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凧揚げ開始
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「聞いた話だと、凧がしっかり上がってから糸の途中にスマホを固定するらしいわよ」
生果さんの言葉で僕たちの疑問は解消した。なるほど。それならばより安定した状態で揚げられるし、スマホを破損する危険も少ないだろう。
「でも、それだとあんまり高いところでの撮影は出来ないですね」
笑美さんが感想を述べる。まだ来たばかりだというのに、もうすっかり溶け込んでることに僕は密かに感心した。
凧がある程度揚がると、生果さんが言ったように、大工さんがスマホを糸に結びつける作業を始めた。
「いよいよですね。なんだか緊張してきました」
ナースさんが興奮を隠しきれない様子で言う。僕だって同じ気持ちだ。これが成功すれば、この森の謎、ひいてはこの世界の謎を解くキッカケになるかもしれないのだから。
「あの……凧が落ちたらスマホ壊れちゃいませんか? 私たち、受け止めに行かなくていいんでしょうか……」
「あっ」
僕は思わず声を上げた。すっかり忘れていた。昨日の夜の打ち合わせでも、みんなでそのことをを話し合ってたはずなのに。まさか、この世界に来たばかりの笑美さんに指摘されるとは!
「そうだったわね。つい眺めるのに夢中で忘れてたわ」
料子さんもそう言った。この場の全員がそれを忘れていたと言うのも滑稽だが、一回失敗して仕切り直したことで頭から抜け落ちたのかもしれない。
「それじゃ、みんなで凧の下あたりで散らばりましょう」
僕はみんなにそう指示を出し、宙にも気が散らない程度にそっと声をかけた。
そうしてみんなが配置に付き終わった頃、宙が大声を出した。
「これで一杯です!」
なんのことかと思って、宙のほうを見ると、どうやら糸が限界まで延ばされたようだ。もう糸巻きには残っていない。
これが最高の高さということか? どのぐらいの高さなのだろうか。北野君は、糸は50メートルあると言っていたが、途中でスマホつけたり凧に結びつけた部分もあるだろうから、それよりは短い。しかも斜めに上がっているので高さは数メートル低くなっているだろう。
おまけに糸の途中でスマホを結びつけてるわけだから、実際の撮影の高さはかなり低い。よくて30メートル程度ではないかと予想した。
ふと少し離れた場所で、なにやら道具を前にして熱心に作業をしている理科さんを発見した。あの道具は……。そうだ、高度計ってやつだ。そうか、あれで凧の高さを測ってるんだ。
凧の真下の位置から観測場所までの距離と、凧の角度が分かれば、高さが分かる。三角法だったかな。
生果さんの言葉で僕たちの疑問は解消した。なるほど。それならばより安定した状態で揚げられるし、スマホを破損する危険も少ないだろう。
「でも、それだとあんまり高いところでの撮影は出来ないですね」
笑美さんが感想を述べる。まだ来たばかりだというのに、もうすっかり溶け込んでることに僕は密かに感心した。
凧がある程度揚がると、生果さんが言ったように、大工さんがスマホを糸に結びつける作業を始めた。
「いよいよですね。なんだか緊張してきました」
ナースさんが興奮を隠しきれない様子で言う。僕だって同じ気持ちだ。これが成功すれば、この森の謎、ひいてはこの世界の謎を解くキッカケになるかもしれないのだから。
「あの……凧が落ちたらスマホ壊れちゃいませんか? 私たち、受け止めに行かなくていいんでしょうか……」
「あっ」
僕は思わず声を上げた。すっかり忘れていた。昨日の夜の打ち合わせでも、みんなでそのことをを話し合ってたはずなのに。まさか、この世界に来たばかりの笑美さんに指摘されるとは!
「そうだったわね。つい眺めるのに夢中で忘れてたわ」
料子さんもそう言った。この場の全員がそれを忘れていたと言うのも滑稽だが、一回失敗して仕切り直したことで頭から抜け落ちたのかもしれない。
「それじゃ、みんなで凧の下あたりで散らばりましょう」
僕はみんなにそう指示を出し、宙にも気が散らない程度にそっと声をかけた。
そうしてみんなが配置に付き終わった頃、宙が大声を出した。
「これで一杯です!」
なんのことかと思って、宙のほうを見ると、どうやら糸が限界まで延ばされたようだ。もう糸巻きには残っていない。
これが最高の高さということか? どのぐらいの高さなのだろうか。北野君は、糸は50メートルあると言っていたが、途中でスマホつけたり凧に結びつけた部分もあるだろうから、それよりは短い。しかも斜めに上がっているので高さは数メートル低くなっているだろう。
おまけに糸の途中でスマホを結びつけてるわけだから、実際の撮影の高さはかなり低い。よくて30メートル程度ではないかと予想した。
ふと少し離れた場所で、なにやら道具を前にして熱心に作業をしている理科さんを発見した。あの道具は……。そうだ、高度計ってやつだ。そうか、あれで凧の高さを測ってるんだ。
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