jkたち、trpg風な異世界を大冒険する

丸々 かずきち

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1章 〜我ら初心者冒険者〜

12話

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 セリカ、水無月、浦星はうんざりしながら宮野と羽美の会話を聞いている。

「羽美~。頼むよ。私も水無月やセリカみたいに近接でバチバチにやりたいんだ」

 羽美は腕に縋り付く宮野の顔を押し込みながら「離れてー」と懇願する。

「頼むよ~。補助役もいいけど、武器を振り回したいんだ」

 駄々をこねる宮野の顔を見つめて、羽美は大きなため息を吐く。

「会長、思いっきり戦いたいのも分かるけどさ、私たちの目標は戦いを楽しむことじゃなくて5つの秘宝を集めて現代に帰ることなの。

 私たちのパーティは攻撃役しかいないの。この先、厄介な敵が現れたら、会長の広い視野と高い判断力が必要になる」

 羽美はチラチラと水無月たちを見る。水無月は羽美の真意に気付く。

「そうですよー! 宮野センパイは、たまに悪役みたいな発言するけど、いつもは優しいし包容力もあってリーダーシップもあるじゃないですか!」

 宮野は褒められて顔を赤くする。

「そ、そうよ。攻撃役じゃなくたって、タランチュラ戦では私たちの盾になってくれたじゃない」

 セリカもなんとか宮野を褒める。

「しょうがないなー。そんなに言うなら補助役をやってやろう!」

 あまりにも早い手のひら返しに、羽美たちは苦笑する。話が終わった後、5人はまたソレイヌ湖に戻っていく。しっかりと周辺に注意したおかげで、接敵することもなかった。

「こんな場所に戻って、何をするつもりなの?」

 水無月は、ウォーハンマーで糸を振り払いながら尋ねる。

「焼き払う」

 セリカはサラッとそんなことを言う。

「えぇ!? いいの? そんなことして」

 水無月の問いにセリカは「いいの」と答える。

「湖の水をよく見て。所々輝いているでしょ?」

 羽美たちはソレイヌ湖の水面をよく観察する。湖面にはキラキラと星のような輝きを放つ粒が混じっている。

「ここは聖水が湧き出ている湖なの。本来、聖なる湖は周辺にある地域を邪気から守護する役割を持っているの。
 だけど、赤い石の力を持ったジャイアント・タランチュラがここに蜘蛛の巣を張ったせいで、赤い石を浄化できずに森の生き物たちが凶暴なままだと思うわ」

「なるほど。とはいえ、赤い石の正体はセリカにも分からないのか?」

 宮野が聞くとセリカは頷く。

「現状言えることは、赤い石は邪気を含んでいる、ということだけ。闇魔術かなんかの類でしょうね」

「うおぉぉ! 焼き払えぇ!」

 羽美はそう叫びながら、カバンから取り出した松明に火をつけて蜘蛛の巣に点火する。巣は驚くほど簡単に燃え上がる。

 浦星は初級呪文であるフレイムアローで蜘蛛の巣を燃やし始める。

 5分ほどで蜘蛛の巣は炭の塊となった。解放されたソレイヌ湖は輝きを放ちながら、周りにある草木を照らし出す。

「これは圧巻だな」

 宮野はうっとりとした表情で湖を眺めていた。地球では見れないような幻想的な景色。羽美たちはしばらく、景色を記憶という宝箱へ送り込んでいた。



「いやー。綺麗だったね」

 水無月は満足そうな表情をしている。湖を見終わった羽美たちはソレイヌ湖の出来事の報告のため、狩人の集落に帰還しているところだ。

「そういえば、本来の依頼って熊の討伐だったよね」

 羽美はクエスト用紙を取り出して確認する。羽美の言った通り、熊の討伐を要求する内容が書かれてある。

「モーグさんは、その依頼を出した日に、偶然熊を倒しちゃったの」

 そんな事実を聞かされ、羽美は笑ってしまう。

「けど、熊から赤い石が出たから、モーグさんはクエストの取り下げをしなかったの。ただ依頼内容が違ったことは謝るわ。ごめんなさい」

 セリカは羽美たちに頭を下げる。

「顔を上げなよ。お嬢さん」

 またもや寒いノリをかます羽美に、セリカはため息を吐く。

「謝ったのが馬鹿みたいに。ほんっと、あなたと話してると疲れるわ。話しかけないで」

「そんな~」、と羽美はがっかりする。

 明るい雰囲気で5人はグリーンロッドを進み、狩人の集落へと無事に帰還した。集落では、相変わらず様々な人たちが静かに暮らしていて、音があるとすれば野外で弓の練習をしている音だけだった。

 村の門から続く道を進んでいき、羽美たちはモーグの家に戻る。家の中には香ばしい匂いが充満している。

「この匂いなに?」

 羽美はお腹が空いていることにやっと気付く。冒険中では、魔物と遭遇しないために集中していたので、自分の体調にまで管理が行き届いていなかったのだ。

「これはモーグさんが作るステーキね」

 数秒後、台所からモーグが顔を出す。

「おや、お帰り」

「モーグさんも偵察が終わったのですか?」

 セリカが聞く。

「ああ。君たちが帰ってくる1時間前に帰ってきたんだ。話したいことがあるから、ご飯を食べながらにしよう。6人分も作るから時間がかかる。体を洗いたければ水を自由に使ってくれ。案内してくれるかい、セリカ」

 セリカは「はい」と答えて、羽美たちを2階に招く。

「ここがお風呂よ。あなたたち、異次元界から来たらしいけど、使い方は分かる?」

「一応教えて」

 セリカは頷いて、浴室に5人を入れる。浴室は日本とほぼ同じような構造であるが、違う点はお湯ではないということだ。

 水無月は風呂の中に指を入れる。

「冷たい……」

「当たり前よ」、とセリカは言う。

「温かいお湯を出せる風呂なんて、貴族か上位兵士とかの階級にしか与えられないわ」

 羽美たち4人は露骨にがっかりした表情を見せる。

「まったく、冒険で臭いんだから、つべこべ言わずに入りなさい。私は最後に入るわ」

 セリカかはそう言って部屋を出ていく。

「ま、入るか」

 羽美はそう言ってその場で服を脱ぎ始める。

「あ、体見られるの平気なんだ」

 水無月はびっくりしながら羽美の体を見る。羽美は腰の位置が高く、スラッとしている。

「おぉ、モデルみたいだな」

 宮野は感嘆の声を漏らし、浦星や水無月もじっくりと羽美の曲線を観察している。

「見せもんじゃねぇぞ! さぁ、帰った帰った!」

 おっさんみたいに羽美はキレだし、3人を追い出す。



 冷水風呂を堪能した羽美たちは、モーグの話を聞くために1階へ向かう。初めて来た時よりも大きなテーブルと、多くの椅子が用意されてある。

 それぞれの椅子の前には、ステーキが盛ってある皿が並べられてあり、テーブルの中心にはスープの入った鍋が用意されてある。

「さ、話を始めよう」

 モーグは1番前の椅子に座る。
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