異世界へ転送された〜どうなるの俺の人生〜

水無月 神楽

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一章

異世界へ転送なんて望んでねぇ

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 神楽。それは、日本の神道の神事において神に奉納するため奏される歌舞である。
 こんなことを考えていた。楽の人たちの美しい音色と、歌声が響いている。そろそろ俺の出番だ。今日は、年に一度の太刀納め。最初の演目は『神降し』だった。
 神の役の俺は、急いで、青紫色の幕の裏にスタンバイした。
 俺は、霧海 武蔵[きりうみ むさし](15)、高校生である。普通の学生LIFEを生きる高校一年生だ。部活は何も入っていない帰宅部だ。神楽を舞えるだけでいい。
 こんなことを考えていたら、俺の出番が来た。幕が上がり、舞台へ出る。観客の視線が怖い。失敗しないよう神さまに祈っていた。
 緊張しながらも黙々と舞っていく。他の舞い手の人と合わせながら。
 そして、終盤を迎えてゆく。だからといって、緊張を解いてはいけない。油断は禁物である。長年の経験である。
 最後、幕に入る瞬間。何か変な感覚がした。幕の裏へ入りきり、後ろを振り向いた。すると、全てが止まっていた。時が止まっていたと言えばいいだろう。何もかもが、固まったように動かない。
 すると、声が聞こえた。

「我を呼ぶのは何奴なるか。」
「へっ…………。誰ですか。」
「儂の名前も知らないとは、今の世界は変わっているな。長い時を眠っていたからか。」

 誰だ、本当に誰なんだ。神降しだけに神さまが降臨したのか。

「本当に誰ですか。」
「本当に知らんのか。」
「知りません。」
「伊邪那岐(イザナギ)だよ、伊邪那岐。」
「伊邪那岐。へっ…………。あの最初の神さまの。」
「諸説じょうそうじゃだな。」

 なんだろう。俺は今、芸能界のトップアイドルよりも凄い人と、話をしている気がする。
 てか、伊邪那岐さんが俺に何のようなのだ。姿も見たことがないな。

「伊邪那岐さんが、俺に何のようですか。」
「呼んで来たから、儂に用があるのかと。」
「ないですよ。まず、伊邪那岐さんみたいな凄く偉い人なんて用があるわけないじゃないですか。」
「そうなのか。儂が起きていた時代は、大飢饉があったから。苦しい時の神頼みってことだ。」

 なるほど、時代が違うせいなのか。
 とにかく、帰って頂こう。

「すみません。帰ってもらえませんか。」
「帰るけど、異世界へ転送するよう。」
「はっ。何でだ。何故異世界へ行かないといけないんだ。」
「儂を降臨させる力を見込んで頼みたい。」

 なんて迷惑な神さまなんだ。自分勝手な神さまやな。
 でも、異世界には、いささか興味はあるが、リスクが高すぎる。でも行きたい。頭の中が混乱する。
 だが、人たるもの、好奇心には抗えないのだ。そして決めた。

「異世界へ転送を望みます。」
「ん、いや、もう転送させるよ準備っていうか完了してるよ。」
「え、ちょっとまっ。」

 真っ暗な闇の中。何も見えない。
 家族の挨拶を済まさないまま、異世界へ転送しやがった。俺は、こんな異世界転送を望んでいない。
 しかし、転送されるのは、ちょっとばかしわくわくしていた。

「そろそろ着くよ。」

 ほんの数十秒くらいだった。

「っと、その前に、これに入力して。」

 そこには、『ニックネームを入力』と、書かれてあった。
 ニックネームねぇ。ふっふっふ、俺はすでに決めている。ニックネームは『Kagura』だ。
 Kagura、いい響きだ。ゲームのニックネーム入力回数第一位だ。この名前で、いろいろなゲームをコンプリートしてきた。
 そして、『Kagura』と、入力して決定ボタンを押した。

「ようこそ、異世界へ。」

 伊邪那岐さんは、そういうと、声が途絶えた。
 そして、俺の人生はスタートした。転送した場所は、緑溢れる森の中だった。開拓をされている様子はなかった。空気がうまい。前いた世界では、見られない光景だ。
 服装は、ジャージの上下セットプラス靴下にスポーツシューズにジャージ上の中は、白のシャツ。
 少し現状確認というか、どうすればいいのか、試行錯誤をしてみた。
 すると、右上に『メニュー』の描かれているのを発見した。その下には、HPとMPが数値で表示されていた。
 左下には、『必殺技』と書かれていた。その上には、『クイック使用』と、描かれていた。
 『メニュー』を押してみた。すると、次の項目が表示された。

メニュー
・ステータス
・装備
・無限BOX
・スキル
・その他

 この五つが表示されていた。ステータスの表示を押した。すると、こう表示された。

ステータス
HP100 MP50 レベル一
攻撃力10
防御力1
回避25

 まあまあなステータスだな。レベル一で、HPが100なのはありがたいと思う。
 某RPGだと結構低いからな。ありがたやありがたや。
 少し体を動かしてみた。やっぱりなんというか前いた世界より体がよく動く。50m走ってみたが、多分、約5秒台くらいで走ることが出来る。結構嬉しい。元いた世界は7秒台だったからな。
 そんなことを考えていた。とりあえず街道でも探そうかな。ちょっと走ってみた。五分くらい走っていた。
 思いのほかすぐに見つかった。結構緑が深かったから森の奥にいたのかと思っていたから安心した。
 石造りのしっかりした街道だった。コンクリートではない自然そのものだった。しっかりした造りだった。
 ちょっとスキルのことが気になり、木陰に隠れて、確認した。
 『メニュー』からスキルの表示をタッチした。すると、以下のスキルが表示された。

スキル
・鑑定眼(大御神級)
・鬼神化[特定の条件の元発動]

 たったこれだけ。でも、鑑定出来るだけありがたいな。早速何か鑑定してみようかな。てか、大御神級ってなんだよ。それに鬼神化が気になる。特定の条件ってわからないから今は、気にしないようにしておこう。
 さて、鑑定鑑定。とりあえず、木を鑑定してみた。『樫の木』と書かれてあった。元いた世界にあったな。桜なんてあったらいいな。和の大好き人間の俺にとって、生活必需品だ。畳もあってくれたらいいな。
 ま、あとは、アニメとかあってくれたらいいな。あるわけないか。
 とりあえずスタート直後に流星雨が降ってきてないし、それにチート並みのパワーもない普通のスタートでよかった。
 とりあえず、街道を歩いてみるか。歩いて行く度、人通りが多くなってきた。そろそろ街に近づいてきたのかな。
 五分くらい歩いて行くと、巨大なレンガ造りの壁があった。多分40mはあるだろう。とにかくでかい。
 とにかく、この街を鑑定してみよう。

エスメリック王国
 身分の差が激しい国。奴隷など貧民なども住んでいるが、生活はいつも限界だ。市民なども住んでいる。この世界では普通レベルだ。

 この国が、世界の常識的なのか。わからないことは、とりあえずスルーしよう。
 まずは、王国の中に入ってみるか。王国の入り口まで走っていった。人混みをかき分けて。
 着くと、そこにはお金が必要なことがわかった。入場料がかかるのか面倒だな。って、俺ってお金持ってたっけ。無限BOXを確認してみた。多分そこに入っているだろう。
 確認すると二十万ゴルドあった。すると、『メニュー』が光っていた。『メニュー』をタッチした。すると『その他』ところが丸一と書かれていた。タップしてみた。
 すると『メール』とあった。そこをタップしてみた。題は、『お金に関して』とあった。開いて読むと、こんな感じだった。
 ゴルド一枚は、現実世界での一円だった。そう考えると、俺の手持ちは、二十万円とゆうことだ。鑑定したら、王国への入場料は百円と言うことだ。
 入り口の前に行きお金を渡すと、王国の中へ入れてくれた。なんか証みたいなのは作らなくていいのは便利だな。
 王国に入ると、そこはまだ王都ではなく、インサイトシティーというところらしい。
 街造りは、洋風で、レンガ造りの家に石造りの家がある。見ていて楽しい。洋風もいいな。
 道は安定の石造りだ。ゲームの中のファンタジー世界だ。生で観るとやはり違うな。感動している自分がいる。
 とりあえず、泊まる宿でも見つけるか。
 街の景色に見惚れながら歩いていた。そして、道行く人に場所を聴きながら、あと本能の赴くままに。
 そして、十分くらいたってついた。『宿屋エルギーニ』とあった。入ってみると落ち着いた内装だった。結構好きな雰囲気だ。
 チェックインするためにカウンターに向かった。

「いらっしゃっいまし。」
「こんにちは、宿を借りたのですが、料金はいくらですか。」
「料金は一泊1000ゴルドです。」
「だったら、十泊したいので一万ゴルドで、お願いします。」
「かしこまりました。」

 チェックインを済まし、101号室に向かった。そしてベットにのっかった。
 今日はいろいろあったな。楽しかったが、やっぱり太刀納めちゃんと舞いたかったな。そこだけ後悔している。
 そして、一番後悔をしているのは、彼女作らずこの世界にきた…………こほこほん、実際は、親への挨拶を済ませたり、それに、お世話になった神楽団の団長に挨拶を済ませたかった。ただそれだけが後悔だ。
 明日から頑張るか。今思うと、伊邪那岐さんありがとう。だが、もっとゆっくり異世界へ転送しろ。
 俺は、こんな異世界転送を認めない。
 
 
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