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学園編~五学年~
16 先生の確認
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「へ?ここ、どこ?」
私の目の前には鬱蒼とした森が広がっていた。
陽の光も満足に入ってこない程に薄暗く、どんよりとした空気が漂っているようにも感じる。
でも似たような場所なら知っている。
それに先生が転移魔法を使ったのならここは学園内で、授業で使う練習場やエリア内のどこかだろう。
私は一度息を吐き出し意識を切り替える。
冷静になれた私は周りを見渡した。
鬱蒼とした森の中、視界で確認できる範囲ではあるがこの場所にいるのは私一人だけ。
私以外いないということは、生徒一人一人を別々に飛ばしたのだろう。
あの先生が理由もなくこんなことをするなんて考えられないけど、エリア内に飛ばしたということは戦えということだ。
それが魔物か対人戦かわからないけど。
私はローブのフードを被り魔力を流した。
そして探知魔法で周りを探りながら慎重に移動する。
するとガサツと音がした。
私は足を止めて戦闘態勢に入る。
探知魔法で近くに何かが潜んでいるとわかっていたからだ。
じっとその場に留まるが、相手も警戒しているのか中々出てこない。
私はしょうがなく、腰辺りまで上げていた腕を下した。
だらんと力を抜いて、いかにも私が警戒を解いたかのような、そんな姿勢を作る。
「「「「ガオオォォ」」」」
すると大きな鳴き声と共に前方、後方、そして左右からそれらは現れた。
「ウルフ!?」
私は姿を現した魔物を見て驚いた。
狼のような見た目をした魔物。
動きはすばしっこく、そして群れで行動する魔物で、子供の頃の私が初めてみた魔物でもある。
だからか、驚きはしたがそれと共に喜びもあった。
「…ちょうどいいわ。私ウルフは一度倒したいってずっと思ってたの」
子供の頃何もできなかった私の悔しさを晴らすため、そして当時の自分よりもずっとずっと成長していることを見せつける為。
誰に見せつけるって?勿論自分だ。
授業で幻術魔法ではあるがウルフと戦う機会はないのかというと、あるにはある。
だけど討伐目標である魔物はくじ引きで決めるし、実戦向きとして幻術魔法で作られた魔物は基本的に森にそっくりな環境でもあるエリアの中に彷徨っているのだ。
だが何故か全くクジも引かなかったし、遭遇もしなかった。
私の運がわるいのか、それとも数が少ないのか、それともウルフが私を避けていたのか。
私は飛び掛かってくるウルフたちを回避するために、足元に氷を作りそれを円柱のように高い場所まで伸ばしていく。
勿論魔力を込めて作ったから簡単に折れたりはしないだろうけど、それでもウルフ達の攻撃で壊れたりしないように、防御の魔法を周りに展開しておく。
ウルフは見た目からして狼なだけに木登りは出来ない。
だけどこんな鬱蒼とした森の中だとその考えは外れる。
ウルフは高い身体能力から木を踏み台にして、まるでジャンプ台を使っているかのように器用に上るのだ。
だから上空に避難してもすぐにウルフたちは飛び掛かる。
私は更に上空に移動しながらもウルフたちを回避していった。
「…そろそろいいかな?」
私が作った氷以外、上空には当然だが足場となるようなものはなにもない。
だからその氷がウルフ達のジャンプ台に利用されないように、私は氷の魔法を新たに作ると浮遊の魔法を掛けてそれを足場とした。
そして氷の柱を解除する。
飛ぶことが出来ない魔物たちが上空にいる存在に手を伸ばすためには、とても背の高い木が必要になる。
ならウルフたちがどこから攻撃するのかなんて、すぐにわかるというものだ。
私はにやりと笑った。
上空に留まった私は指を鳴らし魔法を展開させると、ウルフたちはあっという間に私が発動した水魔法に取り込まれ、そのまま氷漬けになる。
そして重力が働いた氷はそのまま地上へと落下した。
大きな氷の塊だった為、落ちた音はパリンというよりゴドッとした鈍い音だったが、それでも衝撃によって氷は割れた。
中に確かに閉じ込めたウルフたちは一匹も残らずいなくなっていた。
だけどそれは逃げた、というわけではない。
学園が作り出した幻術魔法の魔物を討伐できたという証拠だった。
(それにしても服への魔力付与が出来るようになってよかった)
じゃないと今頃私の制服は穴だらけだろう。
ウルフたちの攻撃を避けることは出来るけど、完璧にではない。
人間よりも身体能力が高い動物系の魔物の攻撃を、全て完璧に避けるなんて出来るのはこの学園の生徒だと騎士科だけだ。
「…それにしても上がりすぎたわね」
浮遊の魔法はあくまでも風属性以外、自分には使うことが出来ないから、氷にかけた魔法を解除すれば落下して地上へと戻ることは出来るが、大きく成長した木よりももっとずっと高い場所まで上がっている今の場所から、下手に魔法を解除するわけにはいかなかった。
なにも考えずに解除してしまったら、落ちて衝撃で割れた氷のように私の骨も砕け散るだろう。
「んん、氷で階段でも作って下りる?」
そんなことを呟きながらどうしたら楽かな、早く降りれるかなと考えていると、私の足元には転移の魔方陣が浮かび上がり、そして学園の前へと移動されたのだった。
「へ?ここ、どこ?」
私の目の前には鬱蒼とした森が広がっていた。
陽の光も満足に入ってこない程に薄暗く、どんよりとした空気が漂っているようにも感じる。
でも似たような場所なら知っている。
それに先生が転移魔法を使ったのならここは学園内で、授業で使う練習場やエリア内のどこかだろう。
私は一度息を吐き出し意識を切り替える。
冷静になれた私は周りを見渡した。
鬱蒼とした森の中、視界で確認できる範囲ではあるがこの場所にいるのは私一人だけ。
私以外いないということは、生徒一人一人を別々に飛ばしたのだろう。
あの先生が理由もなくこんなことをするなんて考えられないけど、エリア内に飛ばしたということは戦えということだ。
それが魔物か対人戦かわからないけど。
私はローブのフードを被り魔力を流した。
そして探知魔法で周りを探りながら慎重に移動する。
するとガサツと音がした。
私は足を止めて戦闘態勢に入る。
探知魔法で近くに何かが潜んでいるとわかっていたからだ。
じっとその場に留まるが、相手も警戒しているのか中々出てこない。
私はしょうがなく、腰辺りまで上げていた腕を下した。
だらんと力を抜いて、いかにも私が警戒を解いたかのような、そんな姿勢を作る。
「「「「ガオオォォ」」」」
すると大きな鳴き声と共に前方、後方、そして左右からそれらは現れた。
「ウルフ!?」
私は姿を現した魔物を見て驚いた。
狼のような見た目をした魔物。
動きはすばしっこく、そして群れで行動する魔物で、子供の頃の私が初めてみた魔物でもある。
だからか、驚きはしたがそれと共に喜びもあった。
「…ちょうどいいわ。私ウルフは一度倒したいってずっと思ってたの」
子供の頃何もできなかった私の悔しさを晴らすため、そして当時の自分よりもずっとずっと成長していることを見せつける為。
誰に見せつけるって?勿論自分だ。
授業で幻術魔法ではあるがウルフと戦う機会はないのかというと、あるにはある。
だけど討伐目標である魔物はくじ引きで決めるし、実戦向きとして幻術魔法で作られた魔物は基本的に森にそっくりな環境でもあるエリアの中に彷徨っているのだ。
だが何故か全くクジも引かなかったし、遭遇もしなかった。
私の運がわるいのか、それとも数が少ないのか、それともウルフが私を避けていたのか。
私は飛び掛かってくるウルフたちを回避するために、足元に氷を作りそれを円柱のように高い場所まで伸ばしていく。
勿論魔力を込めて作ったから簡単に折れたりはしないだろうけど、それでもウルフ達の攻撃で壊れたりしないように、防御の魔法を周りに展開しておく。
ウルフは見た目からして狼なだけに木登りは出来ない。
だけどこんな鬱蒼とした森の中だとその考えは外れる。
ウルフは高い身体能力から木を踏み台にして、まるでジャンプ台を使っているかのように器用に上るのだ。
だから上空に避難してもすぐにウルフたちは飛び掛かる。
私は更に上空に移動しながらもウルフたちを回避していった。
「…そろそろいいかな?」
私が作った氷以外、上空には当然だが足場となるようなものはなにもない。
だからその氷がウルフ達のジャンプ台に利用されないように、私は氷の魔法を新たに作ると浮遊の魔法を掛けてそれを足場とした。
そして氷の柱を解除する。
飛ぶことが出来ない魔物たちが上空にいる存在に手を伸ばすためには、とても背の高い木が必要になる。
ならウルフたちがどこから攻撃するのかなんて、すぐにわかるというものだ。
私はにやりと笑った。
上空に留まった私は指を鳴らし魔法を展開させると、ウルフたちはあっという間に私が発動した水魔法に取り込まれ、そのまま氷漬けになる。
そして重力が働いた氷はそのまま地上へと落下した。
大きな氷の塊だった為、落ちた音はパリンというよりゴドッとした鈍い音だったが、それでも衝撃によって氷は割れた。
中に確かに閉じ込めたウルフたちは一匹も残らずいなくなっていた。
だけどそれは逃げた、というわけではない。
学園が作り出した幻術魔法の魔物を討伐できたという証拠だった。
(それにしても服への魔力付与が出来るようになってよかった)
じゃないと今頃私の制服は穴だらけだろう。
ウルフたちの攻撃を避けることは出来るけど、完璧にではない。
人間よりも身体能力が高い動物系の魔物の攻撃を、全て完璧に避けるなんて出来るのはこの学園の生徒だと騎士科だけだ。
「…それにしても上がりすぎたわね」
浮遊の魔法はあくまでも風属性以外、自分には使うことが出来ないから、氷にかけた魔法を解除すれば落下して地上へと戻ることは出来るが、大きく成長した木よりももっとずっと高い場所まで上がっている今の場所から、下手に魔法を解除するわけにはいかなかった。
なにも考えずに解除してしまったら、落ちて衝撃で割れた氷のように私の骨も砕け散るだろう。
「んん、氷で階段でも作って下りる?」
そんなことを呟きながらどうしたら楽かな、早く降りれるかなと考えていると、私の足元には転移の魔方陣が浮かび上がり、そして学園の前へと移動されたのだった。
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