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アンリの目覚めとベンチの痛み
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「うう~ん。」
太陽の光が目にかかる。
まぶしさに顔を背けて身をよじると、背中に地面のような硬さを感じた。
(かたい、それに痛い)
なんだろうと思いさらに身をよじると、硬い地面の感触が突然に途切れた。そして、
ドスン
「いたっ!」
地面から落ちたと思ったら、地面にぶつかった。
いや、思い出した。これはベンチから落ちたのだ。
薄く目を開くといつも寝ている寝室はなく、人気のない地面が広がっていた。
「うぅ~~。」
うめき声を上げながら上体を反らすように起こす。
体がうまく動かず、肩と腰がガチガチに固まっている。
地面とベッドでこんなに寝心地が違うとは思わなかった。
座ったまま体を左右にひねると体からボキボキと音が鳴る。
そして、体をひねりながら周りを見ると隣のベンチが目に入った。ベンチに座るアッシュの姿も。
「うわあ!」
思わず声を上げて飛び上がった。
(びっくりした。なんでこんなところにアッシュが……というか。そうか、昨日の夜アッシュと一緒に寝ることになったんだった。)
驚いた効果なのか、昨日の寝る前の出来事が一瞬で蘇る。
そうだ、昨日は家に帰れなくなって、アッシュから突然催眠魔法をかけられたのだった。
驚かれた側のアッシュはとくに反応をすることもなく、感情の乗らない表情で静かにこちらを見つめていた。
「……」
「……」
気まずい。アッシュのことを見て驚いた声を上げてしまったけど、怒っただろうか。とりあえず挨拶くらいはしておかないと。
「お、おはよう。」
「おはよう。」
アッシュから挨拶が帰ってくる。とくに怒ってはいないみたいだ。
気まずさをごまかすように、地面に落ちたときに付いてしまったホコリを落とすように服を手で払う。
対するアッシュはこちらに興味がなくなったように、手に持ったサンドイッチを口に運んだ。
(……あれ?)
なんでアッシュがサンドイッチなんて持ってるんだ?
少なくとも昨日サンドイッチを持っているようには見えなかったけど。
それに今度はコップで水を飲んでいるじゃないか。
いつのまにかアッシュの座るベンチにはサンドイッチの入ったトレイが置いてある。
(これはおかしい。おかしいしうらやましい。私もお腹が減っているのに。)
サンドイッチを見ると、昨日家を出てから何も食べていないことを思い出した。
(私もお腹が減っているぞ。)と目で念を送るけれど、アッシュは素知らぬ顔だ。その間にもサンドイッチが食べられてしまっている。
「あ、あのさ。」
「うん。」
「そのサンドイッチおいしそうだね。」
「はぁ、そうかも。」
これはぜったいに察してないな。
少ししゃくだけど言葉で伝えないとダメか。
「あのさ、お願いがあるんだけど。そのサンドイッチ少しもらってもいい?」
両手を合わせて精一杯のかわいさを振りまきながらアッシュにお願いをしてみる。
対するアッシュは何の感情もなくこちらを見ていた。けれど少しすると、
「あぁ。」と何かに気づいたような声を出した。そして、
「これでいい?」
と言ってサンドイッチを2つ私に差し出した。
「ほんとにいいの?ありがとう。」
お礼を言ってサンドイッチを受け取る。
具はハムだろうか。質素な感じだけどお腹がすいているとおいしく感じる。
(まさかアッシュにお願いをする日がくるとは。)
いつもの私だったら、お腹がすいていてもアッシュにお願いなんてしなかっただろう。
感謝しているけれどなんだか複雑な気分だ。
これは私のかわいさアピールが効いた気がしないからだろうか。
モグモグとサンドイッチを食べると元気が湧いてきた気がする。
余裕ができたのか他に考えが回るようになってきた。
アッシュのことを観察すると、アッシュはサンドイッチを食べ終わって何もせずにぼーっとしていた。
もしかすると、アッシュはいつもこんなふうに朝をすごしているのだろうか。
アッシュは孤児院で暮らしているはずだから、朝も孤児院にいればいいのに。
(このまま時間を潰してから学校に行くのかな?)
そんなことを考えて、あることに思い至る。
(もしかして、このままだとアッシュと一緒に学校に行くことになるのか?)
今から家に帰ってもお母さんは仕事に行ってるかもしれないし、まだお父さんと会う気分にはなれない。
そうすると直接学校に行くことになるけれど、それは危ない。アッシュと一緒に学校に行くところなんて見られたら他の人になんて言われるかわからない。
だからといって、いきなりアッシュと離れるようとしたら雰囲気が悪くなるだろうし、けどこのままいたらそのうち誰かがここを通るかもしれないし。
う~ん、どうしようかな。
悩んでいると、アッシュがベンチから立ち上がった。そして私に話しかける。
「それじゃあ僕は行くから。」
「え、そうなの?」
「?」
私の返事にアッシュが不思議な顔をした。
(しまった。)
この返事だと私が行ってほしくないみたいな感じになってしまった。せっかくアッシュの方から行くと言ってきたのに。
「ううん、なんでもない。じゃあ、ありがとね。」
「うん。」
あわてて手を振ると、アッシュは気にした感じもなくトレイとコップを持って去っていった。
「はぁ。なんだか疲れた。」
ベンチで寝ていたというのもあるけれど、なんだか精神的にも疲れた気がする。
アッシュの歩みはゆっくりとしたもので、その姿はゆっくりと小さくなっていく。
(ヒマだな。)
そういえば、アッシュの歩いていく方向は学校でも孤児院でもない。
(いったいどこへ行くのだろう。)
アッシュはこちらを振り返る気配もなく歩き続けている。
そう。
私はヒマで。
アッシュの足取りは後を追えるくらいにゆっくりとしていて、振り返る気配もなくて。
だから私はアッシュがどこへ行くのか気になってしまったのだ。
私は静かにアッシュの跡をつけていった。
太陽の光が目にかかる。
まぶしさに顔を背けて身をよじると、背中に地面のような硬さを感じた。
(かたい、それに痛い)
なんだろうと思いさらに身をよじると、硬い地面の感触が突然に途切れた。そして、
ドスン
「いたっ!」
地面から落ちたと思ったら、地面にぶつかった。
いや、思い出した。これはベンチから落ちたのだ。
薄く目を開くといつも寝ている寝室はなく、人気のない地面が広がっていた。
「うぅ~~。」
うめき声を上げながら上体を反らすように起こす。
体がうまく動かず、肩と腰がガチガチに固まっている。
地面とベッドでこんなに寝心地が違うとは思わなかった。
座ったまま体を左右にひねると体からボキボキと音が鳴る。
そして、体をひねりながら周りを見ると隣のベンチが目に入った。ベンチに座るアッシュの姿も。
「うわあ!」
思わず声を上げて飛び上がった。
(びっくりした。なんでこんなところにアッシュが……というか。そうか、昨日の夜アッシュと一緒に寝ることになったんだった。)
驚いた効果なのか、昨日の寝る前の出来事が一瞬で蘇る。
そうだ、昨日は家に帰れなくなって、アッシュから突然催眠魔法をかけられたのだった。
驚かれた側のアッシュはとくに反応をすることもなく、感情の乗らない表情で静かにこちらを見つめていた。
「……」
「……」
気まずい。アッシュのことを見て驚いた声を上げてしまったけど、怒っただろうか。とりあえず挨拶くらいはしておかないと。
「お、おはよう。」
「おはよう。」
アッシュから挨拶が帰ってくる。とくに怒ってはいないみたいだ。
気まずさをごまかすように、地面に落ちたときに付いてしまったホコリを落とすように服を手で払う。
対するアッシュはこちらに興味がなくなったように、手に持ったサンドイッチを口に運んだ。
(……あれ?)
なんでアッシュがサンドイッチなんて持ってるんだ?
少なくとも昨日サンドイッチを持っているようには見えなかったけど。
それに今度はコップで水を飲んでいるじゃないか。
いつのまにかアッシュの座るベンチにはサンドイッチの入ったトレイが置いてある。
(これはおかしい。おかしいしうらやましい。私もお腹が減っているのに。)
サンドイッチを見ると、昨日家を出てから何も食べていないことを思い出した。
(私もお腹が減っているぞ。)と目で念を送るけれど、アッシュは素知らぬ顔だ。その間にもサンドイッチが食べられてしまっている。
「あ、あのさ。」
「うん。」
「そのサンドイッチおいしそうだね。」
「はぁ、そうかも。」
これはぜったいに察してないな。
少ししゃくだけど言葉で伝えないとダメか。
「あのさ、お願いがあるんだけど。そのサンドイッチ少しもらってもいい?」
両手を合わせて精一杯のかわいさを振りまきながらアッシュにお願いをしてみる。
対するアッシュは何の感情もなくこちらを見ていた。けれど少しすると、
「あぁ。」と何かに気づいたような声を出した。そして、
「これでいい?」
と言ってサンドイッチを2つ私に差し出した。
「ほんとにいいの?ありがとう。」
お礼を言ってサンドイッチを受け取る。
具はハムだろうか。質素な感じだけどお腹がすいているとおいしく感じる。
(まさかアッシュにお願いをする日がくるとは。)
いつもの私だったら、お腹がすいていてもアッシュにお願いなんてしなかっただろう。
感謝しているけれどなんだか複雑な気分だ。
これは私のかわいさアピールが効いた気がしないからだろうか。
モグモグとサンドイッチを食べると元気が湧いてきた気がする。
余裕ができたのか他に考えが回るようになってきた。
アッシュのことを観察すると、アッシュはサンドイッチを食べ終わって何もせずにぼーっとしていた。
もしかすると、アッシュはいつもこんなふうに朝をすごしているのだろうか。
アッシュは孤児院で暮らしているはずだから、朝も孤児院にいればいいのに。
(このまま時間を潰してから学校に行くのかな?)
そんなことを考えて、あることに思い至る。
(もしかして、このままだとアッシュと一緒に学校に行くことになるのか?)
今から家に帰ってもお母さんは仕事に行ってるかもしれないし、まだお父さんと会う気分にはなれない。
そうすると直接学校に行くことになるけれど、それは危ない。アッシュと一緒に学校に行くところなんて見られたら他の人になんて言われるかわからない。
だからといって、いきなりアッシュと離れるようとしたら雰囲気が悪くなるだろうし、けどこのままいたらそのうち誰かがここを通るかもしれないし。
う~ん、どうしようかな。
悩んでいると、アッシュがベンチから立ち上がった。そして私に話しかける。
「それじゃあ僕は行くから。」
「え、そうなの?」
「?」
私の返事にアッシュが不思議な顔をした。
(しまった。)
この返事だと私が行ってほしくないみたいな感じになってしまった。せっかくアッシュの方から行くと言ってきたのに。
「ううん、なんでもない。じゃあ、ありがとね。」
「うん。」
あわてて手を振ると、アッシュは気にした感じもなくトレイとコップを持って去っていった。
「はぁ。なんだか疲れた。」
ベンチで寝ていたというのもあるけれど、なんだか精神的にも疲れた気がする。
アッシュの歩みはゆっくりとしたもので、その姿はゆっくりと小さくなっていく。
(ヒマだな。)
そういえば、アッシュの歩いていく方向は学校でも孤児院でもない。
(いったいどこへ行くのだろう。)
アッシュはこちらを振り返る気配もなく歩き続けている。
そう。
私はヒマで。
アッシュの足取りは後を追えるくらいにゆっくりとしていて、振り返る気配もなくて。
だから私はアッシュがどこへ行くのか気になってしまったのだ。
私は静かにアッシュの跡をつけていった。
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