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冒険者編①
35 ギルド
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手を取り合い、互いに力強く握り合った私とレルリラだったが、私ははっとしてレルリラに問う。
共に活動するということは私としては問題ないけど、騎士団としての考えを知らないからだ。
果たして冒険者と共に行動してもいいのだろうか。と。
「そうだ。騎士団の方は冒険者の私と_」
そこまで言った私は言葉を失うこととなる。
レルリラが何を思ってかわからないけど、急に私の手を引きよせて手首に顔を近寄らせたからだ。
顔を近寄らせたといっても唇を触れさせているわけではない。
だけど吐息が手首にかかり何故か急に恥ずかしさを覚える。
『僕の目の前でなにを_!』
「俺の魔力を付与しておいた」
小さな体のまま飛び掛かるフロンを片手で捕まえたレルリラはあっさりとした態度でそう言った。
「…ま、魔力付与?」
なんで?
私はドギマギしながら首を傾げるとレルリラは顔を背けて答える。
なんとなくだか、少しだけ赤く見える気がした。
本当に赤くなっているのか確かめたい気持ちもあったが、私は私で急なレルリラの行動に挙動不審気味になってしまっているから、レルリラの表情はちらっとしか見ることができず、レルリラの手から逃げ出したフロンを目で追っている。
そしてボソリと呟かれた声が私の耳に届く。
「お前、女友達とは手紙のやり取りをしているんだろ…」
「レルリラ……、アンタまさか……」
私は思わずレルリラの方を向いた。
さっきは直視することが出来なかったが、今はもう大丈夫。
寧ろ今レルリラの表情を見なければ後悔するという謎の直感が働いた。
レルリラはやっぱり顔を赤らませて、告げられた言葉を合わせると、どうやら照れている様子だった。
レルリラには悪いけど、なんとなく嬉しい気持ちが湧き上がる。
「とにかく、これで俺の魔力だってわかるんだ。
なにかあったらすぐに知らせろ」
いいな?といってレルリラは立ち上がり、かけているローブを手に取って部屋から出ようとしていた。
魔法がかかった手紙は届け先の指定か、相手の魔力を読み取らせれば手紙を届けることが出来る。
私の手首につけている時計に魔力を付与したことから、レルリラは私と手紙のやり取りをしたかったのだろう。
まぁ約束していたとはいえ、半年も連絡を取り合っていなかったのだから、近況を知りたくなる気持ちはわかるけど、素直に言えず恥ずかしがるレルリラに私は笑いながら引き留めた。
「ちょっと待ってよ」
「なんだ?」
「一緒に行動するって言っても今ギルドの方針で、冒険者は三人以上で行動するようにいわれているの。
レルリラと行動したとしても二人でしょ?しかも冒険者じゃないし、だから問題ないかを確認しにギルドに行こうと思うんだけど、付き合ってくれない?」
私はレルリラにお願いすると、レルリラはすぐに「わかった」といって頷いてくれた。
同じ冒険者ならルールを守れと言われて終わりそうだけど、レルリラは騎士団だし、意外と了承してもらえるかもしれないけど、騎士団がなんで冒険者と一緒にクエストをやるんだと虚偽の疑いを掛けられそうだと不安だったから着いてきてもらえることに安堵する。
早速私はレルリラと一緒にギルドに向かうことにして、着替えるからとレルリラを部屋から追い出そうとしたとき、逆にベッドへと戻される。
何だと問えば、もっと休めといわれる。
「善は急げでしょ」
「今何時だと思ってんだ」
「何時って……」
私は外を見るとどっぷりと真っ暗闇に覆われた外が見えた。
「え」と時計を確認すると次の日付になったばかりの時間帯。
そりゃあ外も真っ暗なはずだと私は思った。
「朝まで寝てろ」
「じゃあレルリラは…」
「心配するな。ちゃんと傍にいるから」
レルリラの大きな手が私の目を覆う。
温かい体温が心地よくて、さっきまで寝ていた筈の私はすぐに夢の世界へと意識を手放した。
◆
「んっ…」
目を覚ました私はレルリラがいることを確認した。
寝ずらい筈なのに、椅子に腰かけた状態で腕を組み目を瞑っていたレルリラは、私が起きたことに気付いたのか、それとも今眠りから目覚めたのかゆっくりと瞼を持ち上げながら私を見る。
「寝れたか?」
「うん」
「じゃあ外で待っているから支度してから来いよ」
そういって部屋から出ていくレルリラを見送ってから、私は体を起こして服を着替えた。
(……本当に傍にいてくれたんだ…)
なんだかくすぐったい気持ちになりながらも、椅子に座った状態で眠らせてしまったことに罪悪感を積もらせながら部屋を出る。
一階に降りるとずっと心配していたのだろう、出掛けようとする私を呼び止めたお母さんに抱き締められた。
事情を簡単に説明しようとすると、レルリラに聞いていたのか大体のことを知っていて、外で待っているレルリラに私のことを頼みますって頭を下げる。
なんだが先生に挨拶している親の様子を見たような気がする光景に私はなんとも言えない気分になったが、レルリラを引っ張ってギルドに向かった。
ギルドではとてもてんやわんやとしていたが、私に気付いたアラさんが駆け寄り抱き締める。
「サラちゃん!よかった無事で!」
ぎゅうっと抱き締めるアラさんの手が少し震えていて、私はアラさんにもとても心配かけたことを知った。
「……心配かけてごめんなさい」
思わずアラさんに謝罪の言葉を口にしたところで、このギルドの長であり、私の憧れの人物であるギルド長が現れる。
「もう平気なのか?」
ルファーさんとアレグレンさんがどこまで説明しているのかわからないが、それでも私にそう尋ねたということはなにがあったか既に経緯を知っているということだ。
私は「大丈夫です」と頷くと、「詳しい話を聞きたいから来てくれ」と場所を移される。
案内されたのは応接室だった。
必要な物以外を置かないスタンスなのか殺風景な室内。
背の低いテーブルを真ん中に、柔らかそうなソファが向かい合う。
私は入り口に近いソファに腰を下ろすと、レルリラも隣に座った。
「嬢ちゃんと一緒にクエストを受けたメンバーの一人からはある程度話を聞いたが、嬢ちゃんからも話を聞かせてもらいたい」
「一人、ですか?」
私はどういうことだろうとアラさんに視線を向けると「まだ意識を失っている状態なのよ」と教えられる。
その言葉に一瞬私は目を見開いた。
「安心しろ。診察したところただ寝てるだけだ。傷もねぇし放っておいたらそのうち目覚めるだろ」
ギルド長の言葉に私は頷く。
良かった、意識を失っているって聞いて重症なのかと……。
傷は治したつもりだったけど、瘴気を浴びていたから……、でも寝ているだけでよかった。
「あ、あの…どこから何を話せばいいのか……、できれば質問形式にしてもらえると助かります」
「…だな。こっちが聞きたいことを尋ねた方が効率的か。アラ」
少し考える仕草を取った後ギルド長は私に同意し、アラさんの名前を口にした。
そしてギルド長の横に座るアラさんは数枚の紙を取り出す。
え、まさかそれ全部質問内容がかかれているの?
共に活動するということは私としては問題ないけど、騎士団としての考えを知らないからだ。
果たして冒険者と共に行動してもいいのだろうか。と。
「そうだ。騎士団の方は冒険者の私と_」
そこまで言った私は言葉を失うこととなる。
レルリラが何を思ってかわからないけど、急に私の手を引きよせて手首に顔を近寄らせたからだ。
顔を近寄らせたといっても唇を触れさせているわけではない。
だけど吐息が手首にかかり何故か急に恥ずかしさを覚える。
『僕の目の前でなにを_!』
「俺の魔力を付与しておいた」
小さな体のまま飛び掛かるフロンを片手で捕まえたレルリラはあっさりとした態度でそう言った。
「…ま、魔力付与?」
なんで?
私はドギマギしながら首を傾げるとレルリラは顔を背けて答える。
なんとなくだか、少しだけ赤く見える気がした。
本当に赤くなっているのか確かめたい気持ちもあったが、私は私で急なレルリラの行動に挙動不審気味になってしまっているから、レルリラの表情はちらっとしか見ることができず、レルリラの手から逃げ出したフロンを目で追っている。
そしてボソリと呟かれた声が私の耳に届く。
「お前、女友達とは手紙のやり取りをしているんだろ…」
「レルリラ……、アンタまさか……」
私は思わずレルリラの方を向いた。
さっきは直視することが出来なかったが、今はもう大丈夫。
寧ろ今レルリラの表情を見なければ後悔するという謎の直感が働いた。
レルリラはやっぱり顔を赤らませて、告げられた言葉を合わせると、どうやら照れている様子だった。
レルリラには悪いけど、なんとなく嬉しい気持ちが湧き上がる。
「とにかく、これで俺の魔力だってわかるんだ。
なにかあったらすぐに知らせろ」
いいな?といってレルリラは立ち上がり、かけているローブを手に取って部屋から出ようとしていた。
魔法がかかった手紙は届け先の指定か、相手の魔力を読み取らせれば手紙を届けることが出来る。
私の手首につけている時計に魔力を付与したことから、レルリラは私と手紙のやり取りをしたかったのだろう。
まぁ約束していたとはいえ、半年も連絡を取り合っていなかったのだから、近況を知りたくなる気持ちはわかるけど、素直に言えず恥ずかしがるレルリラに私は笑いながら引き留めた。
「ちょっと待ってよ」
「なんだ?」
「一緒に行動するって言っても今ギルドの方針で、冒険者は三人以上で行動するようにいわれているの。
レルリラと行動したとしても二人でしょ?しかも冒険者じゃないし、だから問題ないかを確認しにギルドに行こうと思うんだけど、付き合ってくれない?」
私はレルリラにお願いすると、レルリラはすぐに「わかった」といって頷いてくれた。
同じ冒険者ならルールを守れと言われて終わりそうだけど、レルリラは騎士団だし、意外と了承してもらえるかもしれないけど、騎士団がなんで冒険者と一緒にクエストをやるんだと虚偽の疑いを掛けられそうだと不安だったから着いてきてもらえることに安堵する。
早速私はレルリラと一緒にギルドに向かうことにして、着替えるからとレルリラを部屋から追い出そうとしたとき、逆にベッドへと戻される。
何だと問えば、もっと休めといわれる。
「善は急げでしょ」
「今何時だと思ってんだ」
「何時って……」
私は外を見るとどっぷりと真っ暗闇に覆われた外が見えた。
「え」と時計を確認すると次の日付になったばかりの時間帯。
そりゃあ外も真っ暗なはずだと私は思った。
「朝まで寝てろ」
「じゃあレルリラは…」
「心配するな。ちゃんと傍にいるから」
レルリラの大きな手が私の目を覆う。
温かい体温が心地よくて、さっきまで寝ていた筈の私はすぐに夢の世界へと意識を手放した。
◆
「んっ…」
目を覚ました私はレルリラがいることを確認した。
寝ずらい筈なのに、椅子に腰かけた状態で腕を組み目を瞑っていたレルリラは、私が起きたことに気付いたのか、それとも今眠りから目覚めたのかゆっくりと瞼を持ち上げながら私を見る。
「寝れたか?」
「うん」
「じゃあ外で待っているから支度してから来いよ」
そういって部屋から出ていくレルリラを見送ってから、私は体を起こして服を着替えた。
(……本当に傍にいてくれたんだ…)
なんだかくすぐったい気持ちになりながらも、椅子に座った状態で眠らせてしまったことに罪悪感を積もらせながら部屋を出る。
一階に降りるとずっと心配していたのだろう、出掛けようとする私を呼び止めたお母さんに抱き締められた。
事情を簡単に説明しようとすると、レルリラに聞いていたのか大体のことを知っていて、外で待っているレルリラに私のことを頼みますって頭を下げる。
なんだが先生に挨拶している親の様子を見たような気がする光景に私はなんとも言えない気分になったが、レルリラを引っ張ってギルドに向かった。
ギルドではとてもてんやわんやとしていたが、私に気付いたアラさんが駆け寄り抱き締める。
「サラちゃん!よかった無事で!」
ぎゅうっと抱き締めるアラさんの手が少し震えていて、私はアラさんにもとても心配かけたことを知った。
「……心配かけてごめんなさい」
思わずアラさんに謝罪の言葉を口にしたところで、このギルドの長であり、私の憧れの人物であるギルド長が現れる。
「もう平気なのか?」
ルファーさんとアレグレンさんがどこまで説明しているのかわからないが、それでも私にそう尋ねたということはなにがあったか既に経緯を知っているということだ。
私は「大丈夫です」と頷くと、「詳しい話を聞きたいから来てくれ」と場所を移される。
案内されたのは応接室だった。
必要な物以外を置かないスタンスなのか殺風景な室内。
背の低いテーブルを真ん中に、柔らかそうなソファが向かい合う。
私は入り口に近いソファに腰を下ろすと、レルリラも隣に座った。
「嬢ちゃんと一緒にクエストを受けたメンバーの一人からはある程度話を聞いたが、嬢ちゃんからも話を聞かせてもらいたい」
「一人、ですか?」
私はどういうことだろうとアラさんに視線を向けると「まだ意識を失っている状態なのよ」と教えられる。
その言葉に一瞬私は目を見開いた。
「安心しろ。診察したところただ寝てるだけだ。傷もねぇし放っておいたらそのうち目覚めるだろ」
ギルド長の言葉に私は頷く。
良かった、意識を失っているって聞いて重症なのかと……。
傷は治したつもりだったけど、瘴気を浴びていたから……、でも寝ているだけでよかった。
「あ、あの…どこから何を話せばいいのか……、できれば質問形式にしてもらえると助かります」
「…だな。こっちが聞きたいことを尋ねた方が効率的か。アラ」
少し考える仕草を取った後ギルド長は私に同意し、アラさんの名前を口にした。
そしてギルド長の横に座るアラさんは数枚の紙を取り出す。
え、まさかそれ全部質問内容がかかれているの?
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