62 / 298
ダンスパートナーは……
5
しおりを挟む僕とリーズル嬢は講堂に並べられている椅子に座り、改めて、挨拶をし合った。
「えっと……はじめまして……リーズル嬢。クロムス男爵家のご令嬢ですね?」
「はい、よろしくお願いします。ミカエル様」
公爵家を継ぐ為に主だった貴族は頭に叩き込んである。
クロムス男爵……たしか、辺境の地を所領している家門で、我がアルフォント家と遠い縁もあったはず。
「リーズル嬢はお一人でこちらに?」
「はい、伯母様の屋敷でお世話になっております」
「そこまでして……?」
「はい! どうしてもスピネル学園に入学したくて」
意気揚々と答えるリーズル嬢を見て、不思議に思う。
王立スピネル学園は、国王様の立派な臣下を育てるべく、創立された学園。
王都の貴族の令息、令嬢は、よほどのことがない限り、この学園に入学するけど、わざわざ遠くから入学するのは珍しい。
「私、ミカエル様の事は存じておりましたわ」
僕の事を知っていた?
ふぅん……アルフォント家次期当主として、有名だからね。
彼女はキラキラした瞳で僕を見つめ、少し興奮しているのか、頬に赤みが差している。
僕は満面の笑み浮かべた。
「こんな見目麗しいご令嬢の記憶に残るなんて、光栄ですね」
ああ、社交辞令って面倒くさいな。
彼女は更に興奮したように声を高める。
「ああ、ミカエル様とパートナーなんて、なんて運がいいのかしら!」
「美しいご令嬢とペアが組むことができ、私の方こそ神に感謝です」
あああ……ホント、嫌。
貴族社会では社交辞令が必須とはいえ、何言っちゃってるの? 僕は。
ご令嬢達も社交辞令を本気にしないというのが暗黙のルールだけど……本当になんだろうね? この美辞麗句の応酬は。
おかげで、本命のご令嬢にも社交辞令と思われ、恋がなかなか進まないという弊害もあり……この風習のとばっちりを1番受けているのは、義姉さまに何を言っても「さっすが社交界の花形、お世辞も完璧ですわ!」と言われ続けているジェスターだけどさ。
まぁ、そんなわけで、僕がリーズル嬢に本心ではない甘い言葉を囁いても、お互い本気にしない。貴族社会のお約束ってやつで……
リーズル嬢も本気には……本気に……は……あれ?
リーズル嬢はポッと顔を赤らめ、うつむき……
え? ちょっと……え?
1
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる