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学園生活、始まりました

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 教室の扉を開けると、生徒が一斉に俺を見て、あれよあれよという間に俺の周りに人が集まる。

「アルベルト様、同じクラスになれて嬉しいです」
「王子とご学友になれることを両親も喜んでおりました」
「アルベルト様! 好きです!」
「アルベルト様、ぜひ友人になっていただきたいのですが……」
「きゃー王子様ー」
 ……
 ……
 ……一応、俺、この国の王子なわけで……こうなるよな……って、ドサクサに紛れて告白した子、いなかった?

 俺は王子スマイルで対応するも、目を輝かせ、グイグイくるクラスメートに困り果て、ミカエルに助けを求めたが、ミカエルはクスクス笑いながら自席にむかう。

 おーい。俺達の友情どこいったぁ。

「はい、皆さん、入学式が始まりますよ。講堂へ移動してください」

 いつの間にか教室にいた先生が室内に響くよう手を叩き、講堂へ行くよう指示する。囲んでいたクラスメートがぱらぱらといなくなり、俺は解放され、ホッとひと息ついた。
 
 ああ……すでに、疲れた……

「アルベルト、講堂に行こう」
「ああ」

 俺もミカエルと一緒に講堂にむかい、ミカエルはさっきの騒ぎを思い出したのかアイスブルーの目を細めてクスッと笑う。

「アルベルト、人気者じゃん。告白までされてたし。いいんじゃない? あのご令嬢とお付き合いしてもさ」
「なに言ってんだよ。俺には婚約者がいるだろ? なっ、将来の義弟おとうと

 俺だってやられっぱなしじゃないからな。

 俺が反撃に出るとミカエルはフッと笑い、まっすぐに俺を見据え、真剣な眼差しをむけた。

「アルベルトの義弟おとうとになるつもりはないよ。もちろん、いつまでも義姉ねえさまの義弟おとうとでいるつもりもない。義姉さまとの婚約破棄はしてもらう。僕は絶対に譲らないし、諦めない」

 いつもより真摯しんしなミカエルの様子に少し驚いたが、俺だってひるむわけにはいかない。

 これは……その……宣戦布告……なんだろうな。
 面と向かって、はっきり宣戦布告されたのは初めてだな。
 真剣な気持ちに俺も真剣に返すのは礼儀だ。
 ミカエル、俺も言うべきことをバシッと言うぞ。

「諦めろ。婚約破棄は絶対しな……」
「さっ、早く講堂に行こう」 

 ミカエルは俺の言葉に被せて言い、ニッコリ笑い、足を早めた。

 俺の真剣な返事を聞けぇーーーー!

「ほらぁーー、アルベルト、早くーー」

 笑顔で俺を呼ぶミカエルを見て、小さく息を吐き、親友が恋敵ライバルっていうのは、困りもんだな。と俺は苦笑いをする。
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