彼の素顔は誰も知らない

めーぷる

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第四章 隠れ家での過ごし方

28.処理の一環※

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 まだ完全に覚醒していなさそうなリューは、適当に身体を拭きながらこちらにやってくる。
 僕のことは視界に入っているようで、目線を落としてきた。

「リュー、ちゃんと洗ったのか?」
「……あぁ」
「本当に?」
「そんなに疑われても困るのだが」

 面倒臭いと視線で訴えられたが一つ気になることがあったので、僕も立ち上がってリューの腕を掴む。

「いや、絶対に洗ってないだろう? ナカまで」
「中?」

 目を細め意味が分からないという顔を向けてくるが、僕は怯まず掴んだ腕はそのままにもう片方の手で素早く巻かれたタオルを捲り、臀部へと指を滑らせる。

 そして抵抗される前に窄まる後孔へ指先を差し入れた。

「お前、どこに手を入れて……っ」
「ちゃんと洗っておかないと、場合によっては腹を壊すこともあるからな。掻き出しておかないと」
「だからといって、ここで始めるのは…やめ…ろ」
「いや、だって逃げそうだし」

 風呂上がりのせいなのか、媚薬がまだ残っているのかは分からないが、リューの反応が早すぎる。
 まだ中指の第二関節を埋めただけで動かしてもいないのに、眉間に皺を寄せて息を逃している。

「まだ大したことはしてないのに……それに嘘ではなく処理は大切だ」
「……」

 リューは顔だけで振り返り、顎で先程までいたシャワールームを差した。
 床を汚したくないのはいつものことだ。

 一旦リューを解放し、僕もバスローブを脱ぎ去る。
 床にそのまま落として、リューのタオルも剥ぎ取ってしまう。
 僕がまた腕を掴むと、流されるようにシャワールームへと雪崩れ込む。

「リュー、壁に手をついて尻をこちらに向けて突き出せ」

 リューは苦い表情そのままにため息を吐いて、大人しく言う通りの体勢になる。
 両肘を壁に当て少しだけ尻を浮かせている姿は嫌がる様子と共に扇状的で、自然と喉が鳴る。
 なるべく平静を装って、まずは予告した通りに指で後孔を撫でる。

「……ぅ」
「――誘うなって。もっと違うことをしたくなる」

 僕の指が本格的にナカへ進んでいくと、はぁっ、という吐息が漏れて、耐えるように額を壁に付けたままリューが声を殺していた。
 僕が指を進めていくたびにリューのナカはうねって僕の指を締め付けてくる。

 何故かやたらと感度が良く、悪戯心で擽るように壁を引っ掻くと腰が跳ねて雄弁にリューの気持ちを伝えてくる。

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