俺たちの恋事情

郗櫲乃

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D-4

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あれからは特に何も無い。

いつも通り。会社であくせく働いて、色んな人達とご飯行ったりして。

お友達はお友達なんだから、変な事考えるのは失礼なんだから。

話す時に僕が贈ったうさぎがチラチラと見える度にあの時のデニスを思い出して、そして、兄ちゃんの言葉を思い出す...。そしてかぶりを振っては湧いてくる想いを消す。

もう、何度繰り返したか分からない

こんなの、暗示と一緒なんだから!!
気にしちゃダメだ!!

「ディーン!!」

「え?」

突然グイッと引き寄せられた。
直後凄い突風...いや、バイクがさっきまで僕がいた場所を猛スピードで走って行った。
ビックリしすぎて鼓動が早い。

「大丈夫か!?」

「あ、うん。」

「くそっ、なんだアイツら! 信号無視しやがって!」

信号無視.....ああ、僕バイクに轢かれそうだったのか。
やっと状況を理解したところで信号が変わりそうだ。

「とりあえず、渡ろう。」

「あ、ああ。」

信号を渡りきって一息つく。

「さっきはありがとう。」

「当然のことをしたまでだ。」

ふと下の方を見ると、僕たちは手を繋いでいた。

「あっ」
「わりぃ」

手を離したのは同時だった。

「....その、怪我がなくて、本当に良かった。」

「う、うん...。」

僕はデニスの顔を見れなかった。

「えっと....行こうぜ」

「うん。」

店までいつも会話の多い僕たちも、この日はぎこちない会話しか出来なかった。

暖かくて、がっしりしてて、包容感が心地よかった...。

ドキドキが止まらない....

ダメだよ...これこそ、錯覚なんだから....






僕はそれから、デニスの事を考えると、ドキドキするようになってしまった。ダメだよ。デニスは友達。

それに、男じゃないか。こんなの、今までの、僕を狙ってきたヤツらと同じだ。そんなの嫌だ。

「ディーン?どうした? 最近なんか変だぞ?」

「え!?そ、そんな事ないよ?いつも通りだよ?」

「そう、ならいいんだけど。....はぁ。」

「...デニー君こそ、どうしたの?」

「いや、疲れただけ。」

後日、この日ため息をついていた本当の理由を知る。

「親が痺れを切らしちゃって、お見合いするそうよ。」

「お見合い...?」

「今の時代にこの国でやる人が居るなんてね。ちょっと可哀想。」

「ねー。」

仲の良い同僚たちとの会話を聞いてしまった。

なんだよそれ....。デニスが、お見合い...?

良い事じゃないか。そうだね。これで良い。

そっか、僕もお見合いをすれば良いのかな?

そうすれば、お友達と同じくらいの関係値のまま結婚できるかな?

良いかもそれ。

だから、笑って祝おうよ。

ね?笑おうよ、僕。

「う、ふ....うぅ....」

なんで?どうして涙が出てくるの?

誰もいない非常階段で、1人座り込む。

嫌だ。こんなの僕じゃない。

「デニス.....」

コツン

「!?」

「ディーン...こんなところで、どうしたんだ?」

僕は慌てて顔を背けた。

「昼飯一緒に食おうと思って探してた。どこにいるのか聞いたら皆が、お前がこっちの方で見かけたって教えてくれた。」

「そ、そう。ちょっと、外の空気を吸いたかっただけ。今日はちょっと気分じゃないから、先に皆と食べてて。」

「....嫌だな。そんなお前を1人にしたくない。なんで泣いてるんだ?教えろ。誰かに虐められたか?家で何かあったか?それとも....俺がなんかしたか?」

これだから.....放っておく置いてくれればいいのに。

僕のことなんか忘れてくれて良いのに。

「なんでもないよ。そう、昔飼ってた犬を思い出しただけ。」

「....嘘。飼ったこと無いだろ。」

「じ、じゃあ、死んだばあちゃんを思い出して。」

「あった事すらないって言ってたろ。」

「じゃあ、じいちゃん!!」

「ディーン、そんなに言いたくないのか?」

「...そう。放っておいていいよ。」

「ふーん...分かった。じゃあ、言ってくれるまでここに居る。」

「は!?」

「だから、このまま言ってくれないなら、2人して昼飯抜きの上、仕事サボることになるな。怒られるだけで済むかな。」

「....そんなの、狡い....なんだよそれ....」

なんでそこまでするんだよ...ただの友達なんだよ?
言いたくないって言ってるのに...だって、言ったら、今の関係を壊しちゃうし、君のお見合いにも響くんだよ...?

涙がまた込み上げてきた。

「お前を泣かせたくないから、泣いてる理由を知りたい。お前にはずっと、笑ってて欲しいんだ。」

「なんで...?」

「......お前の笑顔は眩しいんだ。可愛いとかそういうのもあるけど、いたずらっぽい笑顔も、心から楽しそうな笑顔も、悪い心を浄化してくれるような気持ちになる。なあ、頼むから、涙の理由を教えてくれ。俺が力になるから。そしてまた、笑ってくれよ。」

「デニス...う、うぅ....」

僕はデニスの胸に顔を埋めた。
デニスはギュッと抱きしめてくれる。

「デニス....お見合いするんでしょ?」

「え?」

「良いことなのに、僕は、喜べなかったの。」

「どうして?」

「言いたくない。お見合いする人に言いたくない。さっさとお見合い相手と結婚すれば良いじゃん。」

「.......」

デニスは僕の肩を子どもをあやす様にポンポンと叩いた。






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