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第四章 私たちが歩む道
72.決意も新たに
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三人で席に着いて、まずはお茶を飲む。
程よい苦みと温かさは、緊張感を静めてくれる。
「うん。別に何か企んでそうだなって人はいないんじゃない?」
「あからさまに悪意を向けている者はいないな。驚くのは当たり前だが、小鳥さんにまでなにか危害を加えるようなことがあっては困る」
「あれだけ社長が長々と言ってくれたんですから。私の身辺を調べてやろうとか、そういう人がいるかどうかは分かりませんけど……デメリットの方が大きいんじゃないですか?」
やろうと思えば私の個人情報を抜き取って、色々と調べることは可能だろう。
ただ私の情報をマスコミに公表して一時のお金は手に入れられたとしても、橘グループ全体を敵に回すのが得策なのかと考えたら答えはノーな気がする。
会社の価値が下がってしまったら、まず自分の居場所がなくなるだろうし。
例えば私のことを脅そうとしても、全力で味方をしてくれそうだからきっと何もできないんじゃないかな?
って、私は楽天的に考えてしまうけれど。
実際は社長と秦弥さんが色々と動いて進めてきたことだろうから、私は最後までついていくだけだ。
「あの、私は仕事を続けてもいいってことでしたけど。秘書業務はお姉さまと社長、どちらで行うんですか?」
私が疑問に思っていたことを口にすると、社長と秦弥さんの視線が一斉にこちらへと向いた。
「一緒に来てもらうに決まってるでしょ。この部屋は譲るけどことりちゃんは俺と一緒に芸能部門へ来てもらうよ。部門が変わるだけだし、これからも秘書を続けてくれるんでしょう?」
「ああ。元々そのつもりだった」
当たり前だと言わんばかりの勢いに、私もクスクスと笑ってしまった。
また一緒にお仕事ができるんだったら、新しいところでも安心だ。
「婚約者になってほしいといった理由が、また別の部門を立ち上げるだなんて。思いつきもしませんでした」
「俺が自由に動くには、しっかりと身を固めるつもりがあるって見せたかったから。今まで協力してくれて本当に助かったよ、ありがとう」
改めてお礼なんて言われると慣れなくって、胸の中がくすぐたい気持ちで溢れてくる。
私の存在で跡継ぎ問題が解決するから、こっそりと動くのにも支障がなくなるってことだものね。
「こちらこそ、改めてよろしくお願いします」
改めて頭を下げると、二人から手を差し出された。
順番に優しく握手をして、社長が目指す道を応援しようと決意を新たにする。
また仕事の内容も変わってくるだろうし、私も気合をいれなくっちゃ!
「新しいことを始めるのは緊張もありますけど、私も今更だなって思ってますから。これからも頑張りますね」
「俺も緊張はしてるし、これからも傍で助けてくれると嬉しいな」
「私もサポート役に回る。場所とやる内容は違うが、基本は今までと変わらない」
緊張はするけど、二人と一緒なら安心だから。
これからも頑張ろう!
程よい苦みと温かさは、緊張感を静めてくれる。
「うん。別に何か企んでそうだなって人はいないんじゃない?」
「あからさまに悪意を向けている者はいないな。驚くのは当たり前だが、小鳥さんにまでなにか危害を加えるようなことがあっては困る」
「あれだけ社長が長々と言ってくれたんですから。私の身辺を調べてやろうとか、そういう人がいるかどうかは分かりませんけど……デメリットの方が大きいんじゃないですか?」
やろうと思えば私の個人情報を抜き取って、色々と調べることは可能だろう。
ただ私の情報をマスコミに公表して一時のお金は手に入れられたとしても、橘グループ全体を敵に回すのが得策なのかと考えたら答えはノーな気がする。
会社の価値が下がってしまったら、まず自分の居場所がなくなるだろうし。
例えば私のことを脅そうとしても、全力で味方をしてくれそうだからきっと何もできないんじゃないかな?
って、私は楽天的に考えてしまうけれど。
実際は社長と秦弥さんが色々と動いて進めてきたことだろうから、私は最後までついていくだけだ。
「あの、私は仕事を続けてもいいってことでしたけど。秘書業務はお姉さまと社長、どちらで行うんですか?」
私が疑問に思っていたことを口にすると、社長と秦弥さんの視線が一斉にこちらへと向いた。
「一緒に来てもらうに決まってるでしょ。この部屋は譲るけどことりちゃんは俺と一緒に芸能部門へ来てもらうよ。部門が変わるだけだし、これからも秘書を続けてくれるんでしょう?」
「ああ。元々そのつもりだった」
当たり前だと言わんばかりの勢いに、私もクスクスと笑ってしまった。
また一緒にお仕事ができるんだったら、新しいところでも安心だ。
「婚約者になってほしいといった理由が、また別の部門を立ち上げるだなんて。思いつきもしませんでした」
「俺が自由に動くには、しっかりと身を固めるつもりがあるって見せたかったから。今まで協力してくれて本当に助かったよ、ありがとう」
改めてお礼なんて言われると慣れなくって、胸の中がくすぐたい気持ちで溢れてくる。
私の存在で跡継ぎ問題が解決するから、こっそりと動くのにも支障がなくなるってことだものね。
「こちらこそ、改めてよろしくお願いします」
改めて頭を下げると、二人から手を差し出された。
順番に優しく握手をして、社長が目指す道を応援しようと決意を新たにする。
また仕事の内容も変わってくるだろうし、私も気合をいれなくっちゃ!
「新しいことを始めるのは緊張もありますけど、私も今更だなって思ってますから。これからも頑張りますね」
「俺も緊張はしてるし、これからも傍で助けてくれると嬉しいな」
「私もサポート役に回る。場所とやる内容は違うが、基本は今までと変わらない」
緊張はするけど、二人と一緒なら安心だから。
これからも頑張ろう!
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