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誰が湖へ行くか
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「僕が釣りに行っても、二倍魚が釣れるわけでもないですし……」
桂坂さんが口を開こうとしたので、またからかいの言葉を投げてくるかと思ったが違った。
「持ってる専門技術を伝え合うこともあとあと大切になってくるとは思うけど、優先順位からいうと必ずしも高くはないと私も思います」
「そうね。そういう意味では、生活面も最低限のことをやってればとりあえず大丈夫だと思う」と生果さん。
「女手も増えてきたし、生活面はそんなにやることないので、女の人なら釣りキチさんと一緒に誰か行けるんじゃないかな……」
料子さんが言う。
「あの……私、行きましょうか?」
そう切り出したのは保育士さんだ。
「湖までは結構遠いと聞いたんで、私とか優子ちゃんみたいな若い人がいいかなあ、って」
「保育士さんは釣りやったことあるの?」
やったことがあろうがなかろうが、今はさしたる問題でもないのだが、僕はただの好奇心で訊いてみた。
「小さい頃、父に連れられて行ったことはあるんですが、自分ではまったくないんです。でも一緒に行って何かお手伝いぐらいは出来ると思います」
「いいと思うわ」
料子さんが真っ先に賛成した。桂坂さんや生果さんも大きくうなずく。
「でも、釣りキチさん、明日はまだ釣りにいかないほうが」
「そうだな。今夜の様子を見てだな。本人が平気なら明日からも行ってもらっていいと思うが」
僕が懸念していることには、スカウトさんが冷静な判断を下した。
「他の皆さんも疲れとか大丈夫ですか?」
保育士さんがみんなの顔を見て回る。釣りキチさんの件もあるし、他の人の健康状態は気になるのだろう。保育士さん自身はまだ来てからあまり経ってないので、疲れは溜まってはないだろうが。
「さすがに来る前よりは多少痩せこけたが、ナースさんも毎日健康チェックしてくれてるから特に不安はないな」とスカウトさん。
「そうね。ダイエットにはちょうどいいかも、と思ったりもしたけど、案外痩せないものね」
料子さんがそう言ったので、笑いが起こった。
「疲れはやっぱりあるんですけど、空気が美味しいからなのか、体調は全然悪くならないですね……」
僕は大学生だったので、今の生活は体を動かすちょうどいい健康的な生活になっている。それに毎日大変ではあるが、ハリもあり、精神的には逆に充実しているとも言える。ここに来て良かった、と言うのは流石に言えないが。
「ここじゃ、どうしてもやらなきゃならないノルマなんてものはない。疲れた時は休んでもいいし、そのへんは各自でバランスよく生活してくれ」
スカウトさんがそう総括した。実際には一人一人必死に生きなければならない状況ではあるが、だからといってあえて自分を追い込む必要はないと僕も思う。足りないところはみんなで補いあっていけばいい、そんな風に今は思っている。
桂坂さんが口を開こうとしたので、またからかいの言葉を投げてくるかと思ったが違った。
「持ってる専門技術を伝え合うこともあとあと大切になってくるとは思うけど、優先順位からいうと必ずしも高くはないと私も思います」
「そうね。そういう意味では、生活面も最低限のことをやってればとりあえず大丈夫だと思う」と生果さん。
「女手も増えてきたし、生活面はそんなにやることないので、女の人なら釣りキチさんと一緒に誰か行けるんじゃないかな……」
料子さんが言う。
「あの……私、行きましょうか?」
そう切り出したのは保育士さんだ。
「湖までは結構遠いと聞いたんで、私とか優子ちゃんみたいな若い人がいいかなあ、って」
「保育士さんは釣りやったことあるの?」
やったことがあろうがなかろうが、今はさしたる問題でもないのだが、僕はただの好奇心で訊いてみた。
「小さい頃、父に連れられて行ったことはあるんですが、自分ではまったくないんです。でも一緒に行って何かお手伝いぐらいは出来ると思います」
「いいと思うわ」
料子さんが真っ先に賛成した。桂坂さんや生果さんも大きくうなずく。
「でも、釣りキチさん、明日はまだ釣りにいかないほうが」
「そうだな。今夜の様子を見てだな。本人が平気なら明日からも行ってもらっていいと思うが」
僕が懸念していることには、スカウトさんが冷静な判断を下した。
「他の皆さんも疲れとか大丈夫ですか?」
保育士さんがみんなの顔を見て回る。釣りキチさんの件もあるし、他の人の健康状態は気になるのだろう。保育士さん自身はまだ来てからあまり経ってないので、疲れは溜まってはないだろうが。
「さすがに来る前よりは多少痩せこけたが、ナースさんも毎日健康チェックしてくれてるから特に不安はないな」とスカウトさん。
「そうね。ダイエットにはちょうどいいかも、と思ったりもしたけど、案外痩せないものね」
料子さんがそう言ったので、笑いが起こった。
「疲れはやっぱりあるんですけど、空気が美味しいからなのか、体調は全然悪くならないですね……」
僕は大学生だったので、今の生活は体を動かすちょうどいい健康的な生活になっている。それに毎日大変ではあるが、ハリもあり、精神的には逆に充実しているとも言える。ここに来て良かった、と言うのは流石に言えないが。
「ここじゃ、どうしてもやらなきゃならないノルマなんてものはない。疲れた時は休んでもいいし、そのへんは各自でバランスよく生活してくれ」
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