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〜第3話〜 大混乱!?謎の組織シュリュウ団あらわる!
2.イブニングサンク
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―学校の教室
いつものように学校のチャイムの鐘が鳴る。
私、花田 朱美はいつものようにまどろみながらその空間に佇む。
いつもの教室、いつもの授業、いつもの休み時間。
そして…いつもの友達。
だけど今日はひとつだけ…いつもと違うところがあった。
「…?友美?どうしたの…?」
「ううううう…うううううう…」
私の友人、友美は机に突っ伏し、『う』を連発していた。
「…う…ウクライナ?」
「………ナイジェリア」
「アルジェリア!」
「…アゼルバイジャ…」
「あー!『ん』がついた!」
「…ってしりとりじゃないわ!」
「おっ、ちょっと元気になった」
友美は少し間をおいて話し始める。
「私の彼氏が…彼氏がぁ…」
「シュリュウ団とかいう連中に…盗られたー!!」
「シュリュウ団…って。最近話題の…?」
私はその名前に聞き覚えがあった。
最近ニュースで連日報道されている集団だ。
なんでも男子を誘拐するとか…
「それは災難だったね…この際ボーイズホルダー買ったら?」
「………」
「…なんてね。冗談冗談。ほらこのダイジェスティブビスケットでも食べて元気出して」
友美はしばらく考え込むように無言になり、
その後、私の方に人差し指を向けてこう言った。
「それいただき」
「へ…?ビスケット…?」
「ちがうちがう、ボーイズホルダー!」
「それもそうよね。
今話題のボーイズホルダーでも買って、その辺の良さげな男で遊ぶか~!」
そういうと友美は小躍りしながら机を離れる。
「…まぁ立ち直れたようで良かったわ」
この前の愛央との騒動から数か月が過ぎ、
ボーイズホルダーはとうとう一般販売されるようになった。
まだ価格は割高かつ品薄で…
たぶん今の友美には買えないと思うけど…
ただ、世間的には
ボーイズホルダーを持つことがひとつのステータスになっていた。
一方で、ボーイズホルダーを悪用する者たちの存在もちらつき始めていた。
『シュリュウ団』
連日メディアを賑わす謎の集団。
男子だけをターゲットにするその手口からボーイズホルダーが関わっていることは明らかだった。
「…まぁ今日博士のとこにだべりに行くついでにネタにしてみるか…」
そう決心すると、私は博士のところで話すネタを考えつつ、チャイムが鳴るまで机でぼんやりと本を開いていることにした。
―大河内博士の研究所
「博士-!」
「おお、朱美くんか」
私が博士の研究所に入ると、博士はめずらしくピペットを手にして研究っぽいことをしており、機器を使って何かを計測しているようだった。
「今日は何してんの?」
「うむ。朱美くんたちがこれまで捕獲した男子たちのDNAデータをサンプリングし、その塩基配列の傾向を見ているんだ。これで男子の気持ちが理解できるぞぉ~」
「絶対できないと思うけど…」
いつもながら博士の感性はちょっとずれている。
「パラパパ~♪パ~パン♪」
その時、居間の方でつけっぱなしになっていたテレビの方から印象的なメロディが聞こえてくる。
「こんばんは。ニュースイブニングサンクの時間です」
「おお!ニュースの時間だ!」
ニュース番組が始まると博士は持っていたピペットを雑に置き、テレビの前に向かう。
「うええ?博士ってそんなにニュース好きだっけ?」
「ふっふっふっ…私が好きなのは…このアナウンサーさ!」
「では、最初のニュースです」
博士はニュースを読み上げる男性アナウンサーを指さす。
ベージュのスーツと少年のようにつややかな髪、印象的な細い声は、典型的な男性アナウンサーとは一線を画す、まるでアイドルのような雰囲気だ。
「この人って…?」
「知らないのか?夏目瑞樹
いま話題沸騰中の人気アナウンサーだ!
ニュース時のシリアスな表情と、時折見せるあどけない態度のギャップが人気の理由だ。
しかも『ペットにしたい男性アナウンサー』部門でも3回連続の1位に選ばれたのだ!」
「ふえ~。なんかすごい人なんだね…」
「いいよなぁ~私もこんな男子を自宅に連れ込んでスキャンダルしてみたいぞ」
「ちょっとそれは無理があるって」
「そうだよなぁー…」
「そうそう。博士のスキャンダルの相手はそのテレビのリモコンがお似合いだって」
「なんかさぁ!!最近さぁ!!
以前にも増して私の扱い雑じゃない!?」
「ごめんごめん。でも前からこんな感じじゃない?」
「そうかあ~?」
博士は若干ムスッとした表情になりながらも、意識を再びテレビに向ける。
いつものように学校のチャイムの鐘が鳴る。
私、花田 朱美はいつものようにまどろみながらその空間に佇む。
いつもの教室、いつもの授業、いつもの休み時間。
そして…いつもの友達。
だけど今日はひとつだけ…いつもと違うところがあった。
「…?友美?どうしたの…?」
「ううううう…うううううう…」
私の友人、友美は机に突っ伏し、『う』を連発していた。
「…う…ウクライナ?」
「………ナイジェリア」
「アルジェリア!」
「…アゼルバイジャ…」
「あー!『ん』がついた!」
「…ってしりとりじゃないわ!」
「おっ、ちょっと元気になった」
友美は少し間をおいて話し始める。
「私の彼氏が…彼氏がぁ…」
「シュリュウ団とかいう連中に…盗られたー!!」
「シュリュウ団…って。最近話題の…?」
私はその名前に聞き覚えがあった。
最近ニュースで連日報道されている集団だ。
なんでも男子を誘拐するとか…
「それは災難だったね…この際ボーイズホルダー買ったら?」
「………」
「…なんてね。冗談冗談。ほらこのダイジェスティブビスケットでも食べて元気出して」
友美はしばらく考え込むように無言になり、
その後、私の方に人差し指を向けてこう言った。
「それいただき」
「へ…?ビスケット…?」
「ちがうちがう、ボーイズホルダー!」
「それもそうよね。
今話題のボーイズホルダーでも買って、その辺の良さげな男で遊ぶか~!」
そういうと友美は小躍りしながら机を離れる。
「…まぁ立ち直れたようで良かったわ」
この前の愛央との騒動から数か月が過ぎ、
ボーイズホルダーはとうとう一般販売されるようになった。
まだ価格は割高かつ品薄で…
たぶん今の友美には買えないと思うけど…
ただ、世間的には
ボーイズホルダーを持つことがひとつのステータスになっていた。
一方で、ボーイズホルダーを悪用する者たちの存在もちらつき始めていた。
『シュリュウ団』
連日メディアを賑わす謎の集団。
男子だけをターゲットにするその手口からボーイズホルダーが関わっていることは明らかだった。
「…まぁ今日博士のとこにだべりに行くついでにネタにしてみるか…」
そう決心すると、私は博士のところで話すネタを考えつつ、チャイムが鳴るまで机でぼんやりと本を開いていることにした。
―大河内博士の研究所
「博士-!」
「おお、朱美くんか」
私が博士の研究所に入ると、博士はめずらしくピペットを手にして研究っぽいことをしており、機器を使って何かを計測しているようだった。
「今日は何してんの?」
「うむ。朱美くんたちがこれまで捕獲した男子たちのDNAデータをサンプリングし、その塩基配列の傾向を見ているんだ。これで男子の気持ちが理解できるぞぉ~」
「絶対できないと思うけど…」
いつもながら博士の感性はちょっとずれている。
「パラパパ~♪パ~パン♪」
その時、居間の方でつけっぱなしになっていたテレビの方から印象的なメロディが聞こえてくる。
「こんばんは。ニュースイブニングサンクの時間です」
「おお!ニュースの時間だ!」
ニュース番組が始まると博士は持っていたピペットを雑に置き、テレビの前に向かう。
「うええ?博士ってそんなにニュース好きだっけ?」
「ふっふっふっ…私が好きなのは…このアナウンサーさ!」
「では、最初のニュースです」
博士はニュースを読み上げる男性アナウンサーを指さす。
ベージュのスーツと少年のようにつややかな髪、印象的な細い声は、典型的な男性アナウンサーとは一線を画す、まるでアイドルのような雰囲気だ。
「この人って…?」
「知らないのか?夏目瑞樹
いま話題沸騰中の人気アナウンサーだ!
ニュース時のシリアスな表情と、時折見せるあどけない態度のギャップが人気の理由だ。
しかも『ペットにしたい男性アナウンサー』部門でも3回連続の1位に選ばれたのだ!」
「ふえ~。なんかすごい人なんだね…」
「いいよなぁ~私もこんな男子を自宅に連れ込んでスキャンダルしてみたいぞ」
「ちょっとそれは無理があるって」
「そうだよなぁー…」
「そうそう。博士のスキャンダルの相手はそのテレビのリモコンがお似合いだって」
「なんかさぁ!!最近さぁ!!
以前にも増して私の扱い雑じゃない!?」
「ごめんごめん。でも前からこんな感じじゃない?」
「そうかあ~?」
博士は若干ムスッとした表情になりながらも、意識を再びテレビに向ける。
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