240 / 256
冒険者編③
8 恋バナ
しおりを挟む
私は全身の血が集まったのではないかというくらい、顔が熱くなるのを感じた。
わたわたと挙動不審気味になる私に、眞子さんは嬉しそうに笑みを浮かべる。
「やっぱり!!」
やっぱり?やっぱりってなに!?
そもそも眞子さんと初めて会ったのって、私が殿下の依頼を受けた時でしょ!?
あの時はレルリラのこと好きじゃなかったというか、意識してなかったというか、とにかく恋愛感情としてレルリラをみていなかったのになんで!?
その後って言ったら魔国の森に向かうために話し合った時と、魔国の森に向かう時だけ。
どのタイミングで私がレルリラに恋心を持っているのがわかったっていうの!?
そんな私の心を知ってか知らずか、眞子さんはうんうんと頷いた後に、「告白はしないの?」と尋ねる。
その言葉を聞いた瞬間、あれ程熱かった顔が、いや全身が一気に冷えていくのを感じた。
「告白なんて、しないよ」
そう。絶対に私はレルリラに気持ちを伝えることはない。
それだけは自信持って言える。
「…眞子さんの世界でも一緒かわからないけど、初恋って実らないものなんだよ」
「…え?」
私の言葉に眞子さんは戸惑うような、そんな表情を浮かべるから、初恋が実らないと言われているのは私達の世界だけのことなんだろうと知る。
いいなぁと思いながらも、同じ人を好きになった場合はどうなるんだろうとも考えながら私は眞子さんに話す。
「…私とレルリラってね、最初は仲が良くなかったの。でもある授業をきっかけに仲良くなって、毎日のように一緒にトレーニングするようになった」
そう、あの頃は本当にわからなかった。
なんでレルリラが私を鍛えようとするのか、なんで私に構うのか。
最初は競い合えるライバルが欲しいのかなとか、初めての友達だからとか思っていたけど、そうじゃないことがわかったのだ。
「……レルリラにとって、私は娘のような存在だって気付いたの」
「え?え?どういうこと?」
眞子さんは首を傾げる。
そりゃあそうだ。眞子さんは私とレルリラの学生時代のことを知らないのだから、私が何をいっているのかわかるわけがない。
私は眞子さんに話した。
流石にレルリラの家庭事情は言えないから、それ以外で伝えられることを全て話す。
私は見たという魔物の記憶、そして殿下には伝えてなかったユミという少女の記憶のことも全てを話し終えるとふぅと息を吐き出した。
「サラちゃん、それは違うよ」
隣に座る眞子さんが私の手に重ねるように手を置いた。
白くて細くて、そして温かい手。
「サラちゃんはヴェルナス様にヴェルナス様の気持ちを聞いていないよね?前世がサラちゃんのお父さんだからといって、サラちゃんのことを娘の様に思う事なんてないよ」
「でも、私は_」
「勿論これは私の考え。サラちゃんの考えは違うよね。さっき話してくれたように、ヴェルナス様はサラちゃんを娘のように思っているからこそ、とても気に掛けてくれていると、そう考えている。
だけどさ、それはあくまでもサラちゃんの考えなんだよ。私の考えとサラちゃんの考えが違うように、ヴェルナス様にもヴェルナス様の考えがある。
だからね、サラちゃんはヴェルナス様とちゃんと話をした方がいいと思うんだ」
そういって眞子さんは柔らかく笑みを浮かべた。
沈んだ気持ちが浮上するような、荒れた心が浄化するかのような、そんな眞子さんの笑みに私は少しだけ泣きそうになってこくりと頷く。
いつ、どんな風に話せばいいのかも、今はまだわからない。
だって本人を目の前にして、そんな話をすることを想像しただけで、余計なことまで口に出してしまいそうだからだ。
だから話す時は私の気持ちが整理つく時。
それがいつになるかなんてわからないけど、眞子さんの言う通り話せる時がくればいいなと、そう思った。
わたわたと挙動不審気味になる私に、眞子さんは嬉しそうに笑みを浮かべる。
「やっぱり!!」
やっぱり?やっぱりってなに!?
そもそも眞子さんと初めて会ったのって、私が殿下の依頼を受けた時でしょ!?
あの時はレルリラのこと好きじゃなかったというか、意識してなかったというか、とにかく恋愛感情としてレルリラをみていなかったのになんで!?
その後って言ったら魔国の森に向かうために話し合った時と、魔国の森に向かう時だけ。
どのタイミングで私がレルリラに恋心を持っているのがわかったっていうの!?
そんな私の心を知ってか知らずか、眞子さんはうんうんと頷いた後に、「告白はしないの?」と尋ねる。
その言葉を聞いた瞬間、あれ程熱かった顔が、いや全身が一気に冷えていくのを感じた。
「告白なんて、しないよ」
そう。絶対に私はレルリラに気持ちを伝えることはない。
それだけは自信持って言える。
「…眞子さんの世界でも一緒かわからないけど、初恋って実らないものなんだよ」
「…え?」
私の言葉に眞子さんは戸惑うような、そんな表情を浮かべるから、初恋が実らないと言われているのは私達の世界だけのことなんだろうと知る。
いいなぁと思いながらも、同じ人を好きになった場合はどうなるんだろうとも考えながら私は眞子さんに話す。
「…私とレルリラってね、最初は仲が良くなかったの。でもある授業をきっかけに仲良くなって、毎日のように一緒にトレーニングするようになった」
そう、あの頃は本当にわからなかった。
なんでレルリラが私を鍛えようとするのか、なんで私に構うのか。
最初は競い合えるライバルが欲しいのかなとか、初めての友達だからとか思っていたけど、そうじゃないことがわかったのだ。
「……レルリラにとって、私は娘のような存在だって気付いたの」
「え?え?どういうこと?」
眞子さんは首を傾げる。
そりゃあそうだ。眞子さんは私とレルリラの学生時代のことを知らないのだから、私が何をいっているのかわかるわけがない。
私は眞子さんに話した。
流石にレルリラの家庭事情は言えないから、それ以外で伝えられることを全て話す。
私は見たという魔物の記憶、そして殿下には伝えてなかったユミという少女の記憶のことも全てを話し終えるとふぅと息を吐き出した。
「サラちゃん、それは違うよ」
隣に座る眞子さんが私の手に重ねるように手を置いた。
白くて細くて、そして温かい手。
「サラちゃんはヴェルナス様にヴェルナス様の気持ちを聞いていないよね?前世がサラちゃんのお父さんだからといって、サラちゃんのことを娘の様に思う事なんてないよ」
「でも、私は_」
「勿論これは私の考え。サラちゃんの考えは違うよね。さっき話してくれたように、ヴェルナス様はサラちゃんを娘のように思っているからこそ、とても気に掛けてくれていると、そう考えている。
だけどさ、それはあくまでもサラちゃんの考えなんだよ。私の考えとサラちゃんの考えが違うように、ヴェルナス様にもヴェルナス様の考えがある。
だからね、サラちゃんはヴェルナス様とちゃんと話をした方がいいと思うんだ」
そういって眞子さんは柔らかく笑みを浮かべた。
沈んだ気持ちが浮上するような、荒れた心が浄化するかのような、そんな眞子さんの笑みに私は少しだけ泣きそうになってこくりと頷く。
いつ、どんな風に話せばいいのかも、今はまだわからない。
だって本人を目の前にして、そんな話をすることを想像しただけで、余計なことまで口に出してしまいそうだからだ。
だから話す時は私の気持ちが整理つく時。
それがいつになるかなんてわからないけど、眞子さんの言う通り話せる時がくればいいなと、そう思った。
7
あなたにおすすめの小説
報われなくても平気ですので、私のことは秘密にしていただけますか?
小桜
恋愛
レフィナード城の片隅で治癒師として働く男爵令嬢のペルラ・アマーブレは、騎士隊長のルイス・クラベルへ密かに思いを寄せていた。
しかし、ルイスは命の恩人である美しい女性に心惹かれ、恋人同士となってしまう。
突然の失恋に、落ち込むペルラ。
そんなある日、謎の騎士アルビレオ・ロメロがペルラの前に現れた。
「俺は、放っておけないから来たのです」
初対面であるはずのアルビレオだが、なぜか彼はペルラこそがルイスの恩人だと確信していて――
ペルラには報われてほしいと願う一途なアルビレオと、絶対に真実は隠し通したいペルラの物語です。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺 あおい
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
【完結】田舎育ちの令嬢は王子様を魅了する
五色ひわ
恋愛
エミリーが多勢の男子生徒を従えて歩いている。王子であるディランは、この異様な光景について兄のチャーリーと話し合っていた。それなのに……
数日後、チャーリーがエミリーの取り巻きに加わってしまう。何が起こっているのだろう?
ディランは訳も分からず戸惑ったまま、騒動の中心へと引きづりこまれていくのだった。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
【本編大改稿中】五人のイケメン薔薇騎士団団長に溺愛されて200年の眠りから覚めた聖女王女は困惑するばかりです!
七海美桜
恋愛
フーゲンベルク大陸で、長く大陸の大半を治めていたバッハシュタイン王国で、最後の古龍への生贄となった第三王女のヴェンデルガルト。しかしそれ以降古龍が亡くなり王国は滅びバルシュミーデ皇国の治世になり二百年後。封印されていたヴェンデルガルトが目覚めると、魔法は滅びた世で「治癒魔法」を使えるのは彼女だけ。亡き王国の王女という事で城に客人として滞在する事になるのだが、治癒魔法を使える上「金髪」である事から「黄金の魔女」と恐れられてしまう。しかしそんな中。五人の美青年騎士団長たちに溺愛されて、愛され過ぎて困惑する毎日。彼女を生涯の伴侶として愛する古龍・コンスタンティンは生まれ変わり彼女と出逢う事が出来るのか。龍と薔薇に愛されたヴェンデルガルトは、誰と結ばれるのか。
この作品は、小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる