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26.ポイはどこだろう?

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 ラグお姉さんは僕が話すまで待ってくれてるみたい。
 オークションのことも、よく分からないからって知らんぷりしちゃいけない気がする。
 ポイだって捕まえられて売られちゃうかもしれないから、助けにきたんだ。
 悪いことを聞くのはまだ少し怖いけど、僕も勉強していかなくっちゃ。
 
「生き物って……」
「文字通りポイのような珍しい生き物もだが、奴隷どれいや魔物も売買される。中には魔物を番犬代わりにする変わり者の貴族もいるらしい」
「人間はすぐに捕えたがるから。あたしだって助けてもらわなかったら、このオークションで売られたかもしれないわ」

 ルナちゃんも怒っているみたい。
 奴隷どれいは、僕も聞いたことがある。
 あってはいけないことだけど、人が人を売り買いしてるってことだよね。
 ルナちゃんも珍しいキツネさんだからって理由で売られちゃうところだったなんて。
 悲しいけど、悪いことをする人もいるってことなんだ。
 本当なら悪いことをするのをやめて欲しいってお話したいけど、ポイのことが心配だ。
 今は建物の中にいるポイを探して、助けに行かなくっちゃ!

 +++

 薄暗い通路を歩いていく。
 建物の中は静かで、今のところ誰もいないみたい。

「部屋を順番に見ていこう」
「そうね。にしても部屋がいっぱいあるわね」

 通路の両脇にいくつか扉がある。
 ラグお姉さんとルナちゃんがどんどん扉を開いて中を確認してるけど、普通の部屋ばっかりみたいだ。
 僕は二人の後ろから静かについていって、ポイの声が聞こえないか耳をすませてるんだけどまだ聞こえてこない。

「隠すとすれば、地下が妥当か?」
「ポイの声はしないから、近くにはいないみたい」
「そうね。この辺りの部屋って休む部屋みたいだし。きっとどこかに秘密の入口があるのね」

 ラグお姉さんが隠れるように合図をしたので、近くの壁の後ろに隠れる。
 通路の奥は表の入口みたいだ。
 見張ってる黒い服の人が立ってる。

「こっちじゃなさそうだな。ということは……やはり秘密の入口がありそうだが」
「しっ。あいつら動くわ。ちょうど交代なのかしら」

 ルナちゃんが指さすと、違うところから黒い服の人が出てきて何か話し始めた。
 見張りを交代してから、黒い服の人は僕たちの方へ歩いてくる。
 ラグお姉さんも急いで僕たちの方へやってきて、一旦隠れにきた。
 黒い服の人たちは何か話しながら僕たちの側を通り過ぎる。

「出す前に様子を見てこいってよ」
「アイツ凶暴なんだよな。エサやれって言ってたよな、面倒臭い」

 黒い服の人たちに気づかれないように、僕たちも後をつける。
 一つの部屋に入っていったので、ラグお姉さんとルナちゃんの後に続いて部屋に入る。
 黒い服の人たちが本棚の前に立って本を一冊触ると、本棚が右に動いていく。
 ラグお姉さんの予想通り、隠し通路が出てきた。

 本棚が元通りになるまで静かに隠れておいてから、僕たちも同じ本を触って隠し通路を出す。

「この階段を下りていけば、ポイもいそうだな」
「うん。行こう!」
「ホント地下が好きよね」

 三人で頷き合って、ゆっくりと階段を下りる。
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