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2018年上半期
姐御の出国、眞名井の帰国
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「もう帰ってしまうんじゃな~……」
姐御の短い正月休みが終わってしまった。ヒロサダは国際空港に姐御を見送りに来ている。母ちゃんも来る予定だったが、相棒をシーズン2からシーズン6までぶっ続けで2日間徹夜で見ていたため、寝不足で来られなかったのだ。
「じゃあヒロシ、またね。頑張って刀削麺の修行してくるよ。私が今度帰る時までには刀削麺包丁買っといてね」
「わ、わかっただ。姐御こそ、次に帰ってくる時までにはワシの名前を覚えておいてくれじゃ。ヒロシじゃなくてヒロサダじゃ!」
姉弟の別れの場面に遭遇したお土産屋の吉田さんが2人の間で泣いている。
「じゃあ、また」
そう言って姐御は両手を上げながら手荷物検査場を通過した。
「ブッブー、、、、、、。すいません、機内に持ち込めるライター類は1つまでとなっていますので、どれか1つお選びください。残りはこちらで処分させてもらいますので」
「あら?そうだったの………じゃあこのチャッカマンでいいわ」
「分かりました。では残りの100円ライター31個とジッポライター73個、マッチ28箱、アルコールランプ7個に火炎放射器2個はこちらで処分させていただきます。あと、刃物の持ち込みは大変危険でございます。こちらの短刀と、アイスピック、チェーンソーに刀削麺包丁はこちらで処分させていただきます」
「え、?それは困るわ、、、、。ヒロシ!この刀削麺包丁だけでも家に持って帰ってくれる?」
ヒロサダは、最後まで慌ただしい姐御の姿がしばらく見れないと思うと、こんな迷惑な光景でも微笑ましく思った。
結局、すべての刃物を預かり姐御に別れを告げた。
「これ、どうやって家に持って帰るかのぉ………。見送りだけじゃから何も持ってきてないしのぉ………」
短刀、アイスピック、チェーンソー、刀削麺包丁を持って、何事もなくバスと電車に乗って帰れるとは考えにくい。
「ブゥウィーーーーーンンンン」
ヒロサダがチェーンソーを回しながら帰る方法を考えていると、聞き覚えのある声が到着ゲートから聞こえてきた。
「あら???やっぱりそうだ、ヒロサダ君~」
「ま、眞名井ちゅわ~ん??」
平昌オリンピックも閉会式が終わり、リュージュの強化合宿に行っていた眞名井ちゃんが帰国してきたのだ。
「ヒロサダ君どうしたのその格好?」
「姐御を見送りに来たんじゃがいろいろあって、これらを持って帰らなきゃいけないんじゃ~………」
「明らかに不審者ね。そうだ、不審者に見えないようにしてあげる!」
そう言って眞名井ちゃんは、ポケットからアスパラガスを取り出し、ヒロサダの鼻の穴と耳の穴に差した。
「いだだだだだ!やめてくれじゃっ!!!!」
「冗談よ冗談!帰りは貸切バスなんだけど、ちょうど第13コーチが飛行機のハイジャック疑惑で取調室に行っているから、席空いているわよ。公共交通機関じゃ帰れないだろうから、一緒に帰りましょ」
ヒロサダは眞名井ちゃんの好意に涙が出そうだった。優しさのあまり、坂本花織選手の次に眞名井ちゃんを好きになりそうだった。
「あ、ありがとうじゃ~!!!!このお礼は必ず!!!!」
その言葉を聞き、悪そうな笑みを浮かべる眞名井ちゃんに連れられ、バスに乗り込んだ。
「眞名井ちゅわ~ん、平昌はどうだったじゃか~???」
「とーーーーっても楽しかったわ!!!!リュージュの強化合宿は30分で終わったから、その後はフィギュアスケート見に行ったのよ。坂本花織選手、とーーーーーーっても可愛いかったわ!」
「えええええええええええっっっっ!眞名井ちゅわ~ん、さかもとっちゃんの演技を生で観たんだか!!!???」
「ええ、とっても素晴らしかったわ」
ヒロサダは自分が平昌に同行しなかったことを後悔している。なぜ眞名井ちゃんに誘われた時に何も考えずついて行かなかったのか。なぜ、リュージュの強化合宿に自分も参加したいと思わなかったのか。なぜ坂本花織選手に会える可能性が0.1%以下だったとしても、行かなかったのか。ヒロサダは今後数ヶ月は後悔し続けるだろう。
「どうしたのヒロサダ君、そんなに落ち込んじゃって。ああ、そう言えば、フィギュアスケート観に行きたいって言ってたわね。女子フィギュアスケートの選手の写真なら何枚か撮ったから、あげるわよ」
一瞬にしてヒロサダが蘇った。
「あ、ありがとだ~!!!眞名井ちゅわ~ん!!!ワシ、眞名井ちゅわ~んのこと好きになりそうじゃ!!!」
照れている眞名井ちゃんが顔を背けながらヒロサダに写真を渡した。
「ウホウホ~!!!さかもとっちゃん~っ!!!……おりょ???」
眞名井ちゃんから受け取った写真3枚には、3枚とも胸に銅メダルをかけたケイトリン・オズモンド選手が写っていた。
「ケイトリン・オズモンド選手。ヒロサダ君の好みかなって思って。やっぱり、坂本花織選手のほうがよかった???」
泣きながら頷くヒロサダなのであった。
姐御の短い正月休みが終わってしまった。ヒロサダは国際空港に姐御を見送りに来ている。母ちゃんも来る予定だったが、相棒をシーズン2からシーズン6までぶっ続けで2日間徹夜で見ていたため、寝不足で来られなかったのだ。
「じゃあヒロシ、またね。頑張って刀削麺の修行してくるよ。私が今度帰る時までには刀削麺包丁買っといてね」
「わ、わかっただ。姐御こそ、次に帰ってくる時までにはワシの名前を覚えておいてくれじゃ。ヒロシじゃなくてヒロサダじゃ!」
姉弟の別れの場面に遭遇したお土産屋の吉田さんが2人の間で泣いている。
「じゃあ、また」
そう言って姐御は両手を上げながら手荷物検査場を通過した。
「ブッブー、、、、、、。すいません、機内に持ち込めるライター類は1つまでとなっていますので、どれか1つお選びください。残りはこちらで処分させてもらいますので」
「あら?そうだったの………じゃあこのチャッカマンでいいわ」
「分かりました。では残りの100円ライター31個とジッポライター73個、マッチ28箱、アルコールランプ7個に火炎放射器2個はこちらで処分させていただきます。あと、刃物の持ち込みは大変危険でございます。こちらの短刀と、アイスピック、チェーンソーに刀削麺包丁はこちらで処分させていただきます」
「え、?それは困るわ、、、、。ヒロシ!この刀削麺包丁だけでも家に持って帰ってくれる?」
ヒロサダは、最後まで慌ただしい姐御の姿がしばらく見れないと思うと、こんな迷惑な光景でも微笑ましく思った。
結局、すべての刃物を預かり姐御に別れを告げた。
「これ、どうやって家に持って帰るかのぉ………。見送りだけじゃから何も持ってきてないしのぉ………」
短刀、アイスピック、チェーンソー、刀削麺包丁を持って、何事もなくバスと電車に乗って帰れるとは考えにくい。
「ブゥウィーーーーーンンンン」
ヒロサダがチェーンソーを回しながら帰る方法を考えていると、聞き覚えのある声が到着ゲートから聞こえてきた。
「あら???やっぱりそうだ、ヒロサダ君~」
「ま、眞名井ちゅわ~ん??」
平昌オリンピックも閉会式が終わり、リュージュの強化合宿に行っていた眞名井ちゃんが帰国してきたのだ。
「ヒロサダ君どうしたのその格好?」
「姐御を見送りに来たんじゃがいろいろあって、これらを持って帰らなきゃいけないんじゃ~………」
「明らかに不審者ね。そうだ、不審者に見えないようにしてあげる!」
そう言って眞名井ちゃんは、ポケットからアスパラガスを取り出し、ヒロサダの鼻の穴と耳の穴に差した。
「いだだだだだ!やめてくれじゃっ!!!!」
「冗談よ冗談!帰りは貸切バスなんだけど、ちょうど第13コーチが飛行機のハイジャック疑惑で取調室に行っているから、席空いているわよ。公共交通機関じゃ帰れないだろうから、一緒に帰りましょ」
ヒロサダは眞名井ちゃんの好意に涙が出そうだった。優しさのあまり、坂本花織選手の次に眞名井ちゃんを好きになりそうだった。
「あ、ありがとうじゃ~!!!!このお礼は必ず!!!!」
その言葉を聞き、悪そうな笑みを浮かべる眞名井ちゃんに連れられ、バスに乗り込んだ。
「眞名井ちゅわ~ん、平昌はどうだったじゃか~???」
「とーーーーっても楽しかったわ!!!!リュージュの強化合宿は30分で終わったから、その後はフィギュアスケート見に行ったのよ。坂本花織選手、とーーーーーーっても可愛いかったわ!」
「えええええええええええっっっっ!眞名井ちゅわ~ん、さかもとっちゃんの演技を生で観たんだか!!!???」
「ええ、とっても素晴らしかったわ」
ヒロサダは自分が平昌に同行しなかったことを後悔している。なぜ眞名井ちゃんに誘われた時に何も考えずついて行かなかったのか。なぜ、リュージュの強化合宿に自分も参加したいと思わなかったのか。なぜ坂本花織選手に会える可能性が0.1%以下だったとしても、行かなかったのか。ヒロサダは今後数ヶ月は後悔し続けるだろう。
「どうしたのヒロサダ君、そんなに落ち込んじゃって。ああ、そう言えば、フィギュアスケート観に行きたいって言ってたわね。女子フィギュアスケートの選手の写真なら何枚か撮ったから、あげるわよ」
一瞬にしてヒロサダが蘇った。
「あ、ありがとだ~!!!眞名井ちゅわ~ん!!!ワシ、眞名井ちゅわ~んのこと好きになりそうじゃ!!!」
照れている眞名井ちゃんが顔を背けながらヒロサダに写真を渡した。
「ウホウホ~!!!さかもとっちゃん~っ!!!……おりょ???」
眞名井ちゃんから受け取った写真3枚には、3枚とも胸に銅メダルをかけたケイトリン・オズモンド選手が写っていた。
「ケイトリン・オズモンド選手。ヒロサダ君の好みかなって思って。やっぱり、坂本花織選手のほうがよかった???」
泣きながら頷くヒロサダなのであった。
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