恋愛初心者の恋の行方

あおくん

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冒険者編①

45 ひらめき

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ルドウィンさんの話によると、護衛クエストと言っても本当のクエストを題材とするわけではなく、同じ冒険者から適当に選別するというもので、私はルドウィンさん達が選んだその冒険者たちを守りながら目的地まで送り届けるという内容だった。

そしてちょうどよく食堂を利用しに来た若めの冒険者に声を掛けるルドウィンさんは意外と王都じゃ有名な方なのか、声を掛けられた側はテンション高めに反応し、そして二言目には護衛役を引き受けていた。
詳しい話を一切していなかったが、いいのかそれで。
思わず心配になってしまうくらいだったけど、その後はルドウィンさんが役を引き受けてくれる冒険者の方々に報酬をしていて、(そんな勝手な事いっていいの!?)と心配げに見ていた私に「こういう部分も含めてのギルドの依頼だから大丈夫だよ」と教えてくれたナードさんに私が安堵した。
そしてスムーズに話が進む。

その後は護衛役を受けてくれた冒険者の方々を含めて簡単なルールの話をした。
移動は乗り物を使わず徒歩のみ。
私への手助けとなる行動は一切禁止。
護衛側が自らの行動で追った怪我は不問とするが、それ以外の怪我を負わせてはいけない。
その他細かいルールは言われたが、大きく言ったらその三点を抑えればいいという感じだ。

「サラちゃん…大丈夫?」

私はルドウィンさんたちの実力を知らない。
だからこそ真剣な表情で悩んでいると、護衛役を引き受けてくれた冒険者の一人、ルルちゃんが私を心配そうにのぞき込んでいた。

ルルちゃん達は私と同い年で幼馴染同士らしい。
幼馴染で一緒のパーティー組んで活動しているところをみると、なんだか微笑ましく思えてくる。
そういう関係ってなんだかいいよね。

幼馴染の四人は王都の隣町出身らしく、ちょうど帰省しようと思ってたタイミングでルドウィンさんに声を掛けられ、お金も貰えて地元に帰れるのならということで引き受けたらしい。
私から見た感じだと条件とかなにも聞かずに引き受けた様に見えたけど、どうやら違うらしい。

そして今は四人と隣町に向かう為の準備の為、買い出しの最中だ。

「あ、うん!大丈夫!問題ないよ!」

ルドウィンさん達の実力問題もあるけど、一番重要なのは睡眠だ。
護衛の仕事は睡眠の時間が一番危険だ。
どんな状態でも守らなければいけないし、今回は私の実力を試すためにフロンに手伝ってもらうこともできない。
どうしようかなと悩んでいただけで、ルルちゃんが不安になる必要もないのだ。
だって相手はルドウィンさん達で、これは昇級試験。
そりゃあ少しは危険な目にあうかもしれないけれど、命の危険があるわけではない。筈だ。

「サラは寝袋とか持ってるか?」

「ううん、持ってない」

「じゃあ一式買う感じ~?私のおすすめ教えよっか~?」

「ん~…なら寝袋じゃなくて、薄くても温かい毛布とか売ってるお店教えてほしいな」

ルルちゃんのパーティーのリーダーでもあるダニエルが私に尋ね、それにこたえると次にニーラが話す。
独特な雰囲気を醸し出すニーラにダニエルやルル、リントは気にする素振りもなく私の問いに対して考えを言い合っていた。

ちなみに私が寝袋を持っていない理由として、体を固定させてしまうという理由があげられる。
護衛のクエスト向きではないし、第一冒険者の野営には向かないアイテムだと思っているので、今回も不要だと判断している。
というより、ソロで流石に護衛クエストは受けないつもりだし、フロンがいれば野営になることも基本的にないから、野営一式は不要だと思って買ってなかったんだよね。
まだ冒険者になって野営とかしたことないんだけど、フロンがいれば近くの町までならすぐに着くし。

今私の鞄の中には、下着ともしもの為の塩胡椒、各種属性魔法が使える魔法球_値段は高かったが亜空間鞄をお母さんが買ってくれたため貯めてた貯金で魔法球を購入した_と魔力を回復する以外のポーションがが入っている。
下着は今回入れたが、塩胡椒は近場に飲食店がない場合の最低限の調味料として、魔法球は他属性の魔法を使用する場合の媒体として、そしてポーションは冒険者にとって必需品だ。
魔力を回復する為のマジックポーションがないのは、マーオ町から王都迄来る途中に飲み切ってしまったから。
これも作っている余裕はないだろうから買い足さなきゃ。
魔法球も自分の魔力を補う形で使えば、使用期間は長くなるけど永久に使えないからね。
効果が切れたらやっぱり買い直す必要があるから、なるべく節約して使おう。
あと必要なものはなんだろうか。
食器類は木でも石でも使って作ればいいし、調理に必要な火は魔法球に頼るしかないけど、それでも属性の魔力玉とは少し違うが魔法を持続できる魔道具もある。
魔道具を併用すれば魔法玉もそこまで消費することが……

「あ!!!!!!」

私は思わず買い物中という状況の中で大きな声を出した。

そうだ。寝不足になってポテンシャルが維持できないかもしれないとか考えて不安になっていたけど、あれがあれば解決するじゃないか。

いきなり立ち止まった私に四人は驚いていたが、そんなことに気を遣ってなんてやれない。
私よりも王都に詳しい(筈の)四人に詰め寄り、お店を紹介してもらう。

(これで今回の試験も乗り越えられる!)

悩んでいたことがあっという間に解決した私は、ルンルン気分で護衛クエストというAランク昇級試験に臨んだのだった。





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