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35.意外な人物
しおりを挟む「……で、これからどうするって?」
「おい、完全に寝てる? 大丈夫? 起きてない?」
マルベーは眠らせた監視役の肩をゆすったり、顔を覗き込んだりした。従者にこっそりお願いした酒瓶(睡眠薬入り)を、自分は飲めないからとプレゼントしたのは1時間前。喜んで飲んだ若者は、ぐっすりと眠っていた。
「これなら朝まで起きないだろうな」
「良かった~、じゃ、よろしくな、きょうだい! ここを抜け出して、ティメオに知らせてくれ!」
イタチの姿になったラファイエットが、そっと監視役のポケットから鍵を取り出すと、マルベーと二人、それぞれ牢屋から出ることができた。
(あとは城の見取り図とか……案内役は……あり得ないか)
問題は朝までにラファイエットが宮殿を抜け出せるか……が気がかりだった。イタチの姿であれば、まず人に見つからず移動できるだろうが、城の構造が分からない。
ついでに城の見取り図など無いか、監視役のポケットを探った。
「朝までにはなんとか、ここ抜け出して欲しいんだけど……て、お前は騎士だし、身軽だから大丈夫だよね?」
「……」
「お前頼みになっちゃうけどさ、やっぱこんな時頼りになるのはきょうだい――」
服を探るが、何も出てこない。マルベーはがっかりして肩を落としたが、ふと妙に静かだなとラファイエットを見た。
睨みつけられていた。
「? どした」
「俺だけ、逃げろ? 馬鹿かっ! お前も行くんだよ!」
「何言ってんだよ! 俺の腹で動けるわけないだろ!! お前だけだったら動ける! ティメオに知らせてくれよ!」
「駄目だっ! お前も一緒に出るぞ!」
「はぁ?!」
どうしてこんな時に頑固さが出てくるのか。マルベーがイラついていると、遠くから足音が聞こえてきた。
(やばっ、声デカすぎた?)
ラファイエットと無言で頷くと、さっと牢屋に戻る。二人で息を潜めていたら、足音はどんどん大きくなっていった。
(誰?誰? 誰だよっ!)
カツカツと急いたような足音に、ふわりとした裾――真夜中、地下牢に現れたのはラーナだった。意外な人物に、マルベーは声を上げた。
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