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別宅にて……
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この国では比較的自由恋愛も多いが、政略結婚もなくはない。
義姉さまとアルベルトの婚約は、SS魔道士である義姉さまを王家へ迎える政略結婚というのが世間の見方だけど、本当のところは(アルベルトだけの)自由恋愛だから、破棄させるのも困難だ。
なんて言ったって、片方が頑として破棄を受け入れないのだから。
政略結婚なら、いくらでも破棄させる方法もあるんだけどなぁ。
「……シトリン家はさ、政略結婚とか、ないの?」
ふと、今まで疑問だった事を切り出した。
僕ですら途切れることなく婚約の話が舞い込むのだ。シトリン家ほどの特別な家門なら、僕以上に婚約の話があってもおかしくない。
まぁ、婚約者がいるのに義姉さまを追いかけてたら、それはそれで大問題だけど。
「ああ、弟はするかもな」
「えっ? ジェスターじゃなくて?」
当主になるジェスターは自由に恋愛できて、弟は親に決められるなんて……普通、逆じゃない?
「残念だな、ミカエル」
ジェスターは僕を見てニヤッと笑い、話を続けた。
「シトリン家が世間に特別扱いされているのには、それだけの理由がある。一子相伝、当主になるものにしか伝えられない任務もある。その辺の事情は、アルフォント公爵からも聞いてるだろ?」
まあね……詳しい事情は知らないけれど、シトリン家は厳しい仕事を担っていると聞いている。
国王様とシトリン家の密約なのだろう。
だからこそ、シトリン家は特別なわけで。
「愛する女性と結婚をし、傍にいてもらうという事はシトリン家の当主には許されている……まぁ、詳しくは言えないが」
ふぅん……厳しい務めを果たす為にも、心安らぐ存在である愛する女性と結婚し、大切にするという事なんだろうか?
「僕もできるだけ、弟が好きな人と結ばれるよう、手は打つが」
ジェスターの最後の一言に僕はクスッと笑った。
なんだかんだ言っても、ジェスターは優しいよね。義姉さまが関わってくると容赦ないけどさ。
「ミカエル、誰か来たぞ」
湖を眺めたまま、微動だにせず、聞こえるか聞こえないかの声でジェスターがつぶやく。
耳を澄ますと、音を出すまいとしている足音が微かに聞こえる。
こんな夜遅くに、しかも、ここはアルフォント家の敷地内。
歓迎する客では無いのは間違いない。
お互い視線を合わせ、頷いた。
身の危険がある時は魔法を使うことは許可されている。
ガサッと音を立て、木の陰からヌッと現れた人物に空気中から集めた水をぶっかけ、凍らせようと魔力を集中させた。
ジェスターは1番得意としている火魔法を手のひらからボッと出し、暗闇の中に光を灯す。
その光で不審者の顔を確認し……驚いた僕は攻撃魔法を即中断し、ジェスターと声をハモらせた。
「アルベルトォ!?」
義姉さまとアルベルトの婚約は、SS魔道士である義姉さまを王家へ迎える政略結婚というのが世間の見方だけど、本当のところは(アルベルトだけの)自由恋愛だから、破棄させるのも困難だ。
なんて言ったって、片方が頑として破棄を受け入れないのだから。
政略結婚なら、いくらでも破棄させる方法もあるんだけどなぁ。
「……シトリン家はさ、政略結婚とか、ないの?」
ふと、今まで疑問だった事を切り出した。
僕ですら途切れることなく婚約の話が舞い込むのだ。シトリン家ほどの特別な家門なら、僕以上に婚約の話があってもおかしくない。
まぁ、婚約者がいるのに義姉さまを追いかけてたら、それはそれで大問題だけど。
「ああ、弟はするかもな」
「えっ? ジェスターじゃなくて?」
当主になるジェスターは自由に恋愛できて、弟は親に決められるなんて……普通、逆じゃない?
「残念だな、ミカエル」
ジェスターは僕を見てニヤッと笑い、話を続けた。
「シトリン家が世間に特別扱いされているのには、それだけの理由がある。一子相伝、当主になるものにしか伝えられない任務もある。その辺の事情は、アルフォント公爵からも聞いてるだろ?」
まあね……詳しい事情は知らないけれど、シトリン家は厳しい仕事を担っていると聞いている。
国王様とシトリン家の密約なのだろう。
だからこそ、シトリン家は特別なわけで。
「愛する女性と結婚をし、傍にいてもらうという事はシトリン家の当主には許されている……まぁ、詳しくは言えないが」
ふぅん……厳しい務めを果たす為にも、心安らぐ存在である愛する女性と結婚し、大切にするという事なんだろうか?
「僕もできるだけ、弟が好きな人と結ばれるよう、手は打つが」
ジェスターの最後の一言に僕はクスッと笑った。
なんだかんだ言っても、ジェスターは優しいよね。義姉さまが関わってくると容赦ないけどさ。
「ミカエル、誰か来たぞ」
湖を眺めたまま、微動だにせず、聞こえるか聞こえないかの声でジェスターがつぶやく。
耳を澄ますと、音を出すまいとしている足音が微かに聞こえる。
こんな夜遅くに、しかも、ここはアルフォント家の敷地内。
歓迎する客では無いのは間違いない。
お互い視線を合わせ、頷いた。
身の危険がある時は魔法を使うことは許可されている。
ガサッと音を立て、木の陰からヌッと現れた人物に空気中から集めた水をぶっかけ、凍らせようと魔力を集中させた。
ジェスターは1番得意としている火魔法を手のひらからボッと出し、暗闇の中に光を灯す。
その光で不審者の顔を確認し……驚いた僕は攻撃魔法を即中断し、ジェスターと声をハモらせた。
「アルベルトォ!?」
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