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農家さんのこと
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夜になり、スカウトさんと釣りキチさんが帰ってきた。早速、農家さんを二人に紹介した。
「農家さんか。これは頼りになるな」
スカウトさんはとても嬉しそうな笑顔を見せた。
「まあ、ちたあ何かのお役に立てるかの」
農家さんも褒められて満更でもなさそうだ。僕は午後から周囲の草地を見て回ったことを報告した。
「荒地も耕せば、畑として使えるようになるかも知れないとのことでした」
「農家さん。それ、少しづつでもやってもらえます?」とスカウトさんが尋ねた。
「そうじゃのう……ろくな道具もないし……
じゃが、狭い範囲から少しずつ鍬で耕していけば何とかなるかも知れん。せっかく苗もあることだし」
「では、それでお願いします」
「まずは草刈りからじゃの」
スカウトさんは僕を見た。ニヤッと笑う。
「健太、明日から農家さんの助手な。農家さん、せいぜいこいつをこき使ってください」
「こげな都会もんに出来るもんかい。わし一人で充分じゃ」
僕は確かに非力だし、農作業もやったことがない。でも、僕にだって何か出来ることがあるはずだ。こうまで言われて引き下がるのは僕のプライドが許さない。
「僕でもきっと役に立てます。一緒にやらせてください」
僕は農家さんにお辞儀をして頼み込んだ。そんな僕の真摯な姿勢が伝わったのか、農家さんもしまいには「よか」と言って、僕を受け入れてくれた。
それから僕らは夕食を摂った。六人での初めての食事である。最初の頃を思えば、かなり賑やかな雰囲気になってきた。
食事の途中では、農家さんが自身の身の上を語ってくれた。要点をまとめるとこんな感じだ。
農家さんは、若い頃から家を継いでずっと兼業で農家をやってきたそうだ。近くの工場に勤める傍ら、家で農業をやってきたが、定年後はマイペースで農業をやりつつ、公民館活動などもしているという。奥さんは五年前に亡くし、息子二人も都会に出てしまい、今は一人暮らしだそうだ。
「息子さんはたまに帰ってくるんですか」
「ああ、たまにはな。長男は結婚して孫か生まれたんで、年に一度くらいは孫の顔見せに帰ってくるわい。次男は気が向いたときだけじゃな」
農家さんは少し寂しそうな顔をした。もうこのまま彼らに会うことは出来ないかも。そこに思い至ったのかも知れない。
食事の後、今日の夜、どうするかを話しあった。これで六人になったわけだが、スペース的にはまだ問題ない。結論を言えば、この家でみんなで一緒に寝よう、ということになった。
「農家さんか。これは頼りになるな」
スカウトさんはとても嬉しそうな笑顔を見せた。
「まあ、ちたあ何かのお役に立てるかの」
農家さんも褒められて満更でもなさそうだ。僕は午後から周囲の草地を見て回ったことを報告した。
「荒地も耕せば、畑として使えるようになるかも知れないとのことでした」
「農家さん。それ、少しづつでもやってもらえます?」とスカウトさんが尋ねた。
「そうじゃのう……ろくな道具もないし……
じゃが、狭い範囲から少しずつ鍬で耕していけば何とかなるかも知れん。せっかく苗もあることだし」
「では、それでお願いします」
「まずは草刈りからじゃの」
スカウトさんは僕を見た。ニヤッと笑う。
「健太、明日から農家さんの助手な。農家さん、せいぜいこいつをこき使ってください」
「こげな都会もんに出来るもんかい。わし一人で充分じゃ」
僕は確かに非力だし、農作業もやったことがない。でも、僕にだって何か出来ることがあるはずだ。こうまで言われて引き下がるのは僕のプライドが許さない。
「僕でもきっと役に立てます。一緒にやらせてください」
僕は農家さんにお辞儀をして頼み込んだ。そんな僕の真摯な姿勢が伝わったのか、農家さんもしまいには「よか」と言って、僕を受け入れてくれた。
それから僕らは夕食を摂った。六人での初めての食事である。最初の頃を思えば、かなり賑やかな雰囲気になってきた。
食事の途中では、農家さんが自身の身の上を語ってくれた。要点をまとめるとこんな感じだ。
農家さんは、若い頃から家を継いでずっと兼業で農家をやってきたそうだ。近くの工場に勤める傍ら、家で農業をやってきたが、定年後はマイペースで農業をやりつつ、公民館活動などもしているという。奥さんは五年前に亡くし、息子二人も都会に出てしまい、今は一人暮らしだそうだ。
「息子さんはたまに帰ってくるんですか」
「ああ、たまにはな。長男は結婚して孫か生まれたんで、年に一度くらいは孫の顔見せに帰ってくるわい。次男は気が向いたときだけじゃな」
農家さんは少し寂しそうな顔をした。もうこのまま彼らに会うことは出来ないかも。そこに思い至ったのかも知れない。
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