12 / 166
宣戦布告
しおりを挟む
ハワイ時間12月7日 午前5時
オアフ島 アメリカ太平洋艦隊司令部。
「閣下!失礼致します!」
荒々しいノックの音。
なんらかの異変を察知したハズバンド・キンメル太平洋艦隊司令長官。
まだまどろんでいる妻を尻目にベッドから起き出し、寝室のドアを開けた。
当直士官が緊急電文をキンメルに手渡す。
平文のそれを読み、眠気が遥か彼方に吹き飛ぶ。
「全軍に非常呼集!参謀スタッフも全員だ!」
「アイ・サー!!」
日本人どもが…遂に宣戦布告をかましてきおった!
司令部大会議室。
参謀達が意見を戦わせる。
「やはり、我々が真っ先に把握すべきは、日本海軍の艦隊動向だ。」
皆が頷く。
「やはり、彼らからすれば、インドシナ等の資源地帯からのシーレーン防衛の関連上、フィリピンは真っ先に…。」
「ですな、攻略の航空支援として、主力戦艦に加えて、空母の大半もそちらに…。」
「妥当な線だ。」
「ただ、ここにいる我が主力艦隊への牽制として、ウェーキ島あたりへの支援攻撃が…。」
「そちらはキンメル閣下が配慮なされて、ハルゼー提督の第8任務部隊を派遣されている。」
「と、なると、現状動かせる主力をフィリピン方面に…。」
「まだ動向が掴めぬうちにそれは危険だ。」
「うむ、たとえばアリューシャンに分派してくる危険も…。」
「ここ…と言う可能性もあるぞ。」
全員がキンメルの方を向く。
ないないそれはない。
…などとは無論言わないが、皆の空気は…。
一人の参謀が発言した。
「理論上は可能ですが…。
日本の基本的な艦隊運用能力、艦載機の技術レベルを思いますと…。
そもそも情報部の通信傍受では、むしろフィリピン近傍での日本艦船の動きを…。」
「それ自体が偽電という可能性も…。
いや、うむ。こう言った私自身、どう見積もっても可能性5%もないとは思うが、ここ周辺の哨戒を強化するにしくはない。」
「畏まりました。では急ぎ哨戒飛行艇の増派を…。」
…とは言え参謀達の主な関心事は、フィリピンもしくはアリューシャン方面であった。
キンメル自身も含めて。
しかし、午前6時過ぎ、驚愕の一報がもたらされる。
「潜水艦レフティーフィッシュより入電!
日本の一大艦隊と思しき船影確認!
ここより西方640カイリ!
少なくとも戦艦2、正規空母4は下らぬものと!」
がばと立ち上がるキンメル。
驚愕はしつつも、内心でほくそ笑む。
ジャップ…上手いことここまで隠密で忍びよったことは誉めてやる。
だが…惜しかったな。
貴様らの奇襲は失敗だ。
オアフ島 アメリカ太平洋艦隊司令部。
「閣下!失礼致します!」
荒々しいノックの音。
なんらかの異変を察知したハズバンド・キンメル太平洋艦隊司令長官。
まだまどろんでいる妻を尻目にベッドから起き出し、寝室のドアを開けた。
当直士官が緊急電文をキンメルに手渡す。
平文のそれを読み、眠気が遥か彼方に吹き飛ぶ。
「全軍に非常呼集!参謀スタッフも全員だ!」
「アイ・サー!!」
日本人どもが…遂に宣戦布告をかましてきおった!
司令部大会議室。
参謀達が意見を戦わせる。
「やはり、我々が真っ先に把握すべきは、日本海軍の艦隊動向だ。」
皆が頷く。
「やはり、彼らからすれば、インドシナ等の資源地帯からのシーレーン防衛の関連上、フィリピンは真っ先に…。」
「ですな、攻略の航空支援として、主力戦艦に加えて、空母の大半もそちらに…。」
「妥当な線だ。」
「ただ、ここにいる我が主力艦隊への牽制として、ウェーキ島あたりへの支援攻撃が…。」
「そちらはキンメル閣下が配慮なされて、ハルゼー提督の第8任務部隊を派遣されている。」
「と、なると、現状動かせる主力をフィリピン方面に…。」
「まだ動向が掴めぬうちにそれは危険だ。」
「うむ、たとえばアリューシャンに分派してくる危険も…。」
「ここ…と言う可能性もあるぞ。」
全員がキンメルの方を向く。
ないないそれはない。
…などとは無論言わないが、皆の空気は…。
一人の参謀が発言した。
「理論上は可能ですが…。
日本の基本的な艦隊運用能力、艦載機の技術レベルを思いますと…。
そもそも情報部の通信傍受では、むしろフィリピン近傍での日本艦船の動きを…。」
「それ自体が偽電という可能性も…。
いや、うむ。こう言った私自身、どう見積もっても可能性5%もないとは思うが、ここ周辺の哨戒を強化するにしくはない。」
「畏まりました。では急ぎ哨戒飛行艇の増派を…。」
…とは言え参謀達の主な関心事は、フィリピンもしくはアリューシャン方面であった。
キンメル自身も含めて。
しかし、午前6時過ぎ、驚愕の一報がもたらされる。
「潜水艦レフティーフィッシュより入電!
日本の一大艦隊と思しき船影確認!
ここより西方640カイリ!
少なくとも戦艦2、正規空母4は下らぬものと!」
がばと立ち上がるキンメル。
驚愕はしつつも、内心でほくそ笑む。
ジャップ…上手いことここまで隠密で忍びよったことは誉めてやる。
だが…惜しかったな。
貴様らの奇襲は失敗だ。
22
あなたにおすすめの小説
幻影の艦隊
竹本田重朗
歴史・時代
「ワレ幻影艦隊ナリ。コレヨリ貴軍ヒイテハ大日本帝国ヲタスケン」
ミッドウェー海戦より史実の道を踏み外す。第一機動艦隊が空襲を受けるところで謎の艦隊が出現した。彼らは発光信号を送ってくると直ちに行動を開始する。それは日本が歩むだろう破滅と没落の道を栄光へ修正する神の見えざる手だ。必要な時に現れては助けてくれるが戦いが終わるとフッと消えていく。幻たちは陸軍から内地まで至る所に浸透して修正を開始した。
※何度おなじ話を書くんだと思われますがご容赦ください
※案の定、色々とツッコミどころ多いですが御愛嬌
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
小日本帝国
ypaaaaaaa
歴史・時代
日露戦争で判定勝ちを得た日本は韓国などを併合することなく独立させ経済的な植民地とした。これは直接的な併合を主張した大日本主義の対局であるから小日本主義と呼称された。
大日本帝国ならぬ小日本帝国はこうして経済を盤石としてさらなる高みを目指していく…
戦線拡大が甚だしいですが、何卒!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
電子の帝国
Flight_kj
歴史・時代
少しだけ電子技術が早く技術が進歩した帝国はどのように戦うか
明治期の工業化が少し早く進展したおかげで、日本の電子技術や精密機械工業は順調に進歩した。世界規模の戦争に巻き込まれた日本は、そんな技術をもとにしてどんな戦いを繰り広げるのか? わずかに早くレーダーやコンピューターなどの電子機器が登場することにより、戦場の様相は大きく変わってゆく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる