1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

文字の大きさ
87 / 298
別宅にて……

2

しおりを挟む

 事の始まりは1週間前……

 義父さまの執務室で仕事を手伝っていた時……ノックの音と共に、義姉さまが入ってきた。

 ちょうど義父さまが僕の婚約者に名乗りをあげているナザイル侯爵令嬢の話をしていたタイミングで、義姉さまに聞こえてしまったのでは!? と僕は焦る。

「ミカエルの部屋にいったら、お父さまの執務室だって聞いたから……」

 一瞬、ブルーの瞳に戸惑いの色が現れたように見えけど、気のせいだったようで、義姉さまはニコニコしていた。

 僕は安堵する。

 良かった。聞かれてないみたい。
 もちろん、この話は断るし、変な誤解はされたくない。ありがたい事に義父さまは、無理に政略結婚はしなくていい。と言ってくれている。

「僕のかわいい娘はミカエルの事ばかりだね。たまには、父さまを構っておくれ」

 からかい口調で義姉さまに笑いかけた義父さま。それを横で聞いていた僕は少し照れてしまい、仕事に集中している振りをした。

 たしかに、僕達は仲のいい義姉弟きょうだいだと思う。
 たぶん、普通以上に……あくまで義姉弟として……だけどさ。

「もう! お父さまったら。いつも忙しくて、構ってもらえないのは私の方ですわ」

 義姉さまが少し顔を赤らめて、義父さまに反論すると、苦笑しながら義姉さまの頭をポンポンと軽く叩く。

「はいはい。ところで、ミカエルに用事があったのかい?」

「もう、お父さま。私は子供じゃありません」と言いつつも、義姉さまが義父さまを見る目は嬉しそうで、僕は、この親子のじゃれ合いをほのぼのした気持ちで眺めていた。

「あのね、ミカエル。試験休みにね、湖畔の別宅に行かないかなって誘いにきたの」

 義姉さまが僕の方を向き直り「どうかな?」と首を傾げ、僕は嬉しいお誘いにパッと顔を上げる。

 えっ! 行きたい! 
 行きたい……仕事……1日くらいは時間空けられるかな。

 今、抱えている仕事と試験休みの間の義父さまの手伝いを頭の中でシミュレーションしていると、義父さまが僕に微笑んだ。

「ミカエル、行っておいで」
「いいですか? ありがとうございます」

 嬉しい! 義姉さまとお出かけだ。
 これは……デートってやつじゃない?

「2日間くらいは休めるようにするつもりだったしね。せっかくだし、泊りで行ってきなさい」
「…………えっ?」

 動きを止め、ゆっくり義父さまを見る。
 義父さまは、いつもと変わらない穏やかな顔でニコニコしていて……

 とまり……? 泊り? 義姉さまと……?
 えっ……デートどころの話じゃ……ええっ?

「本当!? お父さま! いいの?」
「ああ、もちろん。ミカエルが一緒なら安心だし。ミカエルもたまには羽を伸ばして、のんびりしてきなさい。君は働きすぎだからね」

 義父さまは僕の頭にも手を乗せて「楽しんでおいで」と言ったけど……

 え、いや、義父さま。
 そういう問題じゃなくて……えっと……僕って……安心?

「ミカエル、楽しみね!!」

 義姉さまは無邪気に笑いかける。
 その笑顔に僕は赤くなり、うつむき加減に「そうだね……」と答えるのが精一杯だった。

 男として認識されてないんだな……と改めてショックを受けたものの、余計な事を考えるのはやめよう。
 
 義姉さまと2人でお泊りデート。
 嬉しくないわけがない!

 今度こそ、男として見てもらえるチャンスかもしれないじゃないか! 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

処理中です...