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未知の場所
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夕食後のミーティングでは、理科さんから昨日見つけた森の中の緑が薄くなっている部分のもう少し詳しい状況が語られた。
「撮影映像を詳細に分析したところ、方角がある程度分かったわ。方向はほぼ東北東。面積はそうね……この集落と同程度と見てもいいかもしれないわ」
「どれぐらい離れたところにあるか推測出来ませんか?」と僕は尋ねた。
「うーん、それは難しいな。歩いて1日で到達出来る距離ではないことは確かだけど」
「平地ならかなり遠くまで歩けるけど、森の中を進む分にはちょっとした遠征になるね」ふと内装さんが言う。
「やっぱりここみたいな集落があるってことかしらね?」
料子さんが気軽に推測を口にする。
「それは何とも言えないわね。昨日も言ったように、ただの荒地かもしれないし、湖ってこともあり得る。それは実際に訪れてみないことにははっきりしないと思う」
その後も謎の土地について、色んな予想がかわされたが、僕は少し別のことを考えていた。
「ええと、実際にはスカウトさんたちが帰ってきてからの話ですが、その謎の場所の調査に誰かに行ってもらいたいのですが……。僕は、ある程度まとまった人数で調査に行ったほうがいいと思うんです」
「なんでそう思ったの?」と桂坂さんが訊く。
「もしそこに集落があったとすれば、誰かがすでに居る場合と無人の場合があります。いずれも少なくとも数日は滞在することになるでしょう。特に先客がいた場合、争いが生じることもないとは言えないので、人数は多ければ多いほどよいです」
「そうだな。それに人数が多かったら、連絡要員として二人ぐらいは、こっちに戻ってくることも出来るな」
「そうなんです。テントも五人用と三人用の二種類が追加されたので、スカウトさんが今使っている二人用のテントも合わせれば、最大十人が宿泊出来ます。それに今回、そのぐらいの数が手に入りましたし」
「十人か……大所帯だな……」
ドクターがつぶやく。
「ここに来た人の数も多くなってきたので、そろそろ調査面にもスカウトさんと自転車君以外にも人を割いていったほうがいいと思うのですが、どうでしょうか?」
僕が提案したかったことの本質はこれだ。
「まだまだやることはいっぱいあると思うがな」
そう大工さんが答えたのに対して、僕は応じた。
「確かに食料だってまだ万全の備えが出来てるわけではないし、設備面でもこれからだということは承知しています。でもこれからも毎日一人ずつ増えていくなら、働き手も増えるわけで、むしろ積極的にやることを増やしてゆくべきではないかと」
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「どれぐらい離れたところにあるか推測出来ませんか?」と僕は尋ねた。
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「やっぱりここみたいな集落があるってことかしらね?」
料子さんが気軽に推測を口にする。
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その後も謎の土地について、色んな予想がかわされたが、僕は少し別のことを考えていた。
「ええと、実際にはスカウトさんたちが帰ってきてからの話ですが、その謎の場所の調査に誰かに行ってもらいたいのですが……。僕は、ある程度まとまった人数で調査に行ったほうがいいと思うんです」
「なんでそう思ったの?」と桂坂さんが訊く。
「もしそこに集落があったとすれば、誰かがすでに居る場合と無人の場合があります。いずれも少なくとも数日は滞在することになるでしょう。特に先客がいた場合、争いが生じることもないとは言えないので、人数は多ければ多いほどよいです」
「そうだな。それに人数が多かったら、連絡要員として二人ぐらいは、こっちに戻ってくることも出来るな」
「そうなんです。テントも五人用と三人用の二種類が追加されたので、スカウトさんが今使っている二人用のテントも合わせれば、最大十人が宿泊出来ます。それに今回、そのぐらいの数が手に入りましたし」
「十人か……大所帯だな……」
ドクターがつぶやく。
「ここに来た人の数も多くなってきたので、そろそろ調査面にもスカウトさんと自転車君以外にも人を割いていったほうがいいと思うのですが、どうでしょうか?」
僕が提案したかったことの本質はこれだ。
「まだまだやることはいっぱいあると思うがな」
そう大工さんが答えたのに対して、僕は応じた。
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