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密約 ―ミツヤク―
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いつもと変わらぬ、冷たい視線が僕に放たれ、刺々しい声が投げつけられる。
「私の気配に気がつかないとは……いったい貴方は私から何を学んでいるのですか?」
「すみません」
僕は先程から現れた刺々しい声の主、銀髪の魔道士に頭を下げた。
この部屋の存在を知っている者は王宮ではあと4人。その中の1人、王宮魔道士長ザラ・ブライトン。この国の魔道士の頂点であり、僕の師でもある。
「死神、早く仕事をしなさい」
「え……? 仕事ですか?」
いきなり覚えのない事を言われた僕は驚き、聞き返すがチラリと僕を見ただけで、ザラは相変わらず必要最低限しか話さない。
今日、王命は出てないはずだけど。
さすがの僕も戸惑い、国王に視線を移した。厳しい顔つきになり、笑顔が消えた国王は懐から書状を出す。
「早朝、隣国インパルドから罪人が送られてきた」
国王の紋章が入っている書状を受け取り、目を通した。ザラは僕が書状を受け取ったのを確認すると準備の為か無言で姿を消す。
「刈場にて、お前の部下が押さえている」
書状を読み終わった合図として、僕は国王に一瞬視線を走らせ、国王は深く頷いた。
「婚約内定の件で死神を放棄したりはできぬぞ?」
「心得ております。王命に逆らえない呪いがかかっておりますゆえ」
何百年前に先祖が交わした死神とタンザ国王の呪いの鎖は今でも続いている。
僕に選択肢はない。
「呪いと言うな。契約じゃ……それに余とて同じ事。少しでも邪な心を持てば、死神に魂を刈られる運命。さて、死神よ、世の安寧の為に大罪人を」
一度目を伏せ、ひと呼吸置いた国王は鋭い目つきを僕に向けた。
「刈れ」
国王の命に僕は小さく頭を下げる。
「御意」
「私の気配に気がつかないとは……いったい貴方は私から何を学んでいるのですか?」
「すみません」
僕は先程から現れた刺々しい声の主、銀髪の魔道士に頭を下げた。
この部屋の存在を知っている者は王宮ではあと4人。その中の1人、王宮魔道士長ザラ・ブライトン。この国の魔道士の頂点であり、僕の師でもある。
「死神、早く仕事をしなさい」
「え……? 仕事ですか?」
いきなり覚えのない事を言われた僕は驚き、聞き返すがチラリと僕を見ただけで、ザラは相変わらず必要最低限しか話さない。
今日、王命は出てないはずだけど。
さすがの僕も戸惑い、国王に視線を移した。厳しい顔つきになり、笑顔が消えた国王は懐から書状を出す。
「早朝、隣国インパルドから罪人が送られてきた」
国王の紋章が入っている書状を受け取り、目を通した。ザラは僕が書状を受け取ったのを確認すると準備の為か無言で姿を消す。
「刈場にて、お前の部下が押さえている」
書状を読み終わった合図として、僕は国王に一瞬視線を走らせ、国王は深く頷いた。
「婚約内定の件で死神を放棄したりはできぬぞ?」
「心得ております。王命に逆らえない呪いがかかっておりますゆえ」
何百年前に先祖が交わした死神とタンザ国王の呪いの鎖は今でも続いている。
僕に選択肢はない。
「呪いと言うな。契約じゃ……それに余とて同じ事。少しでも邪な心を持てば、死神に魂を刈られる運命。さて、死神よ、世の安寧の為に大罪人を」
一度目を伏せ、ひと呼吸置いた国王は鋭い目つきを僕に向けた。
「刈れ」
国王の命に僕は小さく頭を下げる。
「御意」
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