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王宮で……
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しおりを挟む「ミカエル様、報告書です」
最近、軌道に乗り始めた菓子事業の書類をトーマスから受け取り、サッと目を通す。
ふうん……多少の改善点はあるものの、大きな問題点は見つからない。今のところ成功と言えるかな。この分だと初期投資分も早めに回収できそう。
でも。
僕は仕入れの数値に目をやりながら、憎々しげにバード・ハミルトンの顔を思い浮かべる。
この事業の要であるバードが、何かを仕入れてくる度に口実を作り、義姉さまを誘っているのが、気に入らない。
もちろん、事前に察知し、妨害していたのだけど、とうとう今日、出し抜かれてしまった。
「バード様が質の良い蜂蜜を手に入れたらしくて。一緒にパンケーキで試食してみませんか?って誘われているんだけれど、今日、ミカエルは行ける?」
「えっ……今日?」
先程、義姉さまが僕の部屋に来て、開口一番、蜂蜜の話をしだした。
いきなりすぎだよ……っていうか、バードは僕の予定を調べ上げて、誘ったに違いない。
今日、義父さまと王宮に行く予定が入っている僕は、悔しいけど、断るしか道は残っていなかった。
「あー、それ、今日じゃないとダメ?」
答えはわかっているけれど、一応、聞いてみる。
「なんかね、バード様、明日からは隣国に行くらしいの。なので、今日じゃないと時間が取れないって……ミカエルは今日はダメみたいね。じゃあ、私だけ行ってこようかなぁ……」
うー、もちろん「ダメ」とは言えない。
義姉さまは純粋に質の良い蜂蜜に興味があるわけで……いや、でも、相手は純粋じゃないじゃん。
ダメって言いたい……言いたい……
「う、うん。わかった。あとで、内容教えてね。試食したら、すぐに帰ってきて。早く報告聞きたいし。あとさ、付き添いにトーマス連れて行きなよ。トーマス、今日は義姉さまについていってあげて」
「かしこまりました」
「えっ? でも、トーマスはミカエルのそばにいなくていいの?」
僕の予想外の提案に義姉さまは、驚きの声を上げた。
まぁ、本来ならね。僕の専属従者だし。
でも、バードの屋敷に義姉さま1人、行かせられないでしょ。
「んー、僕の方は大丈夫。義父さまと一緒だし。王宮にいる間はトーマスも馬車で待機しているだけだし。それよりもさ、トーマスは仕事のノウハウも知っているから、役に立つよ。ね、トーマス」
「はい。どうか、私をお連れ下さい。クラリス様」
トーマスは義姉さまに恭しく、頭を下げる。
さすが、僕の世話をずっとしてくれていたトーマス。
僕が言わんとしている事をすべて察してくれた。
「ふふっ。そんな大袈裟よ、トーマス。じゃあ、よろしくね」
義姉さまは、クスクスとおかしそうにに笑いながら「じゃあ、後で」と部屋を出ていった。
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