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お出掛けすることになりました

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 俺の胸に顔をうずめていたクラリスが慌てて顔を上げた。
 クラリスの目は戸惑いの色を見せ、急いで俺から離れる。そして氷柱つららの存在に気づき、ザラにむかってひと言。

「雪に……ザラ様、危ないですわ」

 いや……危ないどころの騒ぎじゃないぞ、殺す気満々だろ? あれ。

「クラリス、王子からもっと離れなさい」

 ザラはいつもと変わらず、無表情なんだが……オーラに怒りを感じてしまう……無感情、無表情、無関心のザラがあんなに感情を表に出すのは珍しい……とにかく! その氷柱つららはしまえっっ!!

 クラリスはザラに駆け寄ると抗議の声を上げた。

「雪兄……ザラ様、アルベルト様に当たったらどうするのですか!」
「クラリス、王子に抱きしめられそうになってたんですよ。そんな不埒な事を許すわけにはいきません」
「私がよろけたから支えてくれたんです。アルベルト様はそのような方ではありません」

 やば……俺の事で論争になっている……正直抱きしめようとしていたのは本当なので、全面的に俺を信頼しているクラリスの言葉にいたたまれない気持ちになる。

 男を信頼しすぎだぞ、クラリス。俺が言うのもなんだけどさ……

 こんな時になんだが……あれをよろけたで済ますのか? そうなのか? じゃあ、どうすればクラリスは抱きしめられたと思うんだ? これからどうアプローチしていけばいいんだろう……

「クラリス、王子だって男ですよ」

 そーだそーだ! 俺だって男だぞ!

「そんなことわかってます!」

 俺の性別が男かどうか……って意味じゃないぞ、ザラが言っているのは。あれ? だんだん俺、誰の味方をしているのかわからなくなってきた……

「わかってません。力ずくで襲われたらどうするんですか?」
「アルベルト様はそんなことはしません」

 クラリスは口を尖らせて、必死で俺を庇ってくれる。力ずくで……なんてもちろんしない。俺の事、信じてくれているのは嬉しい……けど……なんか、男としてどうなんだろうと思うと、俺の心は地味にグサグサ傷ついているんだが。
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