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41.お城へ行く前に

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 気づいたらカステロッシ城の城下町の門の前についていた。
 僕たちも眠ってしまったみたいで、みんなのことを眠っていたはずのオルお兄さんが起こしてくれた。
 
 カステロッシの城下町というところは、すごく高い石のかべにかこまれていた。
 僕が背伸びしても、中がどうなっているのか見えない。
 オルお兄さんでも見えないくらい、高いかべだ。
 門の前には兵士さんが立っていて、見張りをしているみたいだ。
 
「んー……おはよ。ほら、やっぱりオルが起こしてくれたじゃない」
「そうだね。オルお兄さんありがとう」
「いや、大したことはしていない」

 オルお兄さんは一番に下りて、みんなの手を握って優しく地面に下ろしてくれた。
 僕たちが下りると、馬車はノイオゾの街に戻るからって元々走っていた道を戻っていってしまった。

「さて、無事にカステロッシに着いたことだしまずは街中をぶらぶらするか?」
「でも……王様に呼ばれているんだよね?」

 僕がラグお姉さんを見上げると、ラグお姉さんは笑って僕をなでてくれる。

「だからといって、私たちが街を見てはいけないなんてことはないぞ。話では急ぎという訳じゃないらしいしな」
「そうよ。あたしたちはわざわざ来てあげたんだから。少しくらい待たせてちょうどいいくらいよ」

 ルナちゃんが胸を張っていうから、僕もそんな気がしてきちゃった。
 ラグお姉さんが教えてくれたお話だと、王様が僕たちに会って話が聞きたいって言ってるんだって。
 僕たちが悪い人たちのところへ行って、どうやって解決できたのか知りたいみたい。

「別に大したことはしてないのに。でも、わざわざ呼びつけるってことは他にも話があるんじゃない?」
「だろうな。褒美ほうびをとらせるのと共に、何か頼みたいことでもあるんだろう」

 ラグお姉さんが腕を組んで言うと、オルお兄さんもうなずく。
 
「確かに。戦力を考えれば理解はできる」
「それって……みんなが強いから?」

 僕が質問すると、ラグお姉さんはまた少し考えながら僕の方を見る。

「あのギルド長の話だと、フィロが多種族の言葉を理解できること。つまり、私たちや魔物を含めた生き物たちの言葉が分かることを聞きつけたらしい」
「僕?」

 僕は強くないんだけど、生き物みんなと話せるのって不思議なことなのかな?
 気づいたら分かるようになってたから、僕もなんでって言われても分からないんだけど……。

「そんなに気にしたって仕方ないわよ。悪いようにはならないでしょ。それよりもお腹空いちゃったし、何か食べにいきましょ!」
「それもそうだな。腹を満たしてから改めて城へ行けばいいだろう」

 ノイオゾの街よりずっと大きい街だって言ってたから、楽しみだな。
 王様のことは気になるけど、きっと待っててくれるよね。

「腹ごしらえは大事だ。いざという時のためにもな」
「ピピピ!」
「オルもポイも。お腹が空いてるの? じゃあ余計に何かおいしいものを見つけないとね」

 ルナちゃんはすごく張り切ってるみたいだ。
 僕の手が、ぐいっと引っ張られる。
 ルナちゃんが手を引くから、僕もつられて走り出す。
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