蟠-ワダカマル-

常盤

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愛情表現と承認欲求

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好かれたいなぁ、
と思いながらも人に好きを伝えることに抵抗のある私は手の届かない存在への好きに落ち着いた。

結ばれなくていいから好きであり続ける


つまりこれは、推し。


恋人関係に興味が無い訳では無い。
寧ろ、性別関係なく惚れる時は惚れる。

でも、私なんかから愛されたら困るだろうといつだって思ってしまうのだ。

それは恋人だけによらず、友達でもそうだ。

人と接するのが嫌いであり好きでもある私は、
言葉選びも下手くそ、
対人関係も下手くそ、
気の利いた行動や言葉も出ないから周りのいわゆる「コミュ力高い陽キャ」の方々がいると自分から話すことも出来なくなる。

自分なりになにか話しかけようとか、
どんなことを言えばウケるのかなとか、
差し障りない会話を続けるにはどうしたらいいかなとか、
出来れば人として好かれたいなとか、

何度でも思うには思う。
実際に努力はしてる。

でも全て空回る。そんな気がする。
私以外の人々は上手くいくのに、私は私というだけでもうマイナススタートなのだろうと思う。

全員に好かれようとは思わない、
出来る限り交友関係は広めて深めていきたいとも思ってはいるものの、上手くいかない。


その主な原因は、心の奥底の自己肯定の低さ。




幼い頃から母親や兄や祖父母に否定され続けて育ってきた私は、自分のやることなすことに意味が無いのだと、無駄なのだと、私は私であるだけで間違いなのだと思ってしまうようになった。
何か問題が起きれば私のせい。
私が悪くなくてもそうなる。

そのうち訂正するのも諦めて上っ面で認めるよう人間生活なった、
「うんうん、そうだった、ごめんね、私が悪かったね(だからもう煩いなやめてよ黙れ)」と。

褒められた覚えが1、2回あるっけ、そんなのあったっけな、とか。
愛に飢えてると小学生の頃に冗談半分で母親に伝えたら「愛に飢えてるなんてお前が言うようなことじゃない」と。

「愛だのなんだの友情だの馬鹿みたい」

これが母親の言い分。
目に見えないハートフルな精神理論は我が家では通用しない。

元々、私が物心着いた時には既に本当の父親はいなかった。新しい父らしき人がいた記憶しかない。
なれば、そうか、母親は一度失敗したからそんなことを言うのだろうかとも思った。
姉、兄、私までの3人は前の父、弟、妹、妹はその父らしき人との間の子供で、下の3人をベタベタに甘やかしていたもんだから、上の3人は家族内で複雑な距離感であった。

しかも、その父らしき人(以下 義父)は私より4つ上の姉に手を出していた、らしい。
姉はもう家出をして連絡を絶っているし、義父も他界しているので真相は分からないが、つまりそういう人だった。
当然、私はそんな人のこと、その人がいなければ生活ができない母親(働いていなかった)のことを好きになれるはずもなかったのだ。

姉が家族に不満を持ち家出をしたのが、私が中2の頃の秋。
家族が家出をしたのに、家族は私を含め、誰も悲しまなかった。
元々愛も無い家族だから気にすることもなかったのだろう。私も特に疑問に思うこともなかった、思ったのはただ1つ、

「この家族から離れられて羨ましい」

だった。

私も兄から手を出されていたからである。
家族が親族の墓参りに行き留守番を任された、2人きりのGWなどは地獄だった。
普段から好きでもない兄からの吐き気を催す言葉を何度も投げかけられ、恐怖と嫌悪感しか感じなかった。
それを私は、母親に言うことが出来ずにいた。
信じて貰えないと思ったからだ。
姉が義父から手を出されていたことも、最終的には「お前(姉)から誘ったんだろう!」と言っていたというのを姉から聞いていたものだから、きっと自分も罵倒されるに違いないと思った。
そして、なにより恥ずかしかった。
そのような性的なワードを家族で話すことなど1度たりともない家庭だったのだ。姉と義父の件でも母親は怒り狂っていたのに、私までそんなことを話すことなど到底無理だと思っていた。どう話せばいい、私は、兄は、どちらが悪いと判断されるだろう、と。

よくよく考えれば(そうでなくても)こんな行為をした兄が圧倒的に悪いのだが、当時の私は14.15くらいの時だったのもあり、思考が「相談して怒られたくない」であったものだから口を閉じるしか無かった(母親に困ったことを相談をしても、私が言葉に詰まると脅してくるような人で、いつも途中から私への説教になるような日々だった)。


愛など知らないのだ。

私は、ずっとずっと罵倒され否定され続けて育ってきたのだから、愛など知る由もないのだ。
家族仲が冷えきっていたのに、そこに愛などあるわけが無いのだ。

母親からも愛らしき愛を受けられなかったのに、兄弟だけどんどん増えていく。
家庭はうるさくなる、1人にもなれない、毎日誰かの怒号が飛び交っていた。

外に居場所を求めるのも無理はなかったと、今でも思うのだ、どうにか私を認めて欲しかった。
認めてほしいのに、自己肯定感が低いものだから、認められても信じることが出来なかった。

好きと言われても全ては信じられない。


未だに、私は自分から他人に触れることを快く思わない。抵抗しかない。
まるで潔癖のように、触れるのが苦手である。
他人から触れられることは多くとも、自分から触れに行けない。こんな私が人に触れるなんて、きっと相手が嫌がるだろうと思うからだ。
自分が汚れるのが嫌な潔癖ではない、
他人が私に触れられたことでその人が汚れてしまうのが嫌いな潔癖なのだ。


しかし、私を求めてくれる男性は受け入れた。
そこまでして私を必要としてくれるなら、と、いくらでも受け入れた。
行為をしてくれる最中だけは私を好きでいてくれるのだから、それでいいのだと。
私の他人に対する愛情表現は0か100か、どっちかでしか無かった。途中が無い。
付き合う過程は長続きしなかった。その行為のみの付き合いしかなかった。

人を必要とされたいのに、人から必要とされるのを認められるのはその行為だけで、
必要とされてると感じられるのも、
私が過去に最も嫌悪感を抱いたその行為だけだった。

終わったあとは壮絶な虚無に苛まれる。
だが、付き合いたいとは心の底からは望まないのは自分なんかにその幸せは望めないからだと、相手から捨てられる未来しか見えないからだと、私なんかに好かれるなど迷惑行為でしかないのだと、結局、行為だけの付き合いに愛などないのだから。

結局、父親からの愛も知らず、家族の愛も知らずに育った私は「愛してる」なんて言葉に信頼など無いし他人が言うのを聞いてても小っ恥ずかしくなるだけであった。
私がずっと使っている「好き」とは、とても軽い言葉で使いやすいものだと思っている。
「好き」と「愛してる」とでは、自分の中でこんなにも差があるのだ。

愛されたいとは思わない、好かれたいのだ。
そして、他人から好かれたいが自分が他人を好いていることをあまり大っぴらに悟られたくないのだ。

なんと矛盾した感情か。

スキンシップで同性にすら軽々しく他人に触れられない、異性ともあれば尚更触れられないのに、行為は当然のように軽々にしてしまう、

この矛盾は。

それが、愛情を渇望するひねくれた蟠りが産んだ私の矛盾した潔癖なのだ。



上記で、
【他人が私に触れられたことでその人が汚れてしまうのが嫌いな潔癖なのだ】
と、書いたが
本当は違うことも分かっている。

今までとても綺麗な言葉で自分の建前を並べてきたが、本当はそんなに綺麗なんかではないのだ。




拒絶されることがただ怖かっただけ。
私は優れた容姿も何も持っていない、家族から否定され続けてひねくれた性格になってしまった。
そんな私を誰も好きになってくれないのは分かりきっていた。
だから、私が人に触れて嫌な顔をされるかもしれないと思うのも仕方ないことだし、誰しも触れられて喜ぶのは可愛い子や格好いい子からだけだと思っている。実際そうだった。
どんなにあざとくても、容姿が良ければ成立するのを知ってるから。沢山近くで見てきた。
容姿を整えて可愛くなろうにも、限度というものがある。元からの生まれ持ったものにはかなわない。

自分が醜く、愛嬌もないただの根暗ブスなのを自覚していた上で、他人に拒絶されることを怖がっているだけなんだって、現実はバカみたいにシビアなんだから救いがあるわけない。

【自分が傷つくのが怖いだけのビビり陰キャ】

総じて、そういう奴の身の上話ってだけ。
難しくもなんともない、
背景を知ったところで結果だけ見ればただの根暗ブスが自分に対して綺麗な言い訳してるだけなんだよね。

過去は過去、いつまでも引きずらないで前に進まなきゃダメだよ?って誰かに言われたけど、
確かにそうだよ、過去に囚われるのは良くないけど、簡単に捨てられるほど甘い過去でもない。

私が過去を受け入れてしまったら、私を否定し続けてきた家族が無条件で許されてしまうのが気に食わないの。
人格形成に大いに関わった家族を恨むのは、根に持つのは、仕方ないでしょと言っておきたい。
否定され続けてきた私が明るい世界に出ても自分が悪いのだといつでも思ってしまうのは家族のせいだもの。
ありがとう、愛もなにもかも教えてくれずに育ててくれて。





おかげで私はこんなに弄れた愛を欲しがって、最高に最低な人生を歩いてる。

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