おっさんの転生珍道中

dai

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帝国の企み

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「異世界からの召喚は成功したのか?成功したのならなぜ、目の前の魔法陣から現れない?」

「陛下、恐れながら申し上げます。魔法陣が青く光っておりますのでおそらくは成功してると思われます」

陛下と言われている男は、このエクスピアにある国の1つルーレンド帝国の王、サークレス・メイア・ルーレンド。
今目の前の魔法陣の前で怒りをあらわにしている。

ルーレンド帝国は、このエクスピアを帝国の支配下にしたく、禁術の異世界召喚を行なった。異世界召喚とはこのエクスピアとは違う世界から力を持った者を呼び、その者の力を使いエクスピアを帝国の物にしようと目論んでいた。
今までにも異世界召喚を試みたのだがことごとく失敗に終わり、魔法陣にも光が灯ることわなかった。なんども試行錯誤し、今回は成功したと思いきや、今度は召喚された者が現れなかった。

「異世界の者が召喚されているなら捜し出せ!捜し出して我の元に連れてくるのだ!ルーファス、お主が陣頭指揮をとるのだ!」

「はっ!陛下のご期待に応えてみせます」

アーマンド・クレイ・ルーファスは帝国の第1部隊隊長。長い銀髪を後ろで結び、煌びやかな鎧を見に纏い、左右違う色をした目でルーレンドを見て頭を下げ応えた。
ルーファスは部隊を整える為、王の間を後にし、すぐに副官に部隊の調整を頼んだ。

「なんとしても陛下のご期待に応えなければ!」

ルーファスはルーレンドを神のように崇拝していた。それもそのはず、ルーファスは幼少の頃にルーレンドに拾われ育て上げられていた。
昔、まだルーレンド帝国ができて間もない頃、ルーレンドが自ら野党狩りをしていた時に、野党に一族皆殺され、ルーファスも殺されそうな所をルーレンドに助け出された。
それからというもの、ルーファスはルーレンドの為ならば命も厭わな覚悟で必死に強くなり第1部隊を任されるまでなった。

「ルーファス隊長!準備が整いました。いつでも出動できます」

「よし、これより異世界の者を探す。しかし、その者の容姿や性別などは一切わからない。もし怪しい者を見つけたならばすぐに知らせろ!」

「魔法部隊は探知魔法で辺りを調べ、魔力の高い者を探せ!」

「「「はっ!」」」

ルーレンド帝国は王都から東の海を越えた所にあり、広さをわかりやすく例えると北海道ほどの広大な広さがある。ルーレンド帝国を筆頭に数多くの貴族があり、皆武装貴族である。その武装国家の中でルーファス率いる第1部隊は数多くの武功をあげ、ルーレンドから多大な信頼を得ていた。
これにより、ルーファスは異世界の者を探す事となった。



時は同じ頃

帝国に無理やり召喚された1人の人間が暗い森の中で意識を失って倒れていた。
普通ならこのまま魔物どもに食い殺される所だが、今倒れている場所はちょうど岩陰に隠れ魔物どもには見つからない場所であった。

それから森が少し騒がしくなり、どうやら夢を見ているようだ。

「う……う~ん」

「もう食べれないよ……ムニャ…ムニャ」

すると森の奥から2人の男女が弓を手に持ち、颯爽と現れた。

「おい!変わった魔力を感じてきてみればこんな所に変な格好の幼い子供が倒れてるぞ!よく魔物にやられなかったな!」

「本当に変わった容姿をしてるわね。耳も私達と違うけど人族ってのはわかるけど……」

「おい!ここにこの子を置いて行くわけにはいかないな。いつ魔物どもに襲われるかわからな。しょうがないエレンシアに連れて行くぞ」

「わかったわ」
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