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魔道士に……
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「義姉さま! 来て」
魔法の鍛錬を頑張り、先生に許可をもらった僕は、義姉さまの手を握り、庭まで引っ張っていく。
晴天。
お昼もすぎ、傾きかけた太陽はまだまだ元気よく僕らを照らす。
うん。いい感じ。
「義姉さまはここに立っててね!」
太陽を背にし、義姉さまに立ってもらう。
「えー、なになに?」と僕の行動に興味津々で何度も聞くけれど「ないしょ」と僕は笑いかける。
太陽と義姉さまの角度を確認し、頷く。
オーケーだよね。よし。
大丈夫。うまくいく。
今日の為に、僕が起こしたい現象の条件を一生懸命勉強をしたし、魔法もいっぱい鍛錬したから。
太陽光が降り注ぐ庭で、僕が魔力を手のひらに集中させると、庭の一部だけに雨が降っているように見えた。
本当は雨ではなくて、水しぶきを集めているんだけど。
空気中の水滴を使いすぎないようコントロールしながら水しぶきを集めるのは、なかなか難しく、何度も何度も練習した。
もういいかな。
僕は水しぶきを止める。
義姉さまは、きょとんとしながら、僕の魔法をじっと見つめていたが、次第に驚きと喜びの表情に変化していく。
正面に現れたのは、小さい七色の橋。
「わぁぁぁぁ、ミカエルすごいわ!」
空気中の水滴をスクリーンにして、再現した小さな虹を、義姉さまは瞳をキラキラさせながら、見入っていた。
「ミカエル、きれい……」
「昔、部屋の窓から、見たことがあって……すごくきれいだったから、義姉さまにも見せたかったんだ」
「ありがとう! 素敵ね」
嬉しそうに笑った義姉さまは、虹よりもっと輝いていて、僕の顔を赤くするのにはじゅうぶんだった。
虹は消えてしまい、改めて周りを見渡すと、庭全体が濡れていて、義姉さまはクスクス笑う。
「今日は庭の水やりは必要ないわね。庭師がびっくりするかも」
「うん、そうだね。ジョレルには、後で言っておかなきゃ」
「ふふっ、ジョレルに怒られるかもよ?『僕の仕事なくさないでください!』って」
「うん、たぶん、怒られる」
2人で顔を見合わせ、プッと笑う。
義姉さまに喜んでもらえてよかった……
ずっと計画していた事が成功し、義姉さまの笑顔に満ち足りた気持ちになり、僕は幸せに浸っていた。
「ミカエル、凄いじゃないか!」
…………この声を聞くまでは。
聞き覚えのある声がし、僕はピタリと動きを止めた。
僕の後ろにいるであろう人物を見て、義姉さまの笑顔が凍り付く。
懐かしさと息苦しさに加え、ドクドク鼓動が早打ちし、呼吸が乱れてくる。
ゆっくり、ゆっくり、振り向き、僕の瞳に映る人物の名を、僕は口にする。
「…………父さま」
魔法の鍛錬を頑張り、先生に許可をもらった僕は、義姉さまの手を握り、庭まで引っ張っていく。
晴天。
お昼もすぎ、傾きかけた太陽はまだまだ元気よく僕らを照らす。
うん。いい感じ。
「義姉さまはここに立っててね!」
太陽を背にし、義姉さまに立ってもらう。
「えー、なになに?」と僕の行動に興味津々で何度も聞くけれど「ないしょ」と僕は笑いかける。
太陽と義姉さまの角度を確認し、頷く。
オーケーだよね。よし。
大丈夫。うまくいく。
今日の為に、僕が起こしたい現象の条件を一生懸命勉強をしたし、魔法もいっぱい鍛錬したから。
太陽光が降り注ぐ庭で、僕が魔力を手のひらに集中させると、庭の一部だけに雨が降っているように見えた。
本当は雨ではなくて、水しぶきを集めているんだけど。
空気中の水滴を使いすぎないようコントロールしながら水しぶきを集めるのは、なかなか難しく、何度も何度も練習した。
もういいかな。
僕は水しぶきを止める。
義姉さまは、きょとんとしながら、僕の魔法をじっと見つめていたが、次第に驚きと喜びの表情に変化していく。
正面に現れたのは、小さい七色の橋。
「わぁぁぁぁ、ミカエルすごいわ!」
空気中の水滴をスクリーンにして、再現した小さな虹を、義姉さまは瞳をキラキラさせながら、見入っていた。
「ミカエル、きれい……」
「昔、部屋の窓から、見たことがあって……すごくきれいだったから、義姉さまにも見せたかったんだ」
「ありがとう! 素敵ね」
嬉しそうに笑った義姉さまは、虹よりもっと輝いていて、僕の顔を赤くするのにはじゅうぶんだった。
虹は消えてしまい、改めて周りを見渡すと、庭全体が濡れていて、義姉さまはクスクス笑う。
「今日は庭の水やりは必要ないわね。庭師がびっくりするかも」
「うん、そうだね。ジョレルには、後で言っておかなきゃ」
「ふふっ、ジョレルに怒られるかもよ?『僕の仕事なくさないでください!』って」
「うん、たぶん、怒られる」
2人で顔を見合わせ、プッと笑う。
義姉さまに喜んでもらえてよかった……
ずっと計画していた事が成功し、義姉さまの笑顔に満ち足りた気持ちになり、僕は幸せに浸っていた。
「ミカエル、凄いじゃないか!」
…………この声を聞くまでは。
聞き覚えのある声がし、僕はピタリと動きを止めた。
僕の後ろにいるであろう人物を見て、義姉さまの笑顔が凍り付く。
懐かしさと息苦しさに加え、ドクドク鼓動が早打ちし、呼吸が乱れてくる。
ゆっくり、ゆっくり、振り向き、僕の瞳に映る人物の名を、僕は口にする。
「…………父さま」
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