1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

文字の大きさ
83 / 298
閑話 ブライトン兄弟の内緒の話……後日談を添えて

ジェスター・シトリン 後日談

しおりを挟む


 僕は落ち込んでいた。

 クラリスに贈る予定だったオレンジ色のリボンを眺めながら、ティーパーティーを振り返る。

 エドワードに邪魔されたのは誤算だった。
 こう言っちゃあなんだが、たかが、まじない。
 まさか、大人が本気で邪魔しにくるとは思わないじゃないか。

 そして、あれよあれよという間にローザとリーズルにしてやられる。
 あのまじないって、女性同士でも有効なのか?

 そもそも、男子生徒にしか伝わっていないはずのまじないだ。ベリル家の力で情報を得たのか? と質問したら、ローザはクスリと勝ち誇ったように笑っていた。

「あら、こんなことベリル家の力なんて必要ありませんわ。お兄様に泣き落としただけですもの」 

 昨年、学園を卒業したベリル家次期当主ファルビン……妹のローザに甘すぎだろ。
 妹の為に男達なかまを裏切るなんて。
 ファルビンめ。今度、会ったら覚えてろよ。

 リボンを手渡した時の得意満面なローザの姿が頭にちらつき、小さく溜息をつく。

 もし、まじないが成功してたら、僕のリボンで髪を結ったクラリスとデートしていたかも……

 いやいやいや……僕は何を信じてるんだ……あんな非現実的なまじない一つで、僕の長年の恋が簡単に叶うわけがない。

 自分の想像に赤くなった顔をパシンッと叩き、仕事をする為、書類を取り出し、ペンを手に取った。

「ジェスター様、よろしいですか?」
「あ、ああ」

 仕事に没頭していると、ノックの音と執事ルークの声がし、僕は返事をしながら、急いで、机に置いてあったリボンを引き出しにしまう。

「これを明日の朝までに目を通しておいて下さい」

 ルークに分厚い書類の束を渡され、内容を軽く確認する。パラパラと書類をめくり「わかった」と返事をすると、思い出したような素振りを見せ、ルークが微笑を浮かべた。

「そういえば、先日、リボンをお求めになりましたよね。クラリス様にお渡しできましたか?」

 さすが、我が家の執事。なんでもお見通しだ。

 僕は書類に目を向けたまま、短く返事をする。

「……いや」
「それは、誠に残念」

 チラリと見たルークが、心底悔しそうな顔をしている事に僕は違和感を覚えた。

「あの、まじないは本物でしたのに」

 意外なルークの言葉に、思わず落としそうになった書類を机にバサッと置き、ふぅと息を吐く。
 平然を装い、机に肘を立てて手を組み、ルークの目をじっと見た。

「ルーク、詳しく」
「実はあのまじないは、現王宮魔道士長ザラ様がおつくりになったものとの情報を得てます」
「それは……本当なのか?」
「はい。わたくしめの飼ってる鼠が仕入れた情報。間違いございません」

 嘘だろ……あれ、まじないじゃなくて、魔法だったのか? しかも、術者はザラ。
 だからエドワードは「惜しかったなぁ」なんてニヤリと笑ったのか!

 僕は更に落ち込むことになる。

 あの時、ミカエルを誘うよう焚きつけたご令嬢の数を倍にしておけば良かった……と。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

処理中です...