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茶会 ―チャカイ―
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しおりを挟む一部を除いたSランク以上の魔道士には魔力制御装置着用の義務がある。
強い魔道士は国の宝であると同時に、脅威でもある諸刃の剣。他国に目をつけられるのも危ない。故に、多少魔力を制御した方が国及び本人を守ることになる。
……と、これは表向きの話。
魔力制御装置には王宮魔道士長が探索魔法を内密に掛けている。これが本来の目的だ。この件が誘拐組織に知られてしまうと厄介なのと、国が個人を監視しているという誤解を招く恐れがある為(実際は緊急時のみ発動するのだが)、国王と上層部のみが知る、本人すらも教えられていない機密事項である。
僕はクラリスの魔力制御装置が完成した事で少し安堵した。
制御装置を着けていれば、王子の婚約者という抑止力がなくても誘拐のリスクは下がるはず。これで心置きなくアルベルトには婚約を破棄してもらおう。
さて、どうやって破棄させようかと考えを巡らせていた時、クラリスが好奇心あふれる顔で僕達を見た。
「ザラ様って、稀有の天才で、誰にも負けないくらい強くて、この世のものとは思えないほど美しくて、人を寄せ付けない気高さがあって、至高の存在なんですよね? 明日、お会いするのが楽しみです」
ザラに対するありとあらゆる賛美の言葉を並べ始めたクラリスの楽しげに喋る声を聞き、ザラに直接教わっている僕とアルベルトは顔を見合わせる。
稀有の天才なのは本当。強いのも本当。まぁ、美しいのも本当。人を寄せ付けない気高さ……あの冷たい雰囲気は近寄りたくない……至高の存在…………ちょっとそれは微妙だな。
僕ら2人が複雑な表情をしていると、クラリスが首を傾げた。
「あれ? 私、変な事言いました? おかしいな。この1年、ザラ様教の信者のエリック先生が私に布教してたんですけど」
僕とアルベルトは閉口する。
……ちょっと何から突っ込めばいいのかわからないよ、クラリス。
ザラ様教ってなに? 信者って? 布教? 勉強期間、何してたの?
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