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2020年
ステイファーム2「ファーム長登場」
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なかなか歩みを進めずに、ロンギ場の前でじゃれ合っている4人。そんな4人の元に一つの足音が近づいていた。
「ふふっ。ヒロサダ君~!!!もっと知りたいこと、ないの~???」
「グフフフッ」
「気持ちいいかなぁ~」
「さ、3人とも………そろそろやめてほしいじゃ~………」
ロンギ場の知識をしっかりと手に入れたヒロサダ。競走馬になったつもりで髪の毛をヒロサダにこすりつけている3人の乙女に対し、ようやく迷惑の気持ちが芽生えたようだ。
「ふふっ。目的地に着いているんだから焦ること無いじゃない~」
「そうだよぉ~。これから一休みするだけだから、まだ大丈夫かなぁ~」
「グフフフッ。私、このままの体勢で休憩に入りたいわ~!!!」
「まなりん良い考えかなぁ~!!!」
「賛成!!!」
ヒロサダの近くでゆっくりできるのなら場所はどこでもいい3人の乙女は、一刻も早くその欲望を満たすために、今この場で休憩に入りたいようだ。一方で道のど真ん中で寝るのは避けたいヒロサダは、どうにかして3人の中から抜け出し、再び歩みを進めて屋根のある場所で休みたいと強く思っている。
近づいてきた足音はロンギ場の前でじゃれ合う4人の数メートル手前で止まった。しかしその存在に誰一人として気が付いていない。そんな時だった。
「……香菜子!!!」
誰のとは分からない名前を呼ぶ声が4人を現実に引き戻した。
「なんですじゃ~???」
「今、香菜子って呼ぶ声が」
「誰かなぁ~???」
困惑する高校生3人組。その声に一番に反応したのは皐月先生だった。
「お父さん!!!」
「お、お父さん~?」
「皐月先生のお父さんなのかなぁ~!?」
「じゃ、じゃあ皐月先生の名前って」
「ふふっ。香菜子よ。皐月香菜子。別に隠していたわけではないけど、先生と生徒の関係では名字で呼ばれることばかりだから」
そう。皐月ファームのファーム長である、皐月父が現れたのだ。
「香菜子!思ったより早かったな~。また無茶な運転したんじゃないか???」
「無茶はしてないよ~。早くここに着きたかったから」
皐月先生は職員室で眞名井ちゃんからのLINEをもらった時、実家である皐月ファームでヒロサダとのステイファームを過ごそうと思い、父に連絡していたのだ。
「まあ、元気そうで何よりだ。皆さん、香菜子の父です。よろしく!」
普段からこの牧場で競走馬と触れ合っているからか、年齢を感じさせない程の身体と覇気を放つ皐月父。
「よろしくお願いしますじゃ~」
「急に訪れたりして、ご迷惑おかけするかとは思いますが、数日間、いえ数週間よろしくお願いします!!!」
「楽しみにしてきましたぁ~。よろしくお願いしますかなぁ~」
そんな皐月父のフレンドリーさもあってか、高校生3人組は気兼ねすることなく、お世話になる挨拶をしている。
「か~っ!!!お嬢さんたち可愛いね~!!!」
「ちょっとお父さん!!!」
ずかずかと眞名井ちゃんと松野さんに近づいている皐月父を、通せんぼするようにして2人に近づかせない皐月先生。2人の美貌は、皐月先生のお父さん世代でも一瞬で虜にしてしまうようだ。
「冗談冗談!!!ってすると、そっちがヒロサダ君かい」
「は、はいっ!!そうですじゃ~」
「香菜子から話は聞いているよ!!!バレンタインのチョコとか、飼育委員会とか、あとは———」
「ちょっとお父さん!!!」
皐月先生は父の口を手に持っていたハンカチでふさいだ。
「ごめんなさいね、ヒロサダ君~」
「皐月先生のお父さんがワシのことを知っていて、びっくりしましたじゃ~」
「ふふっ。気にしないで~」
2人のやりとりを、口に縦じまのハンカチを詰めたまま見ていた皐月父。
「若いっていいねぇ~。ということはあっちの可愛い子ちゃん2人も………そういうことか」
青春を感じさせる4人のことを、少し距離を置きながら微笑ましく眺めていた。
「ペッ!!!じゃあ香菜子!!!部屋用意しといたから、皆さんで使ってくれい!!!」
「お父さんありがとう。私たち少し休憩するね」
男らしさをアピールするために勢いよくハンカチを吐き出した皐月父。口に詰めた時は縦じまだったが、地面に吐き出されたハンカチは横じまになっていた。
「じゃあ皆、もうちょっとだから行きましょう。お父さんは仕事に戻ってくれて大丈夫だからね。一休みしたら手伝うから」
「ワシも手伝いますじゃよ~」
「じゃあ松野も~」
「ずるい私も~!!!」
4人はロンギ場を後にし、皐月父が用意してくれた部屋のある建物へと歩みを進めた。
「香菜子もあんな顔するようになったんだなぁ~」
4人の遠ざかる後姿を見ながら、娘の変化を喜んでいたファーム長なのであった。
「ふふっ。ヒロサダ君~!!!もっと知りたいこと、ないの~???」
「グフフフッ」
「気持ちいいかなぁ~」
「さ、3人とも………そろそろやめてほしいじゃ~………」
ロンギ場の知識をしっかりと手に入れたヒロサダ。競走馬になったつもりで髪の毛をヒロサダにこすりつけている3人の乙女に対し、ようやく迷惑の気持ちが芽生えたようだ。
「ふふっ。目的地に着いているんだから焦ること無いじゃない~」
「そうだよぉ~。これから一休みするだけだから、まだ大丈夫かなぁ~」
「グフフフッ。私、このままの体勢で休憩に入りたいわ~!!!」
「まなりん良い考えかなぁ~!!!」
「賛成!!!」
ヒロサダの近くでゆっくりできるのなら場所はどこでもいい3人の乙女は、一刻も早くその欲望を満たすために、今この場で休憩に入りたいようだ。一方で道のど真ん中で寝るのは避けたいヒロサダは、どうにかして3人の中から抜け出し、再び歩みを進めて屋根のある場所で休みたいと強く思っている。
近づいてきた足音はロンギ場の前でじゃれ合う4人の数メートル手前で止まった。しかしその存在に誰一人として気が付いていない。そんな時だった。
「……香菜子!!!」
誰のとは分からない名前を呼ぶ声が4人を現実に引き戻した。
「なんですじゃ~???」
「今、香菜子って呼ぶ声が」
「誰かなぁ~???」
困惑する高校生3人組。その声に一番に反応したのは皐月先生だった。
「お父さん!!!」
「お、お父さん~?」
「皐月先生のお父さんなのかなぁ~!?」
「じゃ、じゃあ皐月先生の名前って」
「ふふっ。香菜子よ。皐月香菜子。別に隠していたわけではないけど、先生と生徒の関係では名字で呼ばれることばかりだから」
そう。皐月ファームのファーム長である、皐月父が現れたのだ。
「香菜子!思ったより早かったな~。また無茶な運転したんじゃないか???」
「無茶はしてないよ~。早くここに着きたかったから」
皐月先生は職員室で眞名井ちゃんからのLINEをもらった時、実家である皐月ファームでヒロサダとのステイファームを過ごそうと思い、父に連絡していたのだ。
「まあ、元気そうで何よりだ。皆さん、香菜子の父です。よろしく!」
普段からこの牧場で競走馬と触れ合っているからか、年齢を感じさせない程の身体と覇気を放つ皐月父。
「よろしくお願いしますじゃ~」
「急に訪れたりして、ご迷惑おかけするかとは思いますが、数日間、いえ数週間よろしくお願いします!!!」
「楽しみにしてきましたぁ~。よろしくお願いしますかなぁ~」
そんな皐月父のフレンドリーさもあってか、高校生3人組は気兼ねすることなく、お世話になる挨拶をしている。
「か~っ!!!お嬢さんたち可愛いね~!!!」
「ちょっとお父さん!!!」
ずかずかと眞名井ちゃんと松野さんに近づいている皐月父を、通せんぼするようにして2人に近づかせない皐月先生。2人の美貌は、皐月先生のお父さん世代でも一瞬で虜にしてしまうようだ。
「冗談冗談!!!ってすると、そっちがヒロサダ君かい」
「は、はいっ!!そうですじゃ~」
「香菜子から話は聞いているよ!!!バレンタインのチョコとか、飼育委員会とか、あとは———」
「ちょっとお父さん!!!」
皐月先生は父の口を手に持っていたハンカチでふさいだ。
「ごめんなさいね、ヒロサダ君~」
「皐月先生のお父さんがワシのことを知っていて、びっくりしましたじゃ~」
「ふふっ。気にしないで~」
2人のやりとりを、口に縦じまのハンカチを詰めたまま見ていた皐月父。
「若いっていいねぇ~。ということはあっちの可愛い子ちゃん2人も………そういうことか」
青春を感じさせる4人のことを、少し距離を置きながら微笑ましく眺めていた。
「ペッ!!!じゃあ香菜子!!!部屋用意しといたから、皆さんで使ってくれい!!!」
「お父さんありがとう。私たち少し休憩するね」
男らしさをアピールするために勢いよくハンカチを吐き出した皐月父。口に詰めた時は縦じまだったが、地面に吐き出されたハンカチは横じまになっていた。
「じゃあ皆、もうちょっとだから行きましょう。お父さんは仕事に戻ってくれて大丈夫だからね。一休みしたら手伝うから」
「ワシも手伝いますじゃよ~」
「じゃあ松野も~」
「ずるい私も~!!!」
4人はロンギ場を後にし、皐月父が用意してくれた部屋のある建物へと歩みを進めた。
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