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出会い
綺良くん 2
しおりを挟む連れて行かれた雑居ビルの一角にある『轟芸能事務所』という看板を見て、実在してる事を確認し、少しホッとする。エレベーターで5Fに上がり、おっさんがドアを開けた。
「ただいまぁぁ」
「社長!! どこ、ほっつき歩いてたんですか! 確認してもらいたい書類、たくさんあるんですよ!!」
事務所に入った途端、眼鏡を掛けた女性が仁王立ちでヒゲ面おっさんを叱り、その勢いに僕は縮こまってしまった。
このおっさんより、怖そうな人がいる!!
名刺をちゃんと確認してなかったけれど、おっさん、社長だったのか……たしかに、名刺には轟と書いてある。けど、社長を叱るこの女性は一体何者なんだ!?
「ごめん、ごめん」
「もう!! ふらふらどこか行くの止めてくださいよね!」
ヘラヘラと謝るおっさ……いや、轟さんに呆れた視線を浴びせる眼鏡の女性を盗み見ていると、目が合ってしまい、僕は慌ててそっぽを向く。
「……社長? この子は?」
眼鏡の奥から鋭い視線が飛んできて、僕の心臓が恐怖でバクバク音をたてた。
怒鳴られたらどうしよう……
「ああ、この子ね。渋谷でナンパしちゃった」
「……っ!? ナ、ナンパって……」
急いで否定しようとしたが、女性は気にする様子もなく、僕を上から下までゆっくり眺め、轟さんに問う。
「……で? 社長はどうしたいんです?」
「この子を売りたい」
なんだかこの会話、人身売買に聞こえるんだけど……逃げた方がいいかな……
「月子、どう?」
轟さんは自信ありげに眼鏡の女性に聞いていた。
ど、どう? って……どういう意味なんだろ?
「彼を見たとたん、ビビッてきたんだよね。月子が気に入りそうだなって」
「……そう……ですね。何歳ですか?」
「あれ? いくつだっけ?」
「……社長……年齢も聞かずに連れてきたんですか?」
眼鏡の女性がため息交じりに怒ると、轟さんは誤魔化すように笑う。
「もう! 君、いくつ?」
「…………18です」
「大学生?」
「はい」
そこまで聞くと、眼鏡の女性は黙り込み、ジッと僕を見続けた。
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