1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

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別宅にて……

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 義姉さまと2人っきりのはずが、何故か5人の大所帯になり、僕は一気に疲れてしまった。

 ……のんびりしに来たはずなのに。おかしい。

 昼になり、屋敷の調理係に準備してもらった沢山のサンドイッチを湖畔で広げて、皆で食べる。

 しっかり、人数分以上用意されているんだけど。
 本当に知らなかったのは僕だけだったのか……
 今回はジェスターに見事やられてしまったわけで……絶対に次回は策を練る。

 僕は心に誓いながらも、今日という日を邪魔された事が苦々しくてたまらず、腹立ち紛れにサンドイッチをいつもより食べまくってしまった。

 お腹もいっぱいになり、心地いい風とほどよい気候が眠気を誘う。
 
 少しぼんやりしていると、湖を眺めていた義姉さまがソワソワしだし、靴を脱ぎ始め、一気に目が覚めた。

「ね、義姉さま!?」
「少しだけ。少しだけ、湖に入ってくるわ!」

 驚いている僕らに明るく笑いかけ、素足でパタパタと湖の浅瀬に入ってしまった。

「わっ! 冷たいっ」

 スカートをつまみ、裾を少し上げた姿で湖に楽しそうに入っている義姉さまを見て、昔、家族で来た時も湖に躊躇なく、走っていった事を思い出す。

 子供の頃と変わらないな……とクスクス笑いながら、僕も靴を脱いだが、隣でジェスターも裸足になり、ズボンの裾を捲し上げ、苦笑していた。

「もう……クラリスは仕方ないな」

 僅差きんさで僕より先に義姉さまの元に歩き出すジェスター……僕も急いで行こうとすると、いそいそとローザとリーズルが靴を脱ぎ始めたのが目の端に映り、僕はギョッとする。

「えっと……2人も湖に入るの……?」
「当然ですわ。クラリス様の行くところ、このローザ、どこまでも付いていきますわ!」

 いや、そんな……大袈裟な……

「クラリス様に、エドワード様ザラ様以外の殿方が近づくなんて!!」

 君、あの2人が送り込んだ刺客なの?

 2人の主張はともかく、普通のご令嬢ならば、素足を家族や恋人以外の男に見せるなんて恥ずかしい事だと育ってきているはず。
 ……義姉さまは別として。

 そんな彼女達の裸足を見ないように視線は外したが、慣れてないであろうご令嬢2人をほっておくわけにもいかない。

 ああ、義姉さまのそばに行きたいのに!!
 女性を危険に晒すのは紳士として失格だし、義姉さまにも怒られるだろうから、僕は2人を見守るけど!

 ローザとリーズルは湖に向かってそろりそろりと歩き始め、僕は危なくないか注視しながらついて行く。

 慣れない裸足が気持ち悪いのか、2人とも微妙な顔つきになっていて……まぁ、令嬢としてはごく普通の反応だと思うけど。

 初めての体験なんだろうなぁ。

 そんな事を考えながら歩いていると、2人に気がついた義姉さまが目を丸くする。

「まぁ! お二方とも大丈夫ですか? ミカエル、ちゃんとご令嬢の2人をお守りしてね」
「あ、うん……」

 義姉さま……貴女も公爵令嬢なんですけど。

 こわごわと湖にチャプンと音を立てて入るローザとリーズルに気を取られていたのか、義姉さまはふいに何かにつまづき、よろけてしまう。

「危ない!!」

 ここにいる全員の声が重なった。
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