恋愛初心者の恋の行方

あおくん

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学園編~四学年~

17.初めての校外授業

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遂にやってきた校外授業。
何人かは先生に合格を貰えていない人がいたけれど、それでもほぼ全員が合格ということでこの場にいた。

私達は今学園の出入り口である門の前に集まっている。
そして目の前にはほとんどの生徒が就職を希望すると言われているキュオーレ王国王立騎士団の服を身に纏った人たちがいた。

目を輝かせる者、知り合いがいたのか表情が明るい者、興味がないのかいつもと変わらない者と様々な反応をする生徒達に先生はおっほんと咳ばらいをする。
これで皆が表情を引き締めた。

先生の指示に従い、事前に確認していた番号を思い出した私は右端から三番目の綺麗な金髪をした騎士の人の前に立つ。
私に続き、レロサーナとエステルが集まった。
事前にくじで決めたチームだけど、初めての学園の外。
やっぱり気心知れた人がいいと思っていたから、二人の姿を見て安堵する。

「よかった、サラとエステルが一緒で」

小声でささやくレロサーナに私もと笑って返した。
そうして属性ごとに合格を貰えた生徒がグループごとにわけられた後は、各チームごとに軽く自己紹介をした。
私たちを担当するのはクロード・シモンさんという騎士で、早速シモンさんの指示に従い移動する。

門をくぐり学園を離れた場所に待機していた馬に近寄ると、シモンさんは「ここからは馬に乗って行動する」と告げる。
レロサーナとエステルが返事をして、それぞれ馬を決めている中私はシモンさんに近づいた。

「あの、馬に乗ったことがないんですけど…」

「馬に乗ったことがない?」

「はい……」

私はコクリと頷いた。
私の言葉が聞こえていたのか馬に乗った二人が驚いた様子で私を見る。

マーオ町では馬に乗る習慣がない。
農業が盛んで土地が広い町だといっても、馬が必要になるほどに交通に関して不便はしていないからだ。
たくさんの買い物を運ぶ際や遠出をする際は、浮遊の魔法を掛けるか契約している霊獣を呼んで手伝ってもらう。そんな感じの生活をしていたから馬に乗る必要なんて一度も感じなかった。
それに私は平民だから馬を飼ったりもしていない。

(学校でも習ってなかったし)

学園では様々なことを体験させてもらっていたけれど、乗馬の授業はなかった。
だから余計私が馬に乗れるわけがなかったのだ。

二人があっさり乗れたということは貴族にとっては普通のことなんだろうと頭の片隅で思いながらも、シモンさんを見上げると少し考えた後に馬に乗り、そして私に手を伸ばした。

「?」

「私と一緒で構わないのであれば手を貸しなさい」

そう言われた私はシモンさんの手をすぐに掴んだ。
するとグイっと力強く引っ張られ、私はシモンさんの後ろに乗り込む。
いつの間に移動させたのか、シモンさんが座っていた鞍の上に私が座り、シモンさんは馬の背中の上に直に乗る形となった。

鞍って馬に乗る時に需要な物なんだよね。
馬に乗ったことはなくてもなんとなく知ってるから、譲ってくれたシモンさんにはすごく申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

大人の男性だから座高も高く、体つきもしっかりしている為普通に座っては前が見れないほどに高いシモンさんに私は横から伺う形で声をかけた。

「あの、ありがとうございます」

「気にすることはない。馬に乗れない平民は多い。
君の年頃なら余計そうだろう。実際騎士団になってから乗馬の訓練を行うものがいるんだ」

「そうなんですね」

シモンさんの言葉に少しだけ心が軽くなる。
騎士団には平民も多く在籍していると聞いてはいるが、シモンさんの身近にもいるのだなと思った。

「学園内で討伐実践はしたことがあるかもしれないが、今日は後ろで見るだけに留めておくように」

そういってシモンさんは馬を走らせる。
レロサーナとエステルも遅れることなく着いていくのをみて、二人ってやっぱり貴族なんだなと改めて感じた。

でもそれは二人が貴族にみえないというわけではない。
二人は同じクラスメイトでも身分が上であれば敬語を崩さないし、仕草も私みたいに崩すことはない。
私が改めて思うのは、私と一緒だと口を大きく開いて笑うし、愚痴だっていうし、私が平民だからという考えで接しているというより、対等な立場として接してくれていると思わせてくれるから、二人のこういう姿を見るとやっぱり貴族なんだなと思うのだ。

私は前を向く。
馬ってすっごい上下に動くんだなと思いながら、私は体の芯を安定させるように常に体に力を入れた。

王都を出ての初めての森に近づいたところで四~五人はいるシモンさんと同じ騎士団の服を着ている人達と合流する。
どうやらシモンさんだけで引率するんじゃなくて、シモンさんのチームの中にお邪魔させてもらう感じのようだ。

(だから後ろで見ているように言っていたのね)

ちらりと視線を前に座るシモンさんに向けると、シモンさんは気にすることもなく他の騎士の人たちに話しかける。

「どうだ?」

言い方からしてシモンさんがリーダー的存在なのだと印象を抱きながら、騎士団の人たちの話に耳を傾けた。
エステルとレロサーナも、シモンさんからの指示を待ち、後ろで待機している。

「はい。情報通りで間違いないかと思います」

「そうか。ならこちらについては冒険者に回そう。
私達は森に入るぞ」

「はい!」


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