男子高校生ヒロサダの毎日極楽

ITO法人

文字の大きさ
167 / 181
2020年

ステイファーム1「ロンギ場」

しおりを挟む
 「とりあえず、みんな疲れていると思うから、一休みしましょうか~」
 夜通し運転していた皐月先生はもちろんのこと、交代しながら助手席でサポートしていた3人も、しっかりとした睡眠はとれておらず、車での長時間移動による疲労がたまっていた。
 「そうしますじゃ~」
 「松野も~」
 「まなりんも~」
 3人が一斉に眞名井ちゃんの方を向いたが、眞名井ちゃんは何事もなかったかのように歩き続けている。

 一行は牧場の中の塗装された歩道を歩いている。ヒロサダは実際に競走馬の育成牧場に訪れたのは初めてで、興味津々に辺りを見回している。 
 「皐月先生!!!あれは一体何ですかじゃ~!?」 
 「あれのこと~?ああ、ロンギ場ね!」
 「ロンギ場………ですかじゃ~???」
 「そうそう~、ふふっ。まあ簡単に言うと、お馬さんに人を乗せるためのしつけをする場所ね~」
 右手に青々と生い茂った牧草地が隣接している歩道。左手に木々の隙間から見えたロンギ場に興味を持ったヒロサダは足を止め、皐月先生の説明を聞いている。それに気が付いた2人の乙女も、ヒロサダに寄り添うように立ち止まった。
 「人を乗せるためのしつけ、ですか???」
 「松野、ロンギ場なんて初めて聞いたかなぁ~」
 ヒロサダに影響されてか、はたまた本当に興味を持ったのか分からないが、2人の乙女もロンギ場について知りたがっている。
 「ふふっ。そうなのよ~。元々お馬さんって、人を乗せたりしないじゃない?だけど競走馬になるためには、絶対に人を乗せないといけないから、このロンギ場で訓練するのよ~」
 さすが競走馬育成牧場の娘だけあって、施設の知識は完璧な皐月先生。生まれた時から過ごしてきたこの皐月ファームでの経験が、高校英語教師をしている今でもしっかりと染みついている。

 「訓練って、どんなことをするのかなぁ~???」
 「もしも私がお馬さんで、ヒロサダ君を背中に乗せる訓練をするとしたら………グフフフッ、まずはヒロサダ君と触れ合うところから始めます!!!」
 「ま、眞名井ちゅわ~ん………」
 自分がヒロサダを背中に乗せる時のことをイメージし、眞名井ちゃんが思う訓練を実際にヒロサダに対して行っている眞名井ちゃん。つやのある黒い髪の毛をこすりつけられて、ヒロサダは困惑している。
 「ふふっ。眞名井さん、実はそうじゃないのよ~。いきなり人の重さは乗せることってできないの。だからまずは軽~い重りを背中に乗せる訓練をするの。背中に少しでも何か乗っていると、最初の内はお馬さんもすごく違和感を感じて気持ち悪いのね~。そうして軽いおもりから慣らしていって、どんどん重さを増やしていって、ようやく人が乗る訓練ができるのよ~」
 「そ、そうなんですじゃな~!!!」 
 日常生活では知りえることができないであろう知識に、ヒロサダは目を輝かせている。
 「ふふっ。お馬さんの場合はそうだけど、ヒロサダ君を背中に乗せる訓練を私たちがするとしたら~」
 「松野、まなりんの言った方法がいいと思うかなぁ~」
 「正解!!!」
 「グフフフッ」
 「やっぱりぃ~!!!」
 ノリノリで人差し指を立てている皐月先生と、ヒロサダに髪の毛をこすりつけている同級生美人乙女2人組。戸惑うヒロサダだが、ロンギ場の知識を得たことの嬉しさが上回り、気の向くまま2人に髪の毛をこすりつけさせていた。
 「あ~!!!2人ともずるい~!!!」
 そんな光景を見た皐月先生は、自分の茶色い髪の毛もヒロサダにこすりつけ始めた。
 ロンギ場の前で立ち止まった4人組。一刻も早く長距離移動の疲れを取りたいだろうが、各々の現在の欲望を満たすことを優先しているようだ。
 入口からはまだ数百メートル程しか歩いていない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...