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2020年
ステイファーム8-3「松野さんのメニュー」
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松野さんは落ち込んでいた。
「はぁ~…………」
松野さんの興奮はすっかり冷め、落ち込んでいる。
「ヒロサダ君………、まなりん…………」
皐月先生と2人きりの夜を過ごしたヒロサダ。そんな状況に関して、皐月先生に対して嫉妬心を燃やした松野さんと眞名井ちゃん。
今回ばかりは条件、立場も眞名井ちゃんと同じだと思っていた松野さん。同じと思っていた………。
「ま、眞名井ちゅわ~ん。…………少し落ち着いたじゃか???」
「……グフ、す、少し……ねっ」
その場面が何度も何度も松野さんの頭の中にフラッシュバックする。気持ちは眞名井ちゃんと同じはずだった。それまでは……………。
ヒロサダの言葉によって、明かに変わる眞名井ちゃんの気持ち。松野さんも眞名井ちゃんの言動からそれは読み取れた。しかし、眞名井ちゃんの気持ちの変化と同じことが自分に起きていないことに対して、松野さんは気持ちを落ち込ませていたのだ。
「松野は、まなりんには敵わないのかなぁ~…………」
うつむきながらも松野さんは、ヒロサダと眞名井ちゃんの通った道へと歩みを進めていった。
「あら~!!!あなたもお嬢さんのご友人???可愛いわね~!!!」
例の如く、1人目のおばちゃん。松野さんはブラックボードのメニューから選ぶのだが……。
「これでお願いしますかなぁ~………」
昨夜のこととさっきのことがあり、かなりの落ち込みようの松野さん。注文のスピードから、メニューをよく見ていなかったようだ。
「あら~、あなたもこれでいいの???さっきの可愛い子ちゃんはカルパッチョにしたけど、あなたは活け造りでいいの???」
「………これでお願いしますかなぁ~………」
上の空の松野さんは、ただただメニューを指差すばかり。
「鯛の活け造りね~!!!いい鯛をたくさん仕入れててよかったわ~!!!おばちゃん、腕を振るうわね!!!」
そうして松野さんのおぼんには、はみ出る大きさの舟が乗せられた。おぼんの振動を感じた松野さんは、そのまま2人目のおばちゃんの元へとスライドしていった。
「あら~!!!可愛いわねぇ~!!!さっきの子は違うって言ってたけど…………、あなたはモデルさん????」
「……違うかなぁ~…………」
お世辞ではない心からのおばちゃんの声かけに対しての返事も、感情を込めることができなかった松野さん。1人目のおばちゃんの時と同様、意識の外でのインスピレーションでメニューを選んだ。
「……これはねぇ……………」
残念ながら北京ダックはおぼんに乗るサイズではなかったようだ。
そうこうしているうちに、おぼんの上が一杯になった松野さんは、ヒロサダと眞名井ちゃんが待つテーブルへと歩いた。
「松野さん~!大丈夫じゃか???」
「松ミョン!!!ここに座って!?」
松野さんの心ここにあらずさは、2人の声かけからも十分に分かる。
「あら?」
「……ん!?」
そんな中、松野さんのおぼんの上のメニューに、眞名井ちゃんとヒロサダが反応した。
【鯛の活け造り・たくあん・心太・あんこ】
「こ、これは…………」
「ま、ま、松ミョン!!!ヒロサダ君の真似したの~!?!?!?」
「………ぇ~???」
2人の声の大きさに、少し落ち込みから戻ってきた松野さんは、ここで初めて自分のおぼんの上のメニューを確認した。
「ひ、ヒロサダ君と同じかなぁ~!!!」
無意識に選んだメニューが、まさかまさかのヒロサダと同じだった松野さん。しかも、北京ダックがおぼんに乗らずにたくあんを選ぶなど、そういった経緯も含めて全て同じだった。
「た、偶々だったんじゃか~!?!?!?」
「ま、松ミョン!!!」
以心伝心レベルのシンクロに驚くヒロサダと、そんな松野さんに対し、明かに嫉妬心を燃やしている眞名井ちゃん。
「………松野も、びっくりかなぁ~!」
そんな2人の様子を見て、落ち込みから回復した松野さん。敵わないと思っていた眞名井ちゃんに対しても、今回ばかりは自分が勝ったと思い、昨夜のことに対しても少しだが寛大になれた松野さんなのであった。
再び言うまでのことではないが、皐月ファーム1日目昼食。松野さんのメニューは【鯛の活け造り・たくあん・心太・あんこ】となった。
「はぁ~…………」
松野さんの興奮はすっかり冷め、落ち込んでいる。
「ヒロサダ君………、まなりん…………」
皐月先生と2人きりの夜を過ごしたヒロサダ。そんな状況に関して、皐月先生に対して嫉妬心を燃やした松野さんと眞名井ちゃん。
今回ばかりは条件、立場も眞名井ちゃんと同じだと思っていた松野さん。同じと思っていた………。
「ま、眞名井ちゅわ~ん。…………少し落ち着いたじゃか???」
「……グフ、す、少し……ねっ」
その場面が何度も何度も松野さんの頭の中にフラッシュバックする。気持ちは眞名井ちゃんと同じはずだった。それまでは……………。
ヒロサダの言葉によって、明かに変わる眞名井ちゃんの気持ち。松野さんも眞名井ちゃんの言動からそれは読み取れた。しかし、眞名井ちゃんの気持ちの変化と同じことが自分に起きていないことに対して、松野さんは気持ちを落ち込ませていたのだ。
「松野は、まなりんには敵わないのかなぁ~…………」
うつむきながらも松野さんは、ヒロサダと眞名井ちゃんの通った道へと歩みを進めていった。
「あら~!!!あなたもお嬢さんのご友人???可愛いわね~!!!」
例の如く、1人目のおばちゃん。松野さんはブラックボードのメニューから選ぶのだが……。
「これでお願いしますかなぁ~………」
昨夜のこととさっきのことがあり、かなりの落ち込みようの松野さん。注文のスピードから、メニューをよく見ていなかったようだ。
「あら~、あなたもこれでいいの???さっきの可愛い子ちゃんはカルパッチョにしたけど、あなたは活け造りでいいの???」
「………これでお願いしますかなぁ~………」
上の空の松野さんは、ただただメニューを指差すばかり。
「鯛の活け造りね~!!!いい鯛をたくさん仕入れててよかったわ~!!!おばちゃん、腕を振るうわね!!!」
そうして松野さんのおぼんには、はみ出る大きさの舟が乗せられた。おぼんの振動を感じた松野さんは、そのまま2人目のおばちゃんの元へとスライドしていった。
「あら~!!!可愛いわねぇ~!!!さっきの子は違うって言ってたけど…………、あなたはモデルさん????」
「……違うかなぁ~…………」
お世辞ではない心からのおばちゃんの声かけに対しての返事も、感情を込めることができなかった松野さん。1人目のおばちゃんの時と同様、意識の外でのインスピレーションでメニューを選んだ。
「……これはねぇ……………」
残念ながら北京ダックはおぼんに乗るサイズではなかったようだ。
そうこうしているうちに、おぼんの上が一杯になった松野さんは、ヒロサダと眞名井ちゃんが待つテーブルへと歩いた。
「松野さん~!大丈夫じゃか???」
「松ミョン!!!ここに座って!?」
松野さんの心ここにあらずさは、2人の声かけからも十分に分かる。
「あら?」
「……ん!?」
そんな中、松野さんのおぼんの上のメニューに、眞名井ちゃんとヒロサダが反応した。
【鯛の活け造り・たくあん・心太・あんこ】
「こ、これは…………」
「ま、ま、松ミョン!!!ヒロサダ君の真似したの~!?!?!?」
「………ぇ~???」
2人の声の大きさに、少し落ち込みから戻ってきた松野さんは、ここで初めて自分のおぼんの上のメニューを確認した。
「ひ、ヒロサダ君と同じかなぁ~!!!」
無意識に選んだメニューが、まさかまさかのヒロサダと同じだった松野さん。しかも、北京ダックがおぼんに乗らずにたくあんを選ぶなど、そういった経緯も含めて全て同じだった。
「た、偶々だったんじゃか~!?!?!?」
「ま、松ミョン!!!」
以心伝心レベルのシンクロに驚くヒロサダと、そんな松野さんに対し、明かに嫉妬心を燃やしている眞名井ちゃん。
「………松野も、びっくりかなぁ~!」
そんな2人の様子を見て、落ち込みから回復した松野さん。敵わないと思っていた眞名井ちゃんに対しても、今回ばかりは自分が勝ったと思い、昨夜のことに対しても少しだが寛大になれた松野さんなのであった。
再び言うまでのことではないが、皐月ファーム1日目昼食。松野さんのメニューは【鯛の活け造り・たくあん・心太・あんこ】となった。
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