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第一章~シルナーレス王立魔法学院~
第四話 一期一会
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「セナ、学院に行く準備は出来ましたか?」
私は今日から学院での生活が始まる。
ここはシルナー大高原の麓にある離れの教会だ。
ここから南東に進んだ、シルナー内海に面した王都に
行かなければならなく、そのため入学式の前々日の昼に
ここを出なければならない。
「マザー、今までありがとうございました」
「いつでも帰ってきていいんですからね」
「ありがとうございます。じゃあ、行ってきます!」
「はい、学院生活楽しんでくださいね」
セナは教会を出て、マザーが呼んでくれた
馬車に乗り込んだ。
「セナ、どうか元気でいてね。負けちゃダメよ」
マザーはそう心の内でセナに語りかけた。
《ガタゴトガタゴト、キキッ》
馬車が王都に着いたようだ。着いたのは前日の正午だった。
中世ヨーロッパ風にオシャレな街並み。
私は新たな生活に少しわくわくしていた。
私は御者に感謝を述べ、学生寮へと向かう。
「すみません、新入生のセナ・アレクシアです」
アレクシアはマザーのラストネームだ。
ということは本名はアリサ・アレクシアだろうか。
「アレクシアさんですね……あれ?……」
どうしたのだろう。事務員さんの様子がおかしい。
「あっ、もしかして、今年に入学希望届けを提出なされましたか?」
「はい」
私は2月に男の剣士から学院の入学を勧められたからである。
「それなら、寮は入学式当日からご利用になれます」
「私の部屋はないということですか」
「はい、そのためお近くのホテルにお泊まり下さい」
なんということだ。私はマザーにもらった1000ルビー
しか持ち合わせていない。ホテルなど、この繁華街では
安くても5000ルビーはするだろう。
「空いてる部屋はありませんか?お金もなくて」
「探したのですが、ありませんね。学生寮は人気ですので」
私は絶望した。どう今夜を過ごせばよいのだろう。
夜の街は危険だ。子供1人でいていい場所ではない。
私はあきらめて、町を散策することにした。
「それにしても、綺麗な町だな~」
時計台の短針は2時と3時の丁度真ん中を指していた。
「そろそろ、今日泊まるホテルを探さなきゃな。
1000ルビーで泊まれるホテルなんてあるかな~」
1000ルビーは日本円で言うところの1万円。
しかし、場所が場所であるため、そんな安い
ホテルはあるわけない。
あったとしても、掃除したことないゴミ屋敷だろう。
《ぐぅぅ~》
あっ、そうだ。昨日の夜から何も食べてないんだった。
ホテルのことに気を取られて、忘れていた。
「レストランは高いし……そうだ!さっき通りかかった
シルディルス公園にあった屋台に行こう!」
シルディルスとはシルナーレス王国の王都の名称である。
「すみません、バーガーセットをひとつください。」
バーガーとはなんだろう。マザーが作ってくれた料理に
そんなものはなかったため、ワクワクしていた。
「うわぁ!このフワッとしたパン生地に、まるでエメラルドの
煌めきのようなレタスと、この肉厚でジューシーなハンバーグを
挟むなんて天才すぎる!!」
私は付いてきたドリンクも飲み干し、屋台に併設されている
ゴミ箱に捨てに行った。
「お姉ちゃん、これからどこに行くんだい?
その格好だと、学院の生徒さんかな?」
「はい、今寮に行ったんですけど、入れなくて、
ホテルを探してるんです。でも、お金が心許なくて」
「それなら、兄さんに相談するといい。
それに学院の生徒会長だしな。
兄さんも同じ経験をしたから、どうにかしてくれるだろう」
「多分今の時間なら家にいるだろう。
近くだから、着いてきな。」
なんと!神だ!夜に街を出るなんて、裸でヒマラヤに登る
くらい危険な事だ。
「ここだ」
さっきの大通りとは違い、人気(ひとけ)はなかったが、
実にオシャレな建物だ。
「兄さん!いるか!?」
「あぁ、そんな大声出さなくても聞こえるさ」
階段から金髪碧眼の美少年が下りてきた。
赤髪赤眼の弟さんに全然似ていない。
「こいつがジークだ。血は繋がってないが、
立派な俺の兄だ。少し無愛想なところもあるが、
嫌な奴じゃないから、頼れよ!」
そう明るい声で言い残し、家を出ていった。
……………
さっきは弟さんが居たから、場が明るかったものの、
いなくなったとたん、夜の湖のような静けさになった。
「あ、あの……」
「なんだ?君は。新入生かい?」
「は、はい!セナ・アレクシアと申します。」
「一体何の用だい?早速学院の文句でもあるのかい?」
「いえ、そういうことでは...…」
「じゃあ、なんだい?」
「あの、泊まる場所がなくて、弟さんに聞いたら
兄さんも同じ経験をしたから、頼るといいと言われて」
「はぁ、まあ余計なことを」
「ご迷惑でしたか?それなら……」
話を遮るようにジークが話してきた。
「いや、生徒の悩み事を解決するのが、生徒会の仕事だ。
泊まるところがないなら、この家の一室を使うといい。
長らく使ってないから、汚いかもしれないが、許してくれ」
「いいんですか!?ありがとうございます!!」
「これからは計画性を持って行動すること!わかった?」
「はい、これからは気をつけます」
そうして、私は夜泊まる場所が見つかって、
安全に夜を来せることが出来た。
でも、明日はあんな事件が起こるなんて、
今の私には到底考えられないことだった……
私は今日から学院での生活が始まる。
ここはシルナー大高原の麓にある離れの教会だ。
ここから南東に進んだ、シルナー内海に面した王都に
行かなければならなく、そのため入学式の前々日の昼に
ここを出なければならない。
「マザー、今までありがとうございました」
「いつでも帰ってきていいんですからね」
「ありがとうございます。じゃあ、行ってきます!」
「はい、学院生活楽しんでくださいね」
セナは教会を出て、マザーが呼んでくれた
馬車に乗り込んだ。
「セナ、どうか元気でいてね。負けちゃダメよ」
マザーはそう心の内でセナに語りかけた。
《ガタゴトガタゴト、キキッ》
馬車が王都に着いたようだ。着いたのは前日の正午だった。
中世ヨーロッパ風にオシャレな街並み。
私は新たな生活に少しわくわくしていた。
私は御者に感謝を述べ、学生寮へと向かう。
「すみません、新入生のセナ・アレクシアです」
アレクシアはマザーのラストネームだ。
ということは本名はアリサ・アレクシアだろうか。
「アレクシアさんですね……あれ?……」
どうしたのだろう。事務員さんの様子がおかしい。
「あっ、もしかして、今年に入学希望届けを提出なされましたか?」
「はい」
私は2月に男の剣士から学院の入学を勧められたからである。
「それなら、寮は入学式当日からご利用になれます」
「私の部屋はないということですか」
「はい、そのためお近くのホテルにお泊まり下さい」
なんということだ。私はマザーにもらった1000ルビー
しか持ち合わせていない。ホテルなど、この繁華街では
安くても5000ルビーはするだろう。
「空いてる部屋はありませんか?お金もなくて」
「探したのですが、ありませんね。学生寮は人気ですので」
私は絶望した。どう今夜を過ごせばよいのだろう。
夜の街は危険だ。子供1人でいていい場所ではない。
私はあきらめて、町を散策することにした。
「それにしても、綺麗な町だな~」
時計台の短針は2時と3時の丁度真ん中を指していた。
「そろそろ、今日泊まるホテルを探さなきゃな。
1000ルビーで泊まれるホテルなんてあるかな~」
1000ルビーは日本円で言うところの1万円。
しかし、場所が場所であるため、そんな安い
ホテルはあるわけない。
あったとしても、掃除したことないゴミ屋敷だろう。
《ぐぅぅ~》
あっ、そうだ。昨日の夜から何も食べてないんだった。
ホテルのことに気を取られて、忘れていた。
「レストランは高いし……そうだ!さっき通りかかった
シルディルス公園にあった屋台に行こう!」
シルディルスとはシルナーレス王国の王都の名称である。
「すみません、バーガーセットをひとつください。」
バーガーとはなんだろう。マザーが作ってくれた料理に
そんなものはなかったため、ワクワクしていた。
「うわぁ!このフワッとしたパン生地に、まるでエメラルドの
煌めきのようなレタスと、この肉厚でジューシーなハンバーグを
挟むなんて天才すぎる!!」
私は付いてきたドリンクも飲み干し、屋台に併設されている
ゴミ箱に捨てに行った。
「お姉ちゃん、これからどこに行くんだい?
その格好だと、学院の生徒さんかな?」
「はい、今寮に行ったんですけど、入れなくて、
ホテルを探してるんです。でも、お金が心許なくて」
「それなら、兄さんに相談するといい。
それに学院の生徒会長だしな。
兄さんも同じ経験をしたから、どうにかしてくれるだろう」
「多分今の時間なら家にいるだろう。
近くだから、着いてきな。」
なんと!神だ!夜に街を出るなんて、裸でヒマラヤに登る
くらい危険な事だ。
「ここだ」
さっきの大通りとは違い、人気(ひとけ)はなかったが、
実にオシャレな建物だ。
「兄さん!いるか!?」
「あぁ、そんな大声出さなくても聞こえるさ」
階段から金髪碧眼の美少年が下りてきた。
赤髪赤眼の弟さんに全然似ていない。
「こいつがジークだ。血は繋がってないが、
立派な俺の兄だ。少し無愛想なところもあるが、
嫌な奴じゃないから、頼れよ!」
そう明るい声で言い残し、家を出ていった。
……………
さっきは弟さんが居たから、場が明るかったものの、
いなくなったとたん、夜の湖のような静けさになった。
「あ、あの……」
「なんだ?君は。新入生かい?」
「は、はい!セナ・アレクシアと申します。」
「一体何の用だい?早速学院の文句でもあるのかい?」
「いえ、そういうことでは...…」
「じゃあ、なんだい?」
「あの、泊まる場所がなくて、弟さんに聞いたら
兄さんも同じ経験をしたから、頼るといいと言われて」
「はぁ、まあ余計なことを」
「ご迷惑でしたか?それなら……」
話を遮るようにジークが話してきた。
「いや、生徒の悩み事を解決するのが、生徒会の仕事だ。
泊まるところがないなら、この家の一室を使うといい。
長らく使ってないから、汚いかもしれないが、許してくれ」
「いいんですか!?ありがとうございます!!」
「これからは計画性を持って行動すること!わかった?」
「はい、これからは気をつけます」
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でも、明日はあんな事件が起こるなんて、
今の私には到底考えられないことだった……
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