校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

鏡居雨

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CASE14 佐々木 明日香の場合

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(うぅ……、おしっこがもうすぐそこまで来てる……)

 トイレに並びながら、私はおしっこ我慢の限界が近づいてくる感触に焦っていた。

「明日香ちゃん、大丈夫?」

 先にトイレを済ませたクラスメイトが、私のことを心配して聞いてくれる。

「う、うん……。結構辛いけど、大丈夫……」(ほんとは全然大丈夫じゃないけど……)

 私はなんとか平静を装って答えた。

 普段の私は、クラスのみんなから「モデルみたいできれいだね」なんて言われるくらいだから、相当な人気者なんだと思う。

 実際、自分でもスタイルはいいほうだと思うし、そう見てもらえるように気を付けている部分もなくはない。

 けれど、そんな私の最近の悩み事。それは、おしっこが近いこと。なんでかは分からないけれど、中学3年生の夏休み明けくらいから、私はおしっこが近くなってしまった。

(ほんとは、1人分でも早くトイレに入りたいけど……)

 私の目の前に並んでいるのは、クラスで1番小柄な柚月ちゃん。柚月ちゃんは私よりも体がとっても小さいのに、私が先にトイレに入るなんてことはなかなかできないものだった。

(うぅ……、あと少しだけど……、おしっこはあと少しも余裕ないよ……)

 しょわっ、しょわわっ

「うぅっ……くうぅっ……ふぅっ……」

(!? 今、ちょっと出ちゃった!?)

 少しおしっこをちびっちゃって、必死でおしっこの出口を押さえながら順番を待っていると、目の前で柚月ちゃんが私の方を見ているのが分かった。

「明日香ちゃん、大丈夫……?」

 心配そうな顔をした柚月ちゃんが小さな声で私に聞いてきた。

「……もう無理かも……」

 声を出すのも辛いほどの尿意に、とても小さな声で私は柚月ちゃんに言った。柚月ちゃんは少し考えた後、

「明日香ちゃん、先にトイレ使っていいよ」

と言ってくれた。それと同時に、トイレのドアが開いて、私はもう何も考えられないまま、

「ごめん柚月ちゃん!」

と言ってトイレに駆け込んだ。

(出ちゃう出ちゃうっ! 早くおしっこしたいっ!)

 慌ててトイレのドアを閉めて、和式のトイレにまたがってパンツを下ろしながらしゃがむと、すぐにおしっこが出始めた。

 ばちゃばちゃばちゃっ!!

(すごい大きい音しちゃってる……絶対外まで聞こえちゃってるよね……)

 限界すれすれまで我慢した私のおしっこはなかなか出終わらなくて、1分くらい経ってようやく私はおしっこを出し終わった。

「ごめん柚月ちゃん、お待たせ!」

 そう言いながら私がトイレを出ると、柚月ちゃんではなくクラスの委員長の澪ちゃんが私と入れ替わるようにトイレに入っていった。
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