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確認.1
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「上の方から包丁で開けます。いま少しだけ刃先を刺していますが見えますか?」
「だ、大丈夫です、たぶん…暗くて見えないのですが、上からであれば当たらないと思います」
段ボールは結構な大きさのものだからだろう、体を丸めると上に空間ができるくらいの余裕はあるらしかった。
とはいえ、今思えば一回目に包丁を刺しこんだ時に刺さらなくて本当に良かったとつくづく思う。
運が良かったとしか言いようがない。
背中に変に冷たい汗をかきながらも段ボールに十字に切れ目を入れる作業が終わった。
これで後は中から出られるはずだ。
「上の方に出られるくらいの切り込みを入れ終わりましたが、まだ出ないでください。合図をしたらお願いします」
「はい、わかりました」
もったい付けているわけではない。
一応の安全確保だ。
距離を取り、右手に包丁を構え、左手に盾代わりのバックを持つ。
一呼吸置きカノウさんに指示を出す。
「いいですよ、それではゆっくりと出てきてください」
カノウさんは俺からの指示を聞き、ゆっくりとその場で立ち上がる。
やっぱり、思った通り女性だ。
見えた瞬間に思ったことはそれだった。
箱の中からの声でこもった感じがあったとはいえ、そこは何となく予想はしていた。
完全に立ち上がったカノウさんは、久しぶりであろう太陽の光に目を瞬かせて、大きく伸びをした。
それを見てまずは俺も一旦包丁を下に向け警戒を解く。
「それでは出てすぐで悪いのですが、一応自己紹介というか、性別、年齢、得意なこと、苦手なことの4点を教えてください。受け答えのテストも兼ねていますのでできる限り正確にお願いします」
カノウさんはこくりとうなずくとしっかりとこちらを見て答える。
「名前は、お伝えした通りですが、カノウ ツバキと言います。23歳で性別は女です。得意というか普段から料理はよくしています。特に和食はよく作れる方だと思います。苦手なことは、その…運動というかなんというか走ったりはいいのですが道具を使うものがどうしてもうまくできないです…はい…」
とまくし立てるように一気に答える。
最後の方は恥ずかしいのか自信がないのか声が小さめだったが、意思の疎通としっかりとした会話ができるという事で言えば合格ラインと言えるだろう。
さてここからが本番だ。
「ではカノウさん、そこを出る前に言った条件のことを覚えていますか?あまり強要といった感じで言いたくはないのですが…できますか?」
俺が言った言葉の意味を理解したのだろう。
いざその時となると恥ずかしくなるのだろう。
顔を伏せ、落ち着きなく手をさすりながら「はい」と答える。
当たり前だ。俺だって恥ずかしい。
だが、ここで最後の詰めを怠るわけにはいかない。
「だ、大丈夫です、たぶん…暗くて見えないのですが、上からであれば当たらないと思います」
段ボールは結構な大きさのものだからだろう、体を丸めると上に空間ができるくらいの余裕はあるらしかった。
とはいえ、今思えば一回目に包丁を刺しこんだ時に刺さらなくて本当に良かったとつくづく思う。
運が良かったとしか言いようがない。
背中に変に冷たい汗をかきながらも段ボールに十字に切れ目を入れる作業が終わった。
これで後は中から出られるはずだ。
「上の方に出られるくらいの切り込みを入れ終わりましたが、まだ出ないでください。合図をしたらお願いします」
「はい、わかりました」
もったい付けているわけではない。
一応の安全確保だ。
距離を取り、右手に包丁を構え、左手に盾代わりのバックを持つ。
一呼吸置きカノウさんに指示を出す。
「いいですよ、それではゆっくりと出てきてください」
カノウさんは俺からの指示を聞き、ゆっくりとその場で立ち上がる。
やっぱり、思った通り女性だ。
見えた瞬間に思ったことはそれだった。
箱の中からの声でこもった感じがあったとはいえ、そこは何となく予想はしていた。
完全に立ち上がったカノウさんは、久しぶりであろう太陽の光に目を瞬かせて、大きく伸びをした。
それを見てまずは俺も一旦包丁を下に向け警戒を解く。
「それでは出てすぐで悪いのですが、一応自己紹介というか、性別、年齢、得意なこと、苦手なことの4点を教えてください。受け答えのテストも兼ねていますのでできる限り正確にお願いします」
カノウさんはこくりとうなずくとしっかりとこちらを見て答える。
「名前は、お伝えした通りですが、カノウ ツバキと言います。23歳で性別は女です。得意というか普段から料理はよくしています。特に和食はよく作れる方だと思います。苦手なことは、その…運動というかなんというか走ったりはいいのですが道具を使うものがどうしてもうまくできないです…はい…」
とまくし立てるように一気に答える。
最後の方は恥ずかしいのか自信がないのか声が小さめだったが、意思の疎通としっかりとした会話ができるという事で言えば合格ラインと言えるだろう。
さてここからが本番だ。
「ではカノウさん、そこを出る前に言った条件のことを覚えていますか?あまり強要といった感じで言いたくはないのですが…できますか?」
俺が言った言葉の意味を理解したのだろう。
いざその時となると恥ずかしくなるのだろう。
顔を伏せ、落ち着きなく手をさすりながら「はい」と答える。
当たり前だ。俺だって恥ずかしい。
だが、ここで最後の詰めを怠るわけにはいかない。
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