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アスタリア王国編
177 恋人と温室デートをいたしましょう
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リズから嬉しい知らせを受け取ったエリーナは、朝から頬が緩み上機嫌だった。お昼からは早速ベロニカを呼んで、お祝い会をする予定にしている。根掘り葉掘り聞くつもりであり、楽しみで仕方がない。エリーナはさくさくと勉強を進め、先生の目を丸くしたのだった。
そしてクリスから昼食は温室で食べようと誘われたので、クリスについて温室へ向かう。王宮内にはお茶もできる温室があり、一年中花が咲いているのだ。外は冬の盛りで寒いが、温室は春のような温かさで心地よい。
「すごい、きれいな場所ね」
一足早く春が来たようだ。香りに心が安らぎ、色とりどりの花が目を楽しませる。
「母の趣味だよ」
クリスの母は花が好きだそうで、温室や庭園は母親の好みを反映したものになっているらしい。二人は椅子に腰かけ、リズが食事の準備をする。せっかく外で食べるという事で、ピクニック気分を味わえる昼食にしたらしい。
バスケットから取り出されたのはサンドイッチで、お皿に並べられたそれを見てエリーナは小首を傾げた。
「中身が黄色いわ」
いつもなら、サンドイッチは野菜やハムが挟まれているのだが、エリーナのお皿のサンドイッチは黄色に茶色が一筋。その優しくふるふるしていそうな黄色は、よく知っているもので……。
「プリンなの?」
よく見ればパンにはカラメルソースが染みこませてあり、生クリームも挟まれている。これはもはやケーキだ。
「はい。プリンサンドでございます。外でも気軽にプリンを楽しめるよう、カフェ・アークで開発されたそうです」
もちろんエリーナのためにである。
「デザートだけじゃなく、サンドイッチとしても食べられるだなんて……素敵」
「食べてみて」
エリーナの反応に満足しているクリスだが、サンドイッチの中に甘いプリンが入っているなど考えられないため、いつものハムとトマトとレタスのサンドイッチを食べている。
エリーナが崩れないかしらと恐々サンドイッチを持ち上げるが、思いのほかプリンはしっかりしている。
「プリンはサンドイッチ用に硬めで薄くしているんです」
パティシエの努力の結晶である。
エリーナがさっそくかぶりつくと、プリンはぷるっと切れて噛めば噛むほどプリンの味が広がっていく。パンの小麦の香りに、プリンのまろやかな味とカラメルソースの苦み、それを生クリームがほどよく調和させて、一つの完成された食べ物になっていた。
「ケーキみたい。手軽に食べられるのがいいわね」
「エリーが気に入ってくれたなら嬉しいよ」
「えぇ、最高よ。たまにお昼に出してほしいわ。それとデザートもプリンね」
プリンサンドの上、まだプリンを食べるというエリーナに、クリスは苦笑する。そのうち、メインもプリン、飲み物もプリンなどと言いかねない。
そしてエリーナはプリンサンドを三つ食べ、デザートの抹茶プリンも食べてご満悦だ。ベロニカと会うまで時間もあるので、食休みとお茶を飲みながらおしゃべりを楽しむ。
「最近裏でこそこそしているけど、何をしているの? ナディヤ嬢についてだよね」
クリスは紅茶をすすり、エリーナに視線を向けた。すでにゲームに続編があり、ナディヤがそのヒロインであることは聞いている。それについてはクリスもシナリオを知らないため、手探りで進むしかないという結論になった。そして案の定、子どものころナディヤに会っていたことは忘れていた。
「そう。ナディヤとお義兄様をくっつけようと思って」
「え? 兄さん?」
初めてその目的を聞いたクリスは怪訝そうな顔をした。ナディヤとシルヴィオがつながらないようだ。そこで、最近の出来事と二人の想いを話せば目を丸くしていた。全く気付かなかったらしい。
「え、そんな面白い事、もっと早く教えてよ。思う存分からかえたのに」
最初にそんな感想が出るあたりに、ふだんの二人の会話がどんなものか分かる。クリスがシルヴィオをからかっても、逆に言い返される気もするが。
「成功してから、からかってね。それで、いくつかやりたいことがあって、クリスには手配を頼んでいたのよ」
「あぁ。一応手は回しておいたよ。でもその感じじゃ、兄さんがだいたいやっているよね」
その計画にシルヴィオも関わっているなら、徹底的に外堀を埋めて障害を排除していそうだとクリスは思う。裏工作に関しては、クリスよりも狡猾なところがある。
「えぇ、だから結果を楽しみに待っていてね」
「……ほんと、何をするつもりなの」
肝心なところをぼやかすということは、クリスには言いたくない何かがあるということだ。
「おほほ。ちょっとした戯れですわ」
「……まぁ、エリーに危険がないならいいけど。リズは付けるからね」
そしてクリスはエリーナの手を取り、引き寄せる。
「もし危ないことをしてたら、お仕置きするから。覚悟してね」
そう上目遣いで見つめられ、軽く手の甲にキスを落とされれば、エリーナは真っ赤になって小刻みに頷くことしかできないのだった。
ちなみにそんなエリーナが可愛く、色気を出すクリスと素晴らしい絵になっていたため、リズは叫び出したいのを表情には出さず無心に心のシャッターを切っていたのである。油断すれば鼻血が出そうだったと、後で話すのだった。
そしてクリスから昼食は温室で食べようと誘われたので、クリスについて温室へ向かう。王宮内にはお茶もできる温室があり、一年中花が咲いているのだ。外は冬の盛りで寒いが、温室は春のような温かさで心地よい。
「すごい、きれいな場所ね」
一足早く春が来たようだ。香りに心が安らぎ、色とりどりの花が目を楽しませる。
「母の趣味だよ」
クリスの母は花が好きだそうで、温室や庭園は母親の好みを反映したものになっているらしい。二人は椅子に腰かけ、リズが食事の準備をする。せっかく外で食べるという事で、ピクニック気分を味わえる昼食にしたらしい。
バスケットから取り出されたのはサンドイッチで、お皿に並べられたそれを見てエリーナは小首を傾げた。
「中身が黄色いわ」
いつもなら、サンドイッチは野菜やハムが挟まれているのだが、エリーナのお皿のサンドイッチは黄色に茶色が一筋。その優しくふるふるしていそうな黄色は、よく知っているもので……。
「プリンなの?」
よく見ればパンにはカラメルソースが染みこませてあり、生クリームも挟まれている。これはもはやケーキだ。
「はい。プリンサンドでございます。外でも気軽にプリンを楽しめるよう、カフェ・アークで開発されたそうです」
もちろんエリーナのためにである。
「デザートだけじゃなく、サンドイッチとしても食べられるだなんて……素敵」
「食べてみて」
エリーナの反応に満足しているクリスだが、サンドイッチの中に甘いプリンが入っているなど考えられないため、いつものハムとトマトとレタスのサンドイッチを食べている。
エリーナが崩れないかしらと恐々サンドイッチを持ち上げるが、思いのほかプリンはしっかりしている。
「プリンはサンドイッチ用に硬めで薄くしているんです」
パティシエの努力の結晶である。
エリーナがさっそくかぶりつくと、プリンはぷるっと切れて噛めば噛むほどプリンの味が広がっていく。パンの小麦の香りに、プリンのまろやかな味とカラメルソースの苦み、それを生クリームがほどよく調和させて、一つの完成された食べ物になっていた。
「ケーキみたい。手軽に食べられるのがいいわね」
「エリーが気に入ってくれたなら嬉しいよ」
「えぇ、最高よ。たまにお昼に出してほしいわ。それとデザートもプリンね」
プリンサンドの上、まだプリンを食べるというエリーナに、クリスは苦笑する。そのうち、メインもプリン、飲み物もプリンなどと言いかねない。
そしてエリーナはプリンサンドを三つ食べ、デザートの抹茶プリンも食べてご満悦だ。ベロニカと会うまで時間もあるので、食休みとお茶を飲みながらおしゃべりを楽しむ。
「最近裏でこそこそしているけど、何をしているの? ナディヤ嬢についてだよね」
クリスは紅茶をすすり、エリーナに視線を向けた。すでにゲームに続編があり、ナディヤがそのヒロインであることは聞いている。それについてはクリスもシナリオを知らないため、手探りで進むしかないという結論になった。そして案の定、子どものころナディヤに会っていたことは忘れていた。
「そう。ナディヤとお義兄様をくっつけようと思って」
「え? 兄さん?」
初めてその目的を聞いたクリスは怪訝そうな顔をした。ナディヤとシルヴィオがつながらないようだ。そこで、最近の出来事と二人の想いを話せば目を丸くしていた。全く気付かなかったらしい。
「え、そんな面白い事、もっと早く教えてよ。思う存分からかえたのに」
最初にそんな感想が出るあたりに、ふだんの二人の会話がどんなものか分かる。クリスがシルヴィオをからかっても、逆に言い返される気もするが。
「成功してから、からかってね。それで、いくつかやりたいことがあって、クリスには手配を頼んでいたのよ」
「あぁ。一応手は回しておいたよ。でもその感じじゃ、兄さんがだいたいやっているよね」
その計画にシルヴィオも関わっているなら、徹底的に外堀を埋めて障害を排除していそうだとクリスは思う。裏工作に関しては、クリスよりも狡猾なところがある。
「えぇ、だから結果を楽しみに待っていてね」
「……ほんと、何をするつもりなの」
肝心なところをぼやかすということは、クリスには言いたくない何かがあるということだ。
「おほほ。ちょっとした戯れですわ」
「……まぁ、エリーに危険がないならいいけど。リズは付けるからね」
そしてクリスはエリーナの手を取り、引き寄せる。
「もし危ないことをしてたら、お仕置きするから。覚悟してね」
そう上目遣いで見つめられ、軽く手の甲にキスを落とされれば、エリーナは真っ赤になって小刻みに頷くことしかできないのだった。
ちなみにそんなエリーナが可愛く、色気を出すクリスと素晴らしい絵になっていたため、リズは叫び出したいのを表情には出さず無心に心のシャッターを切っていたのである。油断すれば鼻血が出そうだったと、後で話すのだった。
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