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2.手紙が繋ぐ再会
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戦いは長く続いた。多くの民が犠牲になり、互いの一族も少しずつ数を減らしていった。
人々は疲弊し、流行り病も重なって多くの人々が亡くなっていく。
そこまで状況が悪化してから、漸く戦いの幕は閉じられた。
タルキス家とシルクォーン家は、最早何で争っていたのか見失うほどに疲れ切っていたのだ。
戦いが始まってから五年の月日が流れ、私は今日も手紙の束を持ってポストオフィスに向かっていた。
この手紙のやり取りをしてから、何通目なのか数えていないけど……手紙はずっと送り続けていた。
戦いが激化したときは返事が途絶える時もあった。それでも、毎日毎日手紙を書き続けた。
「今日はいい天気」
穏やかな光が、私の心を癒してくれる気がする。
街はまだ復興途中だけど、人々は少しずつ活気を取り戻している。
タルキス家とシルクォーン家の領地の丁度真ん中辺りの場所にあるのが、このポストオフィスだ。
主要施設は不可侵という条約がなければ、ここも戦地になっていたに違いない。
今日は特に手紙の枚数が多くなってしまった。最初は戸惑うこともあったけど、なんとかここまで続けて来られた。
ただ……本当にこのままでいいのかと不安になることもある。
私は腕に提げていたカゴから手紙の束を取り出して、ポストオフィスに入ろうとした。
その時――同じく手紙を出しに来たらしい彼と目が合った。
一瞬誰だか分からなかったけど、見間違えようがない。
でも、まさかここで会えるなんて思ってもみなかった。
どうやって声をかけていいのか困っていると、彼の方から私の側へ近づいてきてくれた。
「……見間違いじゃないよな?」
「ええ。会うのはあの時以来。あなたも……元気そうで良かった」
「君も手紙を出しに?」
「そう。って……まさかあなたも?」
私たちは驚いた。久しぶりに会ったこともそうだけど、お互いに手紙を出すために来たなんて。
会うのも偶然だけど、これは運命が導いてくれたのかもしれない。
また会うことを誓い合って別れたけど、二度と会うことはないだろうと思っていた。
「その……色々聞きたいこともある。少し話さないか?」
「そうね。私も……まだ時間はあるから話しましょうか」
私たちは一旦ポストオフィスを後にして、街中を少し歩きながら話すことにした。
+++
「会うのは……何年振り?」
「あの時以来だから……十年は過ぎてるだろうな。元気そうで良かったよ、イスメラ」
「あなたこそ、コルリッサ。立派な家に引き取られたって聞いたけど……」
「そうか、お互い同時期に引き取られたからな」
私とコルリッサは孤児院で育った。コルリッサ……コルティとは仲良くしていたし、ずっと一緒にいられたらと思っていたけどそんな時にコルティの引き取られ先が決まったと聞いてしまった。
そして、私もコルティの後すぐに決まったので最後は慌ただしく再会を願って別れた。
「イスメラはどこの家に引き取られたんだ?」
「私はタルキス家。コルティは?」
「俺はシルクォーン家。もしかして……イスメラはリラヴェーンお嬢様の?」
「ええ。下女としてお側に仕えていたの。まさか……コルティも?」
コルティも一瞬驚いた顔をしたけど、頷いてから同じく手に持っていた布袋から手紙の束を取り出した。
ということは……?
「コルティはもしかして、ゾーレンス様のお側に?」
「ああ。下男としてな。そうか……だからだったのか」
「ええ。私も……どこか懐かしさを感じていたの。ということは……ゾーレンス様は……」
ああ……私の想いが間違っていてくれたらよかったけれど、コルティはやりきれない顔をして頷いた。
コルティも何か言いたげな顔をしていたから、私も同じように頷く。
お互いに全てを察してしまい、悲しい気持ちが溢れ出した。
自然と涙が流れてくると、コルティが手を引いて私をベンチへ座らせてくれた。
人々は疲弊し、流行り病も重なって多くの人々が亡くなっていく。
そこまで状況が悪化してから、漸く戦いの幕は閉じられた。
タルキス家とシルクォーン家は、最早何で争っていたのか見失うほどに疲れ切っていたのだ。
戦いが始まってから五年の月日が流れ、私は今日も手紙の束を持ってポストオフィスに向かっていた。
この手紙のやり取りをしてから、何通目なのか数えていないけど……手紙はずっと送り続けていた。
戦いが激化したときは返事が途絶える時もあった。それでも、毎日毎日手紙を書き続けた。
「今日はいい天気」
穏やかな光が、私の心を癒してくれる気がする。
街はまだ復興途中だけど、人々は少しずつ活気を取り戻している。
タルキス家とシルクォーン家の領地の丁度真ん中辺りの場所にあるのが、このポストオフィスだ。
主要施設は不可侵という条約がなければ、ここも戦地になっていたに違いない。
今日は特に手紙の枚数が多くなってしまった。最初は戸惑うこともあったけど、なんとかここまで続けて来られた。
ただ……本当にこのままでいいのかと不安になることもある。
私は腕に提げていたカゴから手紙の束を取り出して、ポストオフィスに入ろうとした。
その時――同じく手紙を出しに来たらしい彼と目が合った。
一瞬誰だか分からなかったけど、見間違えようがない。
でも、まさかここで会えるなんて思ってもみなかった。
どうやって声をかけていいのか困っていると、彼の方から私の側へ近づいてきてくれた。
「……見間違いじゃないよな?」
「ええ。会うのはあの時以来。あなたも……元気そうで良かった」
「君も手紙を出しに?」
「そう。って……まさかあなたも?」
私たちは驚いた。久しぶりに会ったこともそうだけど、お互いに手紙を出すために来たなんて。
会うのも偶然だけど、これは運命が導いてくれたのかもしれない。
また会うことを誓い合って別れたけど、二度と会うことはないだろうと思っていた。
「その……色々聞きたいこともある。少し話さないか?」
「そうね。私も……まだ時間はあるから話しましょうか」
私たちは一旦ポストオフィスを後にして、街中を少し歩きながら話すことにした。
+++
「会うのは……何年振り?」
「あの時以来だから……十年は過ぎてるだろうな。元気そうで良かったよ、イスメラ」
「あなたこそ、コルリッサ。立派な家に引き取られたって聞いたけど……」
「そうか、お互い同時期に引き取られたからな」
私とコルリッサは孤児院で育った。コルリッサ……コルティとは仲良くしていたし、ずっと一緒にいられたらと思っていたけどそんな時にコルティの引き取られ先が決まったと聞いてしまった。
そして、私もコルティの後すぐに決まったので最後は慌ただしく再会を願って別れた。
「イスメラはどこの家に引き取られたんだ?」
「私はタルキス家。コルティは?」
「俺はシルクォーン家。もしかして……イスメラはリラヴェーンお嬢様の?」
「ええ。下女としてお側に仕えていたの。まさか……コルティも?」
コルティも一瞬驚いた顔をしたけど、頷いてから同じく手に持っていた布袋から手紙の束を取り出した。
ということは……?
「コルティはもしかして、ゾーレンス様のお側に?」
「ああ。下男としてな。そうか……だからだったのか」
「ええ。私も……どこか懐かしさを感じていたの。ということは……ゾーレンス様は……」
ああ……私の想いが間違っていてくれたらよかったけれど、コルティはやりきれない顔をして頷いた。
コルティも何か言いたげな顔をしていたから、私も同じように頷く。
お互いに全てを察してしまい、悲しい気持ちが溢れ出した。
自然と涙が流れてくると、コルティが手を引いて私をベンチへ座らせてくれた。
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