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冒険者編①
36 ギルド②
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「まず、瘴気の魔物と遭遇したという話を聞いているのだけど、それは本当かしら?」
アラさんの質問に私は頷いた。
「はい、本当です。瘴気の魔物は学生時代に見たことがあるので間違いありません。瘴気を纏っていた魔物はヴァルチャーで、私とルファーさん、そしてアレグレンさんが目にしています」
「サラちゃんは瘴気の魔物の対応方法は知っている?」
「はい。聖水がないと瘴気を払うことが出来ないと知っています」
「ではどうしてメンバーの一人だけを引き返させたの?」
「…本当は二人を転移させてから魔力を回復させた後私も…と思ったかったのですが、私一人残ることになることを危惧したアレグレンさんが残ってくれたんです。私転移魔法はまだ習得したばかりで使いこなせていないから、三人同時で発動するのは難しくて……。でも途中で気付かれてしまって戦うことになってしまいました」
私の言葉にアラさんとギルド長は難しそうな顔を浮かべる。
何を考えているのかまではわからないが、隣から突き刺さる視線を受けている私は、二人よりも隣に座っているレルリラの方が気になって横を見た。
「……なに?」
「サラが一緒にクエストを受けた奴はお前の足を引っ張ったってことか?」
「言い方酷くない?」
私は反射的に言葉を返していた。
転移魔法で先に離脱することは二人とも難色を示していたのを、私が説得したのだ。
それが何故足を引っ張るとかそういう話になるのかわからなかったし、第一二人はキラービー相手に全く劣っていなかった。寧ろ私がなにも出来なくて焦ってしまったくらいだ。
だからヴァルチャーが相手でも三人が一緒だったらもっと違う結果があったかもしれない。
(それでも瘴気の魔物は普通では倒せないから、結局は助けを求めに行かなきゃいけない事実は変わらないだろうけど…)
「言い方はどうでもいい。その二人がいた所為でお前がすぐに逃げることが出来なかったことは事実なんだろう」
「だから……、あぁもういいや」
私ははぁと息を吐き出した。
二人に魔物と戦う実力があったといっても、転移魔法を使えるだけの魔力がなかったということは事実。
そこはフォローできない点であるだけに、これ以上いっても無駄だと私は判断した。
「…ちなみにさっきから気になっていたんだけど、サラちゃんの隣に座っているのは騎士団の方よね?どうしてここに?」
アラさんがレルリラに視線を向けながら私に尋ねる。
私と同じクラスだったのにレルリラのことを知らないのは、水属性の生徒ではないから、そしてレルリラが騎士団だということを知っているのは、レルリラが着ている制服が騎士団服だからだ。
ローブも外しているから、騎士団服丸見えのレルリラがどういう存在かすぐにわかる。
「あ、彼は私の学園時代の同級生なんです。今回の件を知って瘴気の魔物対応で駆け付けてくれて、それで今後の活動に協力してくれるというので許可を貰いに来ました」
「今後の活動?」
私の言葉にアラさんが首を傾げる。
私が答えようとしたが、先に話したのはギルド長だった。
「嬢ちゃんはソロで活動してたんだろ。ギルドの方針でソロ活動の禁止を発表したばかりから、実力があるそいつとクエストを受けるから三人以上のパーティーは勘弁してくれってところだろう」
だろ?とギルド長は私に尋ねる。
私は頷きながら「その通りです」と答えた。
「……そうね。今回の件で別の問題が浮かんだから、サラちゃんの安全面を考えたら勿論許可を出したいところだけど……」
「なにか問題が?」
アラさんは「ええ」と頷く。
「基本的にギルドは冒険者に仕事をおろすところなの。だから冒険者ではない人に報酬を渡すことは出来ないのよ」
彼と一緒にクエストを引き受けるのでしょう?と尋ねるアラさんに私は頷く。
「初めまして、私は王立騎士団特務隊所属のヴェルナス・レルリラです。
彼女が話した通り、彼女が引き受けるクエストに同行させていただくことに了承を頂ければ、報酬は不要です」
「っ」
私は驚く。
レルリラが“私”といっていることや丁寧な言葉遣いをしている姿を目にしたことがなかったから、意外だったのだ。
だけど、驚いたのは私だけではなくアラさんやギルド長も同じだった。
「特務隊って…あの?」
アラさんが恐る恐る口にするが、特務隊ってそんな一般的に知れ渡っている隊だったのかと私はまた驚いた。
だってレルリラに教えてもらうまで私は特務隊というもの自体知らなかったのだ。
「ええ。ご認識通りです」
「…だが、何故一介の冒険者を?嬢ちゃんになにかあるのか?」
ギルド長が疑う眼差しをレルリラに向けながら尋ねる。
レルリラは私にちらりと視線を向けると「いいか?」と聞く。
私は隠す気もなかったから「勿論」と答えた。
「…今回瘴気の魔物が現れた際、サラが…彼女が瘴気を浄化したことをこの目で確認しました」
レルリラの一言にアラさんとギルド長の目が見開かれる。
それでも言葉を発していないところをみると、更なる説明を求めているようにも見えた。
「聖水を作れる彼女の存在を知られれば、神殿に差し出さなければいけないことになるかもしれません。ですが特務隊である私と行動を共にすれば、神殿に彼女を差し出さなくてもいい理由作りになります。また彼女としても冒険者を続けられる、そして無理にパーティーメンバーを探さなくてもいいというメリットもあります。その為_」
「ちょっと待って!」
レルリラの言葉を遮るようにアラさんが立ち上がる。
そしてソファから離れ、ぐるぐると歩き出した。
「サラちゃんが聖水を?その為に特務隊である彼と行動するってことは、これからも瘴気の魔物と戦うって事よね?そんなの危険だわ。でもサラちゃんが聖水を作れることを彼には知られているし、このままでは神殿に…。でもサラちゃんを…」
「……あー、アラのことは放っておいていいぞ。考え事が多くなるといつもああなんだ」
ぐるぐると回りながら歩き続けるアラさんに目を向けているとギルド長が口にする。
私はこんな姿のアラさんを見たことがなかったので驚きながらもギルド長に顔を向けた。
「で、嬢ちゃんが聖水を作れるということは本当なんだな」
ギルド長の言葉にレルリラが肯定し、私も頷く。
正直聖水を作ったという意識はないけど、今後自分の意思通りに作れるようになるかもしれないから。
「一つ確認させてくれ。お前さんは嬢ちゃんを利用するつもりか?」
アラさんの質問に私は頷いた。
「はい、本当です。瘴気の魔物は学生時代に見たことがあるので間違いありません。瘴気を纏っていた魔物はヴァルチャーで、私とルファーさん、そしてアレグレンさんが目にしています」
「サラちゃんは瘴気の魔物の対応方法は知っている?」
「はい。聖水がないと瘴気を払うことが出来ないと知っています」
「ではどうしてメンバーの一人だけを引き返させたの?」
「…本当は二人を転移させてから魔力を回復させた後私も…と思ったかったのですが、私一人残ることになることを危惧したアレグレンさんが残ってくれたんです。私転移魔法はまだ習得したばかりで使いこなせていないから、三人同時で発動するのは難しくて……。でも途中で気付かれてしまって戦うことになってしまいました」
私の言葉にアラさんとギルド長は難しそうな顔を浮かべる。
何を考えているのかまではわからないが、隣から突き刺さる視線を受けている私は、二人よりも隣に座っているレルリラの方が気になって横を見た。
「……なに?」
「サラが一緒にクエストを受けた奴はお前の足を引っ張ったってことか?」
「言い方酷くない?」
私は反射的に言葉を返していた。
転移魔法で先に離脱することは二人とも難色を示していたのを、私が説得したのだ。
それが何故足を引っ張るとかそういう話になるのかわからなかったし、第一二人はキラービー相手に全く劣っていなかった。寧ろ私がなにも出来なくて焦ってしまったくらいだ。
だからヴァルチャーが相手でも三人が一緒だったらもっと違う結果があったかもしれない。
(それでも瘴気の魔物は普通では倒せないから、結局は助けを求めに行かなきゃいけない事実は変わらないだろうけど…)
「言い方はどうでもいい。その二人がいた所為でお前がすぐに逃げることが出来なかったことは事実なんだろう」
「だから……、あぁもういいや」
私ははぁと息を吐き出した。
二人に魔物と戦う実力があったといっても、転移魔法を使えるだけの魔力がなかったということは事実。
そこはフォローできない点であるだけに、これ以上いっても無駄だと私は判断した。
「…ちなみにさっきから気になっていたんだけど、サラちゃんの隣に座っているのは騎士団の方よね?どうしてここに?」
アラさんがレルリラに視線を向けながら私に尋ねる。
私と同じクラスだったのにレルリラのことを知らないのは、水属性の生徒ではないから、そしてレルリラが騎士団だということを知っているのは、レルリラが着ている制服が騎士団服だからだ。
ローブも外しているから、騎士団服丸見えのレルリラがどういう存在かすぐにわかる。
「あ、彼は私の学園時代の同級生なんです。今回の件を知って瘴気の魔物対応で駆け付けてくれて、それで今後の活動に協力してくれるというので許可を貰いに来ました」
「今後の活動?」
私の言葉にアラさんが首を傾げる。
私が答えようとしたが、先に話したのはギルド長だった。
「嬢ちゃんはソロで活動してたんだろ。ギルドの方針でソロ活動の禁止を発表したばかりから、実力があるそいつとクエストを受けるから三人以上のパーティーは勘弁してくれってところだろう」
だろ?とギルド長は私に尋ねる。
私は頷きながら「その通りです」と答えた。
「……そうね。今回の件で別の問題が浮かんだから、サラちゃんの安全面を考えたら勿論許可を出したいところだけど……」
「なにか問題が?」
アラさんは「ええ」と頷く。
「基本的にギルドは冒険者に仕事をおろすところなの。だから冒険者ではない人に報酬を渡すことは出来ないのよ」
彼と一緒にクエストを引き受けるのでしょう?と尋ねるアラさんに私は頷く。
「初めまして、私は王立騎士団特務隊所属のヴェルナス・レルリラです。
彼女が話した通り、彼女が引き受けるクエストに同行させていただくことに了承を頂ければ、報酬は不要です」
「っ」
私は驚く。
レルリラが“私”といっていることや丁寧な言葉遣いをしている姿を目にしたことがなかったから、意外だったのだ。
だけど、驚いたのは私だけではなくアラさんやギルド長も同じだった。
「特務隊って…あの?」
アラさんが恐る恐る口にするが、特務隊ってそんな一般的に知れ渡っている隊だったのかと私はまた驚いた。
だってレルリラに教えてもらうまで私は特務隊というもの自体知らなかったのだ。
「ええ。ご認識通りです」
「…だが、何故一介の冒険者を?嬢ちゃんになにかあるのか?」
ギルド長が疑う眼差しをレルリラに向けながら尋ねる。
レルリラは私にちらりと視線を向けると「いいか?」と聞く。
私は隠す気もなかったから「勿論」と答えた。
「…今回瘴気の魔物が現れた際、サラが…彼女が瘴気を浄化したことをこの目で確認しました」
レルリラの一言にアラさんとギルド長の目が見開かれる。
それでも言葉を発していないところをみると、更なる説明を求めているようにも見えた。
「聖水を作れる彼女の存在を知られれば、神殿に差し出さなければいけないことになるかもしれません。ですが特務隊である私と行動を共にすれば、神殿に彼女を差し出さなくてもいい理由作りになります。また彼女としても冒険者を続けられる、そして無理にパーティーメンバーを探さなくてもいいというメリットもあります。その為_」
「ちょっと待って!」
レルリラの言葉を遮るようにアラさんが立ち上がる。
そしてソファから離れ、ぐるぐると歩き出した。
「サラちゃんが聖水を?その為に特務隊である彼と行動するってことは、これからも瘴気の魔物と戦うって事よね?そんなの危険だわ。でもサラちゃんが聖水を作れることを彼には知られているし、このままでは神殿に…。でもサラちゃんを…」
「……あー、アラのことは放っておいていいぞ。考え事が多くなるといつもああなんだ」
ぐるぐると回りながら歩き続けるアラさんに目を向けているとギルド長が口にする。
私はこんな姿のアラさんを見たことがなかったので驚きながらもギルド長に顔を向けた。
「で、嬢ちゃんが聖水を作れるということは本当なんだな」
ギルド長の言葉にレルリラが肯定し、私も頷く。
正直聖水を作ったという意識はないけど、今後自分の意思通りに作れるようになるかもしれないから。
「一つ確認させてくれ。お前さんは嬢ちゃんを利用するつもりか?」
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