に雷亜は身をのけぞらせた。

「シャノン……、シャノン、やっぱり……俺……もう、だめ……あ、……あっ!」

「俺もだ……。もう……一緒に……」

「う、……うん」

 雷亜が答えると同時に動きは激しくなり、シャノンが身を震わせた。

「あ、あ、あああぁぁぁ──!!」

 もう一度やって来た快楽に雷亜は耐えきれずシャノンの胸に爪を立てた。

「──ふっ……あ、あぁぁぁぁ…………」

 最後は声にならないほどの快感だった。

 達した途端、雷亜はぐったりとシャノンの胸に覆い被さった。

 暫く互いに荒い息をついていた。そして、上気した顔を互いに見つめ、目を合わせると、この上ない充実感で心も体も満たされた。

「シャノンの……心臓の鼓動が聞こえる。──嬉しい」

 雷亜はシャノンの鍛え上げられた厚い胸をそっと撫でた。

「──ああ、俺もだ……」

 そう言ってシャノンが優しく微笑んで、髪を撫でる。

「──シャノン……俺……どうしたって、シャノンが大好きだよ」

 そう呟いた後、雷亜はシャノンの腕の中で眠った。眠りに付いた後も最後の言葉をずっと胸の内で唱え続けた──。


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