GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲

俊也

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深紅の海

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一方、時間差で襲って来た日本陸軍のカミカゼに対処するミッチャー提督。
次から次へと…。
これ以上はやらせはせんぞ。
先刻敵海軍機に対処したヘリントンの戦闘機隊が襲い掛かる。
「こちらも100機超えか…仕方ないね」
しかも敵の直掩戦闘機は疾風。
だが、こちらもF6Fと、少数とは言え速度性能に優れた…F4Uコルセア、141機。
?!
…撃墜には至らずとも、被弾が多く戦闘機動に耐えられない機体をやむを得ず離脱してしまいこの機数。
だが数的優位は未だにある!
「落ちついて確実にやれ、第1から第4中隊で敵の疾風フランクを引き受ける!」
残り過半数で未熟だが危険極まるカミカゼを葬ってくれれば…。
しかし、無防備な状態でなお、彼らは勇猛であった。
次々と僚機が撃墜される中。
ただひたすら真一文字にアメリカ艦隊中枢を目指す。
ヘリントンの戦闘機隊が駆けつけるのが、結果的に遅かったのも日本側に幸いした。
「うおおお、麻美子ーッ!」
翼から火を噴きながらなお、一機の隼がピケット駆逐艦に突入、大破させる。
別の駆逐艦には2機が突入し、沈没に追い込む。
そこへ生じた輪形陣の穴に、30機近くが雪崩れ込む。
アメリカ戦闘機群は流石に味方対空砲火の嵐のど真ん中には入れない。
当然日本機も多数が撃墜されるが、それでも重巡インディアナポリスに2機、軽巡ピロシキに1機。護衛空母マニラ・ベイに1機
そして戦艦ネバダの主砲塔2機に1機ずつが突入し使用不能に…

遂には…。
「天皇陛下万歳!神州不滅!!」
正規空母ヨークタウンⅡに1機が突入。
搭載燃料も爆燃し…
パイロット52名を含む300名を超える戦死者を出すこととなる。
「何故だ、何故ことごとく中枢まで入られる!?毎度毎度だ!」
ミッチャーは激怒するしかなかった。
いつも図ったように正規空母が最低一隻は、しかも戦線離脱レベルのダメージを負ってしまい…。なんやかや現在稼働空母が9隻である。
低速の小型護衛空母の、間もなく増派合流される分を合わせれば、トータル25隻前後の体制には戻せるが…。
あれこれ勘定する間も無く、また凶報である。
「スプルーアンス提督直率の戦艦部隊に敵機来襲!」
「またか!だから言わんこっちゃない!」
無論上空警戒の戦闘機は回しているが、85機程度である。
大和ら日本艦隊との決闘にこだわるから…。

「敵は一式陸攻ベティ30機オーバー!護衛のゼロ合わせ80機弱です!」
「ある程度は味方戦闘機が排除してくれよう。無論こちらも対空戦闘配置!」
スプルーアンスの指示に、幕僚、オペレーターらが慌ただしく動き、伝達を送る。
敵は低空侵入してくる。
一式陸攻隊の隊長は無論…。
「いくぜ野郎ども。
お待っとうさんの陸攻乗りの華、雷撃だぜ!!
忌まわしい荷物がないだけ身も軽い!」
「「合点承知!!」」

「そう何度も都合よく行くか!
全機最速でベティを狩れ!」
アメリカ艦隊護衛戦闘機隊隊長のビエイラ大尉は先頭切って一式陸攻に襲いかかる。
だが、海面を這うように進む野中組の機体は、双発爆撃機とは思えぬ機動力で敵の射線を巧みに外す。
とは言えアメリカ戦闘機…F4Uコルセアの群れも必死であり、10機が撃墜される。
だが…
「よーそろーよーそろー」
当然ボフォースの弾丸の嵐が一式陸攻の群れを包む。
ガンガンと弾頭の断片は当たるが、半分を占める電波信管付き砲弾はこの超低空では中々反応してくれず、そして一式陸攻は米軍の一部で揶揄される程脆弱でもなかった。
「距離700、今!」
魚雷が海中に落とされ、蛇のように目標に迫る。
他の機もそれぞれの相手に向けそれに倣う。
「戦艦ミズーリ、被雷3!」
「アイオワも2本食らった!ガッデム!」
「サウスダコタも3!傾斜が…。」
なんてことだ…なんてことだ…。
スプルーアンスは背中に滝のような汗を感じる。
(こう考えると、沖縄航空基地を2つとも昨夜やられたのは、援護をもらえなくなったのは痛恨事だった…。)
そう、陸軍の方で無血で奪った、「北」と「中」の両飛行場。
昨日にまとまった航空戦力が到着し、さあこれからという時に日本軍が事もあろうに重爆撃機群の強行着陸からの、コマンド部隊急襲(義烈空挺隊)を両飛行場に仕掛け、双方優に200機を超える作戦機と合計1500名の戦死者を出し…とにかく地上軍やこちらの艦隊援護など不可能であった。
(日本陸軍側としては、アメリカの沖縄本島上陸が遅延した分、元の予定の倍近い規模で、満を持して海軍の天号作戦に合わせて行うことができたのが大きい。)

私の間違いであったか…水上部隊、戦艦には戦艦と気負ってしまい、艦隊を分散してしまった…。
スプルーアンスは唇を噛んだ。
憎むべきベティの部隊は、多数機をこちらの戦闘機に墜とされながらも、なんやかや半数弱は逃げおおせてしまった。
わがF4U戦闘機隊も、苦手の低空接近戦に持ち込まれ、中堅レベルの零戦パイロットに16機を撃ち墜されている…。
(不覚だ…こうなるとミッチャーの攻撃隊を信じるしかない。)
が…。

「クソッ!こんな筈では!」
指揮官代行のトマソン大尉は吠えた。
結局大和攻撃に回れたのは200機前後。
だが、当然ではあるが長門級が邪魔をする。
どうも大和を下手すれば上回りかねない規模で対空機関砲を増設したようだ。
途中で長門攻撃に回る隊を追加指示したくらいで…。
結局戦果は長門に魚雷1発、爆弾4発。
肝心の大和にも魚雷2発と爆弾3発。
確かにダメージは無視できないが、スピードが少々落ちた程度で、おそらく砲撃戦能力には全く影響あるまい。
クソ、このままでは2時間かそこらで味方の戦艦部隊と…。
いろんな不運が重なり、航空戦力をこいつらに集中出来なかったのは痛かった。
トマソンは歯軋りしながらも、麾下全機に帰投命令を下す。











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