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7.逃げられた側(視点変更)
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■■■■■■■■■■■■■■■
(視点変更)
「どうして逃がしたのよ!!!」
今から二年前の王宮内の一室で、キラキラと輝いていた金色の髪の毛をボサボサに乱した女性はギラギラと獣の形相の如く、幼い子供を世話していたはずの男にティーカップを投げつけた。
「申し訳ございません」
茶色の髪の毛を後頭部で一括りに縛った男性は、投げつけられるティーカップの存在を気にもしていないのか、避ける仕草も見せずにただ頭を下げる。
まだ湯気が消えていなかったカップの中身は男の頭と床に落ち、熱さゆえか男の眉間が寄る。
緑色の瞳で、ぽたぽたと床に落ちる茶をじっと眺めてた。
男を睨みつけるのはこの国の王妃であり、レイズ家元公爵令嬢のクリスティーナ・グリムウォールである。
クリスティーナ王妃は公爵家から連れてきた従者を鋭い眼差しで睨みつけた。
何故ここまで荒れているのか。
それは誰一人として知られないように隠していた幼子が姿を消したからだった。
王妃としての座に着いたばかりの頃、クリスティーナは夫である王が夜伽を行わない事に苛立っていた。
例え政略結婚であったとしても子を成すことは貴族としての義務。
それが王である者ならなおの事、私情に囚われることなく義務を果たさなくてはならないとクリスティーナは思っていた。
だが王は仕事を理由に断り続けた。
それがクリスティーナには我慢ならない事だった。
そもそも王はクリスティーナに対して恋情は抱いていないが、クリスティーナは違う。
王族という立場と眉目秀麗な顔立ちと頭脳、それだけではなく時よりみせた笑顔がクリスティーナの心臓を打ち抜いた。
勿論王の笑顔はクリスティーナに一度も向けられたことはない。
ただクリスティーナが目撃しただけの事であるが、その笑顔で心を打ち抜かれてしまったクリスティーナは思った。
この男を手に入れたいと。
加えてクリスティーナの両親は、王妃に相応しくあるよう厳しい教育を施したことも、クリスティーナの想いを加速させる原因となった。
私以外王妃に相応しい者などいない。そう思い込むまで時間はかからなかったのだ。
そんな中、王がまだ王太子として活動していた頃、市場調査という名目で町に出向いたことがあった。
あわよくば偶然を装って遭遇し、そのまま王太子の婚約者としてデートをしたいという乙女心を抱いたクリスティーナは、その時やっていた勉強を中断し町へと繰り出した。
そして目撃してしまった。
平民が着ていそうな華やかではない服に身に着ける王子と、その隣で笑みを浮かべながら話す女の姿を。
(へ、平民の暮らしを知りたいだけ…そうよ。それだけよ)
震える両手を合わせるように握りしめたクリスティーナは、二人の様子を眺めながら祈る。
だが、そういう感じではない雰囲気を出す二人にクリスティーナの表情は青ざめていった。
あの時の屈辱的な感情を王妃は思い出していた。
「あの女のガキを利用して陛下に近づこうとした計画がパーじゃない!!」
王妃は叫んだ。
腹の底から叫んだ後、窓ガラスに拳を叩きつける。
鍛えていない王妃の細腕では割れることはなかったが、ダンッという衝撃音に緑色の瞳をした従者は駆け寄って王妃の手を確かめると赤くなっていた。
痛いだろうにと視線を向けると、王妃の碧眼は外へと向けられている。
どこかに消えてしまった、あの女の子供。
王妃になったばかりのクリスティーナは夜伽に来ない王への苛立ちを鎮めるために、部屋の外へと出ていた。
雨季が過ぎ、気持ちのいい風がふく季節、空を見上げると無数の星たちが空を飾っていた。
王妃は深く呼吸をし、気持ちを落ち着かせたとき、王宮の入り口で話声がすることに気付いたのだ。
目深にかぶっていたフードにより顔は見えなかった。
だが嫌な気持ちになる。
愛おしい陛下の前に姿を見せることはもうない筈の女が目の前にいるような、そんな胸をかきむしりたくなる嫌な気分だ。
そして女が立ち去った後、王妃は何事もなかったようにふらりと警備員の元に立ち寄った。
『どうかしましたの?』
そう問いかけると、振り返った男は王妃の姿を見て慌てた様子で先ほどの一連を話し出した。
そしてわかったことはただひとつのことを示していた。
男が手渡された子供には王族の血が流れている。
王族にはつい先日王位を継いだ自分の夫と、既に王座から降りた前王と前王妃、そして年の離れた王弟殿下のみである。
まだ成人にもなっていない王弟に子供がいるとは考えずらい。
前王と前王妃にも、今更ながら子供が出来るとは思えない。
ということはこの子供は現王である自分の夫の子供。
ならば、逃げるように立ち去ったあの女はやはり憎いあの女だったのだ。
『王妃様?』
『……例え怪しい情報でも王族の血が流れているというならば、それが本当かどうか確認してみなければなりませんね。
この子は私が預かりましょう』
『は、はい!よろしくお願いします!』
くるりと踵を返して、王妃はその場を立ち去った。
この赤子をどうしようか。
赤子を冷たい視線で見下ろしながら、自分の部屋へと向かう途中、王妃は考えた。
そうだ。私と陛下との間を取り持つために利用しよう。
優し気な態度であの女の子供に接している私を見せれば、陛下もきっと私を見てくれるだろう。
そしてあの女の子供に好かれていれば、陛下の私に対する態度も和らぐはずだ。
だが私が無条件に好かれるためには、物事を考えられる歳頃でなければ意味がない。
ならばその時までこの子供を隠そう。
人目のつかないように。
そして、私という存在を敬うように、過酷な環境で育てようじゃないか。
(だって、この子はあの女の子供なんですもの……)
そうして保護した筈の子供が姿を消した。
王妃が怒り狂うのも無理はない。
何故ならせっかく保護し今まで生かしてきてやったというのに、王との関係改善に役立つ前に姿を消したのだから。
そうして冷え込んだ夫婦関係が二年続き、王が一人の神子を呼び寄せたという話を聞いたのだった。
(視点変更、終)
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(視点変更)
「どうして逃がしたのよ!!!」
今から二年前の王宮内の一室で、キラキラと輝いていた金色の髪の毛をボサボサに乱した女性はギラギラと獣の形相の如く、幼い子供を世話していたはずの男にティーカップを投げつけた。
「申し訳ございません」
茶色の髪の毛を後頭部で一括りに縛った男性は、投げつけられるティーカップの存在を気にもしていないのか、避ける仕草も見せずにただ頭を下げる。
まだ湯気が消えていなかったカップの中身は男の頭と床に落ち、熱さゆえか男の眉間が寄る。
緑色の瞳で、ぽたぽたと床に落ちる茶をじっと眺めてた。
男を睨みつけるのはこの国の王妃であり、レイズ家元公爵令嬢のクリスティーナ・グリムウォールである。
クリスティーナ王妃は公爵家から連れてきた従者を鋭い眼差しで睨みつけた。
何故ここまで荒れているのか。
それは誰一人として知られないように隠していた幼子が姿を消したからだった。
王妃としての座に着いたばかりの頃、クリスティーナは夫である王が夜伽を行わない事に苛立っていた。
例え政略結婚であったとしても子を成すことは貴族としての義務。
それが王である者ならなおの事、私情に囚われることなく義務を果たさなくてはならないとクリスティーナは思っていた。
だが王は仕事を理由に断り続けた。
それがクリスティーナには我慢ならない事だった。
そもそも王はクリスティーナに対して恋情は抱いていないが、クリスティーナは違う。
王族という立場と眉目秀麗な顔立ちと頭脳、それだけではなく時よりみせた笑顔がクリスティーナの心臓を打ち抜いた。
勿論王の笑顔はクリスティーナに一度も向けられたことはない。
ただクリスティーナが目撃しただけの事であるが、その笑顔で心を打ち抜かれてしまったクリスティーナは思った。
この男を手に入れたいと。
加えてクリスティーナの両親は、王妃に相応しくあるよう厳しい教育を施したことも、クリスティーナの想いを加速させる原因となった。
私以外王妃に相応しい者などいない。そう思い込むまで時間はかからなかったのだ。
そんな中、王がまだ王太子として活動していた頃、市場調査という名目で町に出向いたことがあった。
あわよくば偶然を装って遭遇し、そのまま王太子の婚約者としてデートをしたいという乙女心を抱いたクリスティーナは、その時やっていた勉強を中断し町へと繰り出した。
そして目撃してしまった。
平民が着ていそうな華やかではない服に身に着ける王子と、その隣で笑みを浮かべながら話す女の姿を。
(へ、平民の暮らしを知りたいだけ…そうよ。それだけよ)
震える両手を合わせるように握りしめたクリスティーナは、二人の様子を眺めながら祈る。
だが、そういう感じではない雰囲気を出す二人にクリスティーナの表情は青ざめていった。
あの時の屈辱的な感情を王妃は思い出していた。
「あの女のガキを利用して陛下に近づこうとした計画がパーじゃない!!」
王妃は叫んだ。
腹の底から叫んだ後、窓ガラスに拳を叩きつける。
鍛えていない王妃の細腕では割れることはなかったが、ダンッという衝撃音に緑色の瞳をした従者は駆け寄って王妃の手を確かめると赤くなっていた。
痛いだろうにと視線を向けると、王妃の碧眼は外へと向けられている。
どこかに消えてしまった、あの女の子供。
王妃になったばかりのクリスティーナは夜伽に来ない王への苛立ちを鎮めるために、部屋の外へと出ていた。
雨季が過ぎ、気持ちのいい風がふく季節、空を見上げると無数の星たちが空を飾っていた。
王妃は深く呼吸をし、気持ちを落ち着かせたとき、王宮の入り口で話声がすることに気付いたのだ。
目深にかぶっていたフードにより顔は見えなかった。
だが嫌な気持ちになる。
愛おしい陛下の前に姿を見せることはもうない筈の女が目の前にいるような、そんな胸をかきむしりたくなる嫌な気分だ。
そして女が立ち去った後、王妃は何事もなかったようにふらりと警備員の元に立ち寄った。
『どうかしましたの?』
そう問いかけると、振り返った男は王妃の姿を見て慌てた様子で先ほどの一連を話し出した。
そしてわかったことはただひとつのことを示していた。
男が手渡された子供には王族の血が流れている。
王族にはつい先日王位を継いだ自分の夫と、既に王座から降りた前王と前王妃、そして年の離れた王弟殿下のみである。
まだ成人にもなっていない王弟に子供がいるとは考えずらい。
前王と前王妃にも、今更ながら子供が出来るとは思えない。
ということはこの子供は現王である自分の夫の子供。
ならば、逃げるように立ち去ったあの女はやはり憎いあの女だったのだ。
『王妃様?』
『……例え怪しい情報でも王族の血が流れているというならば、それが本当かどうか確認してみなければなりませんね。
この子は私が預かりましょう』
『は、はい!よろしくお願いします!』
くるりと踵を返して、王妃はその場を立ち去った。
この赤子をどうしようか。
赤子を冷たい視線で見下ろしながら、自分の部屋へと向かう途中、王妃は考えた。
そうだ。私と陛下との間を取り持つために利用しよう。
優し気な態度であの女の子供に接している私を見せれば、陛下もきっと私を見てくれるだろう。
そしてあの女の子供に好かれていれば、陛下の私に対する態度も和らぐはずだ。
だが私が無条件に好かれるためには、物事を考えられる歳頃でなければ意味がない。
ならばその時までこの子供を隠そう。
人目のつかないように。
そして、私という存在を敬うように、過酷な環境で育てようじゃないか。
(だって、この子はあの女の子供なんですもの……)
そうして保護した筈の子供が姿を消した。
王妃が怒り狂うのも無理はない。
何故ならせっかく保護し今まで生かしてきてやったというのに、王との関係改善に役立つ前に姿を消したのだから。
そうして冷え込んだ夫婦関係が二年続き、王が一人の神子を呼び寄せたという話を聞いたのだった。
(視点変更、終)
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