地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!

楓乃めーぷる

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第一章 太陽の王子様と氷の王子様

13.副社長と初バトル

「何度言ったら分かるんだ? もう少し記憶力を鍛えてもらわないと困る」
「そんな言い方しなくても! 私も必死なんですから!」

 引き受けてから数日後。
 岬さんとの引き継ぎを続けながら、氷室さんが出してくる課題もこなす。
 ただ、その課題がとても厳しくって。

 各会社の方たちのフルネームと顔の一致。
 それをパーティーに参加するまでに全て暗記しろって。
 
 私は誰一人知らない人たちなのに……会社の情報まで覚えろだなんて。
 パーティーのマナーも勉強しろとか言われているのに、もう、頭がパンクしそう。

「君はどういう勉強の仕方を? 記憶術を学んだことは?」
「そんなの、したことないです。勉強って普通に勉強するじゃないですか。記憶術って……」
「それすらもしたことがないと。これは……根本的に考え方と教え方を変えないとできそうにないな」
「申し訳ないですけど、そういう方法はしたことないので。私は多少特殊な環境で育ってきてますし、勉強よりも生きることで精一杯だったので」

 私が一息で言い切ると、氷室さんが額を押さえて長い息を吐き出す。
 
「それは……育った環境の問題もあるとは思うが。それにしてももう少し何とかしてもらわないと間に合わない」
「私も必死でやってるので、睨まないでください」
「睨んでるつもりはない」
「睨んでます」

 こういうやり取りばかりをしているせいか、時折社長が笑ってくるのもイラっとする。
 社長は社長でお仕事をしているみたいだけど、集中しているのかしていないのか……。

 社長は社長で優秀なんだろうけど、軽い感じの雰囲気のせいかあまり伝わってこない。

「俺と秦弥は会ったことある人もいるわけだし。初めてみることりちゃんの方が不利なのは決まってるだろ?」
「そうは言っても、彼女にも完璧にやってもらうと決めたのならば覚えてもらうしかないだろう?」
「努力はしてます。ただ、私のこと絶対バカにしてますよね? 上から目線ですから分かります」
「斜に構えすぎだ。バカにはしていない。驚いているだけだ」

 ああ言えばこう言う。
 お互いに何だかそんな無謀な言い合いをしてしまう。

 それでも覚えることからは逃れられないし。
 やるしかないんだけど……やっぱり氷室さんとは気が合わない。

 何だか些細なことでぶつかっている気がするな。
 しかもやたら腹が立っちゃうというか。

 まぁ、社長の顔も腹が立つからこの人たちに挟まれるとイラっとしちゃうのかもしれない。

 はぁ……本当に疲れる。
 でも頑張らないといけないし、氷室さんとやり合ってばかりもいられない。

 私はまた怒られながら、暫く写真とにらめっこし始めた。
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