クリスマスまでに帰らなきゃ! -トナカイの冒険-

藤井咲

文字の大きさ
6 / 11

-12月20日- 豪華な猫ルビーとルー

しおりを挟む

 ルーは昔の恋人がいた街を出て黙々と海を泳ぎました。
無性に泳ぎたくて、寝ることもやめて泳ぎました。
そんなルーの前に音楽をかき鳴らした大きな船が現れました。
そしてその船から猫が落っこちてきたのです。
慌てたルーは猫を背中に乗せてあげました。
船から猫の飼い主がルーを呼びます。

「おーーーい、有難う!船に乗ってくれ!」

船から梯子が降りてきて、それを体に巻き付けると強い力で引っ張られ船に乗ることが出来ました。
びしょ濡れの猫とルーを浴室に連れて行ってくれた飼い主は二匹を優しく洗ってくれました。
暖かいお湯をかけられながら、ルーは飼い主にお礼を言います。

「僕はルー、有難う、気持ちがいいよ。」

そういっても飼い主は無反応です。
代わりに猫が答えました。

「飼い主に言葉は通じないわよ。
私はルビー、よろしくね。
助けてくれて有難う。遊んでたら勢い余って海に飛び込んでしまったの」

飼い主に暖かい風をかけられふわふわの白い毛を自慢げに舐めながらルビーが言いました。
飼い主は二匹を大きな部屋に連れていき、ゆったりとした足取りで出ていきました。
部屋の真ん中にはきらきら光る檻があります。

「豪華な檻だね。何を入れるの?」

「私よ。
飼い主はこのキラキラの檻に私を入れて誰かに売りにいくのよ。」

「ふーん、窮屈そうだけど、狭くはないの?」

「狭いわ。
上手く伸びが出来ないし、毛づくろいだって届かない場所があるもの。
でもいいわ。綺麗な私が一番綺麗に見えるって飼い主が用意してくれたんだもの」

「でも、狭いんでしょう?」

「いいのよ、贅沢だし立派に見えるわ。」

「うーん、飼い主に売られるのは悲しくないの?」

「世の中には自分で自分の幸せを決められる者と、決められない者がいるのよ。
私は後者であることを知っているだけ。
求められている場所で宝物みたいに扱われたいのよ。
それが私の思う幸せだわ。それだけよ。
あなたは?どうして海を泳いでいたの?」

ルビーは真っ赤な目をルーに向けて興味なさげに尋ねました。

「僕は雪島に帰るところなんだ。」

「じゃあ、次止まるところで降りればいいわ。
そこからは自分でどうにかなさい。」

ルビーは話は終わりというように、豪華な檻に入って丸くなり眠りにつきました。
ルーは幸せを考えました。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【親子おはなし絵本】ドングリさんいっぱい(2~4歳向け(漢字えほん):いろいろできたね!)

天渡 香
絵本
「ごちそうさま。ドングリさんをちょうだい」ママは、さっちゃんの小さな手に、ドングリさんをのせます。 +:-:+:-:+ ドングリさんが大好きな我が子ために作った絵本です。 +:-:+:-:+ 「ひとりでトイレに行けたね!」とほめながら、おててにドングリさんを渡すような話しかけをしています(親子のコミュニケーションを目的にしています)。 +:-:+:-:+ 「ドングリさんをちょうだい」のフレーズを繰り返しているうちに、子供の方から「ドングリさんはどうしたらもらえるの?」とたずねてくれたので、「ひとりでお着がえできたら、ドングリさんをもらえるよ~」と、我が家では親子の会話がはずみました。 +:-:+:-:+ 寝る前に、今日の「いろいろできたね!」をお話しするのにもぴったりです! +:-:+:-:+ 2歳の頃から、園で『漢字えほん(漢字が含まれている童話の本)』に親しんでいる我が子。出版数の少ない、低年齢向けの『漢字えほん』を自分で作ってみました。漢字がまじる事で、大人もスラスラ読み聞かせができます。『友達』という漢字を見つけて、子供が喜ぶなど、ひらがなだけの絵本にはない発見の楽しさがあるようです。 +:-:+:-:+ 未満児(1~3歳頃)に漢字のまじった絵本を渡すというのには最初驚きましたが、『街中の看板』『広告』の一つ一つも子供にとっては楽しい童話に見えるようです。漢字の成り立ちなどの『漢字えほん』は多数ありますが、童話に『漢字とひらがなとカタカナ』を含む事で、自然と興味を持って『文字が好き』になったみたいです。

傷ついている君へ

辻堂安古市
絵本
今、傷ついている君へ 僕は何ができるだろうか

まぼろしのミッドナイトスクール

木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

ちびりゅうと びゃっこくんの ふしぎな てんらんかい

関谷俊博
絵本
これも いつもの だましえです。タイトルは「てんらんかい」としましたが、かなり くるしまぎれです。

このせかいもわるくない

ふら
絵本
以前書いた童話「いいとこ探し」を絵本にリメイクしました。 色んなソフトを使ったりすれば、もっと良い絵が描けそうだったり、未熟な点は多いですが、よろしくお願いします。

たびたび うごく! ちびりゅうたちの だましえ

関谷俊博
絵本
たびたび しつれい します…。

ゆまちゃんとヤン丸の12ヶ月

万揮/マキちん
絵本
まん丸な子犬のヤン丸とゆまちゃんという女の子の一年間の物語です。

処理中です...