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第3章:生い立ち編2 ~見聞の旅路~
第143話 夜明け前
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「皆の者!!諫言感謝するっ!」
騒めくマデュラ騎士団団員達に向け食堂中二階からブレンが発した言葉は一瞬にして静寂を生み出した。
ブレンは眼下に集う者達一人一人の顔を確かめる様に無言で視線を送る。
ブレンのその視線に団員達が纏った血香は徐々に収まっていった。
ブレンは「ふぅ」と一つ息を漏らすと首を少し左に回し、背後に控えるエリオスとオスカーに「感謝を」と一言告げ姿勢を正した。
ブレンのその姿は団員達が敬い、命を賭すと誓いを立てたマデュラ騎士団団長ブレン・ド・マデュラそのものだった。
「まずは皆に詫びねばならぬっ!」
ブレンを見上げる団員達にどよめきが起こった。
「・・・・」
どよめきを制そうともせず無言で眼下に視線を落とすブレンに食堂は静寂を取り戻す。
「我らが館に毒が持ち込まれ、食事に毒が混入した不始末は全てこの私、ブレン・ド・マデュラの不徳の致すところである事をここに詫びるっ!」
ザワッザワッ・・・・
その言葉に食堂はザワついた。
「皆っ!静まれっ!!ブレン様のお言葉を制するとは何事かっ!」
騒めきを制する声の方へ視線が集中した。
出入口に謹慎中の第一隊長コーエンと第二隊長エデルが姿を現した。
2人は団員達の人垣を分け入り食堂の中央まで進むと出入口上部の中二階に佇むブレンを見上げた。
「ブレン様っ!この者達の不始末、お許し下さい。皆、マデュラとブレン様を思えばこその所業にてお許し下さいっ!」
コーエンとエデルはその場で左手を胸にあて跪いた。
ザッ!!!!
コーエンとエデルの姿に倣い団員達は一斉に跪く。
「お言葉をっ!ブレン様っ!我らにお言葉を賜りたく存じますっ!我らは皆、いついかなる時もブレン様のご意志に従い、この身を賭す誓いを立てた者どもにございますっ!どうかっ!今この時のブレン様のご意志を我らにお示し下さいっ!」
ダンッ!!
ダダンッ!!
団員達は拳を床に叩きつけコーエンの言葉に同意を示した。
ブレンを見上げるコーエンの眼には覚悟の色が窺えた。
「・・・・」
ブレンは静まり返った食堂を見渡した後、天井を見上げ目を閉じた。
大きく息を吸い呟く様に騎士叙任式で唱える誓いの言葉を口にした。
「いついかなる時も正義と善の味方となりて、不正と悪に立ち向かう。民を守る盾となり、主の敵を打つ矛となる。我、騎士である身を忘れることなかれ」
左手を胸にあて正面を見つめると眼下に視線を落とした。視線の先にはブレンの言葉を待つ団員達が整然と跪いている。
ブレンは胸にあてた左手に力を込めた。
「皆の者、我らはシュタイン王国王都騎士団総長より任を賜りし貴族騎士団だっ!」
声を出す者はいないものの団員達は目を見開いていた。
「今更、解りきった事を申すと思う者もあろう。だが、私はこの度のセルジオ騎士団団長名代として我がマデュラ騎士団を訪れたセルジオ様ご一行に改めてその事実を教えられたのだ」
団員達はお互い顔を見合わせブレンの言葉を素直に受け入れられていない様子だ。
ダンッ!!
ダダンッ!!!
コーエンとエデルが床を叩き、動揺を隠せない団員達を制した。
「・・・・今、この時のあり様こそが、私の失態なのだ・・・・」
ブレンは哀しそうな眼を団員に向けると気を取り直す様に今一度姿勢を正した。
「皆が我らをシュタイン王国の一貴族騎士団であると認識できずにいる事こそが私の不徳の致すところであるっ!まずはこの事実を皆に詫びたいっ!我らはっ!我がマデュラ騎士団はっ!シュタイン王国王都騎士団総長より任を賜りし貴族騎士団であるっ!」
ダンッ!!
ダダンッ!!!
コーエンとエデルは床を叩くと立ち上がった。
「「オオッ!!!」」
大声を上げ左拳を高々と掲げた。
ザッ!!!
「「オオッ!!!!」」
コーエンとエデルに続き食堂に集った団員達は一斉に立ち上がり左拳を高々と掲げ大声を上げた。
ビリビリと食堂が振動している。
それは剣を携帯していれば剣を持っての誓い、剣の神聖だった。
ザッ!!!
ブレンの次の言葉を待つように姿勢を正す団員達の姿にブレンは目頭が熱くなるのをぐっと堪え声を発した。
「私はこれまで他の貴族騎士団、いや、他領の領民からさえ疎まれている事を過去から続く青と赤の因縁が原因だと憚らず公言してきたっ!そして、私の代でこの忌まわしき因縁を終わらせると告げてきたっ!」
ブレンは団員達の顔を見渡した。
「葬るべきは青と赤の因縁であり、因縁の根源である再来した青き血が流れるコマンドールとブレン・ド・マデュラがこの地で終わりの始まりを声高に唱えたならば全ての憂いは晴れると確信もしていたっ!」
ブレンはぐっと拳を握った。
「そこにはマデュラの戒めの言葉『一切の傲りを持たぬこと』が欠落している事など気付きもせずにっ!」
ブレンは手すりを両手で強く握った。
「あたかもそれは天命であり、己であれば全てを終わらせる事ができると確信する傲りであると気付かずに・・・・」
ブレンの手すりを握る両手はブルブルと震えていた。
「あまつさえ、何をしようとも我らを受入てくれぬ他領の者、他貴族騎士団への憤りや怨みを生み出し、叙任の誓いを遠ざける行いとは思いもせず、挙句は闇の立ち入る隙を与えた・・・・」
ブレンは己の言動を悔いる様に胸の前で拳を握る。
「青と赤の因縁は私怨が生んだ産物に他ならぬ。些細な出来事の積み重ねが、それぞれの思惑が異なる事のすれ違いが幾重にも重なった結果にすぎぬ。皆は私が抱く私怨に取り込まれた被害者だっ!私の意志を汲み取り、行動し、闇の囁きに抗う術を失ったのだ」
ブレンは顔を上げた。
「富を生み出し統制を得、家名と騎士団の名声を上げさえすれば疎まれる我らの言葉に耳を傾ける者が現れてくれると信じ疑わなかったっ!それこそが私欲であり、私怨を晴らす事に他らなぬと思い至らず、皆を巻き込んだっ!」
ブレンは叫びに近い声を上げた。
「謙虚な心と忠誠、固い意志と勇気。これは騎士にとって必要な資質だ。だが、方向を違えれば最も恐ろしい凶器となるっ!私は方向を違えたっ!その事が歪みを招き闇を引き入れ、危うく皆を領民の命をも損なう所であったのだっ!」
ブレンは勢いよく頭を下げた。
「許して欲しいとは言わぬっ!だが、皆に詫びたいっ!皆っ!すまぬっ!私が不甲斐なく皆を危険に晒したっ!この罰はいかようにも受け入れるっ!だがっ!」
ブレンは再び顔を上げた。
「だがっ!!この全ての始末を終えた後として欲しいっ!身勝手である事は重々承知している。皆を危険に晒した罰を後回しにしろと懇願するなど団長としてあってはならぬ所業だっ!だがっ!このままではならぬとっ!この先にシュタイン王国の貴族騎士団としてマデュラ騎士団があり続ける為に尽力させて欲しいのだっ!頼むっ!!!」
ブレンは左手を胸に置き頭を下げた。
食堂は静まり返り、誰一人動こうとする者はいなかった。
コーエンとエデルでさえも黙ってブレンを見上げるだけで皆を先導する判断を失っている様だった。
水を打ったような静寂に包まれた食堂の出入口からブレンの耳に聞き覚えのある声が響いた。
「皆様、道をお開け頂けませんか?」
ブレンを見上げていた団員達が一斉に出入口に注視する。
そこにはバルドに抱えられたセルジオの姿があった。
【春華のひとり言】
今日もお読み頂きありがとうございます。
ブレン団長の演説の回でした。
組織を率いるトップが方向性を違えた時、どう動くのか?
危機に直面した時にこそ組織とトップのあり様が垣間見えると思っています。
潔く己の過ちを認め、軌道修正の為の助力を頼むことができれば組織の命運は尽きる事はないと信じています。
さてさて、物語はクライマックスに突入しております。第3章は閉幕に向けて進んでいきます。
次回はマデュラ騎士団に戻ってきたセルジオとブレン団長の回です。
次回もよろしくお願い致します。
騒めくマデュラ騎士団団員達に向け食堂中二階からブレンが発した言葉は一瞬にして静寂を生み出した。
ブレンは眼下に集う者達一人一人の顔を確かめる様に無言で視線を送る。
ブレンのその視線に団員達が纏った血香は徐々に収まっていった。
ブレンは「ふぅ」と一つ息を漏らすと首を少し左に回し、背後に控えるエリオスとオスカーに「感謝を」と一言告げ姿勢を正した。
ブレンのその姿は団員達が敬い、命を賭すと誓いを立てたマデュラ騎士団団長ブレン・ド・マデュラそのものだった。
「まずは皆に詫びねばならぬっ!」
ブレンを見上げる団員達にどよめきが起こった。
「・・・・」
どよめきを制そうともせず無言で眼下に視線を落とすブレンに食堂は静寂を取り戻す。
「我らが館に毒が持ち込まれ、食事に毒が混入した不始末は全てこの私、ブレン・ド・マデュラの不徳の致すところである事をここに詫びるっ!」
ザワッザワッ・・・・
その言葉に食堂はザワついた。
「皆っ!静まれっ!!ブレン様のお言葉を制するとは何事かっ!」
騒めきを制する声の方へ視線が集中した。
出入口に謹慎中の第一隊長コーエンと第二隊長エデルが姿を現した。
2人は団員達の人垣を分け入り食堂の中央まで進むと出入口上部の中二階に佇むブレンを見上げた。
「ブレン様っ!この者達の不始末、お許し下さい。皆、マデュラとブレン様を思えばこその所業にてお許し下さいっ!」
コーエンとエデルはその場で左手を胸にあて跪いた。
ザッ!!!!
コーエンとエデルの姿に倣い団員達は一斉に跪く。
「お言葉をっ!ブレン様っ!我らにお言葉を賜りたく存じますっ!我らは皆、いついかなる時もブレン様のご意志に従い、この身を賭す誓いを立てた者どもにございますっ!どうかっ!今この時のブレン様のご意志を我らにお示し下さいっ!」
ダンッ!!
ダダンッ!!
団員達は拳を床に叩きつけコーエンの言葉に同意を示した。
ブレンを見上げるコーエンの眼には覚悟の色が窺えた。
「・・・・」
ブレンは静まり返った食堂を見渡した後、天井を見上げ目を閉じた。
大きく息を吸い呟く様に騎士叙任式で唱える誓いの言葉を口にした。
「いついかなる時も正義と善の味方となりて、不正と悪に立ち向かう。民を守る盾となり、主の敵を打つ矛となる。我、騎士である身を忘れることなかれ」
左手を胸にあて正面を見つめると眼下に視線を落とした。視線の先にはブレンの言葉を待つ団員達が整然と跪いている。
ブレンは胸にあてた左手に力を込めた。
「皆の者、我らはシュタイン王国王都騎士団総長より任を賜りし貴族騎士団だっ!」
声を出す者はいないものの団員達は目を見開いていた。
「今更、解りきった事を申すと思う者もあろう。だが、私はこの度のセルジオ騎士団団長名代として我がマデュラ騎士団を訪れたセルジオ様ご一行に改めてその事実を教えられたのだ」
団員達はお互い顔を見合わせブレンの言葉を素直に受け入れられていない様子だ。
ダンッ!!
ダダンッ!!!
コーエンとエデルが床を叩き、動揺を隠せない団員達を制した。
「・・・・今、この時のあり様こそが、私の失態なのだ・・・・」
ブレンは哀しそうな眼を団員に向けると気を取り直す様に今一度姿勢を正した。
「皆が我らをシュタイン王国の一貴族騎士団であると認識できずにいる事こそが私の不徳の致すところであるっ!まずはこの事実を皆に詫びたいっ!我らはっ!我がマデュラ騎士団はっ!シュタイン王国王都騎士団総長より任を賜りし貴族騎士団であるっ!」
ダンッ!!
ダダンッ!!!
コーエンとエデルは床を叩くと立ち上がった。
「「オオッ!!!」」
大声を上げ左拳を高々と掲げた。
ザッ!!!
「「オオッ!!!!」」
コーエンとエデルに続き食堂に集った団員達は一斉に立ち上がり左拳を高々と掲げ大声を上げた。
ビリビリと食堂が振動している。
それは剣を携帯していれば剣を持っての誓い、剣の神聖だった。
ザッ!!!
ブレンの次の言葉を待つように姿勢を正す団員達の姿にブレンは目頭が熱くなるのをぐっと堪え声を発した。
「私はこれまで他の貴族騎士団、いや、他領の領民からさえ疎まれている事を過去から続く青と赤の因縁が原因だと憚らず公言してきたっ!そして、私の代でこの忌まわしき因縁を終わらせると告げてきたっ!」
ブレンは団員達の顔を見渡した。
「葬るべきは青と赤の因縁であり、因縁の根源である再来した青き血が流れるコマンドールとブレン・ド・マデュラがこの地で終わりの始まりを声高に唱えたならば全ての憂いは晴れると確信もしていたっ!」
ブレンはぐっと拳を握った。
「そこにはマデュラの戒めの言葉『一切の傲りを持たぬこと』が欠落している事など気付きもせずにっ!」
ブレンは手すりを両手で強く握った。
「あたかもそれは天命であり、己であれば全てを終わらせる事ができると確信する傲りであると気付かずに・・・・」
ブレンの手すりを握る両手はブルブルと震えていた。
「あまつさえ、何をしようとも我らを受入てくれぬ他領の者、他貴族騎士団への憤りや怨みを生み出し、叙任の誓いを遠ざける行いとは思いもせず、挙句は闇の立ち入る隙を与えた・・・・」
ブレンは己の言動を悔いる様に胸の前で拳を握る。
「青と赤の因縁は私怨が生んだ産物に他ならぬ。些細な出来事の積み重ねが、それぞれの思惑が異なる事のすれ違いが幾重にも重なった結果にすぎぬ。皆は私が抱く私怨に取り込まれた被害者だっ!私の意志を汲み取り、行動し、闇の囁きに抗う術を失ったのだ」
ブレンは顔を上げた。
「富を生み出し統制を得、家名と騎士団の名声を上げさえすれば疎まれる我らの言葉に耳を傾ける者が現れてくれると信じ疑わなかったっ!それこそが私欲であり、私怨を晴らす事に他らなぬと思い至らず、皆を巻き込んだっ!」
ブレンは叫びに近い声を上げた。
「謙虚な心と忠誠、固い意志と勇気。これは騎士にとって必要な資質だ。だが、方向を違えれば最も恐ろしい凶器となるっ!私は方向を違えたっ!その事が歪みを招き闇を引き入れ、危うく皆を領民の命をも損なう所であったのだっ!」
ブレンは勢いよく頭を下げた。
「許して欲しいとは言わぬっ!だが、皆に詫びたいっ!皆っ!すまぬっ!私が不甲斐なく皆を危険に晒したっ!この罰はいかようにも受け入れるっ!だがっ!」
ブレンは再び顔を上げた。
「だがっ!!この全ての始末を終えた後として欲しいっ!身勝手である事は重々承知している。皆を危険に晒した罰を後回しにしろと懇願するなど団長としてあってはならぬ所業だっ!だがっ!このままではならぬとっ!この先にシュタイン王国の貴族騎士団としてマデュラ騎士団があり続ける為に尽力させて欲しいのだっ!頼むっ!!!」
ブレンは左手を胸に置き頭を下げた。
食堂は静まり返り、誰一人動こうとする者はいなかった。
コーエンとエデルでさえも黙ってブレンを見上げるだけで皆を先導する判断を失っている様だった。
水を打ったような静寂に包まれた食堂の出入口からブレンの耳に聞き覚えのある声が響いた。
「皆様、道をお開け頂けませんか?」
ブレンを見上げていた団員達が一斉に出入口に注視する。
そこにはバルドに抱えられたセルジオの姿があった。
【春華のひとり言】
今日もお読み頂きありがとうございます。
ブレン団長の演説の回でした。
組織を率いるトップが方向性を違えた時、どう動くのか?
危機に直面した時にこそ組織とトップのあり様が垣間見えると思っています。
潔く己の過ちを認め、軌道修正の為の助力を頼むことができれば組織の命運は尽きる事はないと信じています。
さてさて、物語はクライマックスに突入しております。第3章は閉幕に向けて進んでいきます。
次回はマデュラ騎士団に戻ってきたセルジオとブレン団長の回です。
次回もよろしくお願い致します。
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